怒りの矛先、合ってますか?
はじめに
あなたは、怒る相手や対象を間違えた経験はありますか?
そもそも間違えていたことに気づかないこともしばしばあると思います。
日常生活やネット上でも、怒りの感情が向けられる場面は多くあります。
しかし、その怒りの矛先が、時には問題の本質とは違うところに向いてしまうこともあるのではないでしょうか。
最近、ロッテの佐々木朗希投手が*ポスティングシステムでメジャー移籍をすることを発表し、佐々木投手に対して、「恩知らず」、「もう応援しない」などといった言葉がネットに飛び交っていました。
しかし、佐々木投手はメジャーにいきたい思いをロッテに伝え、ロッテが許可したため、何も悪いことをしていません。
それなら、長年優勝していないのに、少額でエースの移籍を許可したロッテに対して、「優勝する気はないのか?」と怒りの矛先が向けられるべきです。
このようなことは、自分の感情を整理しきれず、感情的な発散を優先してしまうことで起きがちです。矛先を間違えることで、本来解決すべき問題が見えなくなります。
今回は、感情に振り回されず、怒りの矛先を正しく見極め、問題を解決していくきっかけにしていただきたいです!
※ポスティングシステム
ポスティングシステムは、日本のプロ野球選手が球団の許可を得て、MLB移籍を目指す制度です。25歳以下で移籍する場合、契約金に制限があり、球団が得られる移籍金も少なくなります。
佐々木投手は、選手として何十憶の移籍金が発生する実力ですが、現在23歳のため、ロッテには、本来の価値に見合った金額を受け取ることができません。
なかなか冷静にはなれない
まずは、怒りの矛先を間違えてしまう原因を紹介します!
感情的な発散を優先してしまう
怒りを感じると、まずその感情を発散したいという心理が働きます。このため、問題の本質を考える前に、「目の前にいる相手や分かりやすい対象」に怒りを向けてしまうことがあります。本来の原因に目を向ける冷静さを欠いてしまうのです。
今回の佐々木朗希投手のポスティングシステムによる移籍の件では、一部の人々が「恩知らず」と彼を非難しました。しかし、実際には移籍を決めたのはロッテ球団との合意によるものです。この場合、怒りの対象は佐々木投手ではなく、球団の判断やポスティング制度そのものに向けるべきでした。
本質的な原因を理解する時間を取らない
人は忙しい日常の中で、怒りを感じた瞬間にすぐに反応してしまうことがあります。このようなとき、本来の問題を深く掘り下げたり考えたりする時間を取らずに、感情的に行動してしまうことが多いです。
例えば、会社で業績が上がらない原因を社員に押し付ける経営者がいます。しかし、本質的な原因は、戦略の不備や市場環境の変化にある場合がほとんどです。怒りを社員にぶつけるだけでは解決にはつながりません。
自分の価値観や期待が整理されていない
怒りは、何かが自分の価値観や期待を裏切ったときに生じる感情です。しかし、「自分が何を大切にしているのか」、「何に期待しているのかが明確でない」と、怒りの原因が分からず、矛先を間違えてしまうことがあります。
例えば、友人が約束の時間に遅刻したとき、「なんで遅刻するんだ!」と怒りを感じたとしたら、それは、時間を大切にしている自分の価値観が裏切られたからです。
怒りを感じたら、自己理解しよう!
怒りを感じるということは、自分にとっては、当然と思っていることが、そうでなかったときや、大切な価値観が傷つけられたということです。だからこそ、怒りを感じたときに、「なぜ怒りを感じたか?」と原因を考えると自分の大切にしている考えや価値観が見えてきます。
怒りを感じた時こそ、自己理解すべき理由を紹介します!
価値観の理解により怒りの根本原因に気づける
自分の価値観を知ることで、「何が自分にとって重要か」が明確になります。例えば「誠実さ」を大切にしている場合、誰かの軽率な態度に怒りを感じることが多いかもしれません。価値観を理解していれば、怒りを感じた際に「誠実さに反する行動が気になるのだ」と根本原因を捉え、必要以上に他人へ怒りをぶつけるのを避けられます。
怒りの矛先を適切に調整できる
価値観を基に、自分の怒りが適切な対象に向かっているかを判断しやすくなります。
例えば、仕事で同僚が期限を守らず、それに対して怒りが湧いた場合、「自分が大切にしているのは約束を守ること、責任感だ」と気づければ、怒りをただぶつけるのではなく、同僚に対して「約束を守ることが重要だ」と具体的に伝えることや、改善方法を話し合うといった建設的な対応がしやすくなります。
自己理解を通して怒りを内省的に解消できる
自分の価値観を知っていれば、怒りを感じたときに「これは自分の価値観に反するからだ」と理解しやすく、内省的に解消することができます。
例えば、周囲の無責任な行動にイライラしたとき、「責任感を重んじる自分にとって耐えがたいのだ」と冷静に受け止められます。その上で、改善策を考える余裕が生まれます。
最後に
怒りを感じたときこそ、それを自分を深く知る機会に変えることが大切です。
矛先を間違えてしまうことで本質を見失ってしまいます。
しかし、怒りの原因を冷静に見極め、自分の価値観や期待に向き合うことで、感情を建設的な行動に変えることができます。
今回の佐々木朗希投手に対して、怒りを感じた人は、「人との繋がりや恩を大切にしている」、「準備を大切にする」など、自分の大切にしている価値観が見えてくると思います。
「外に向ける怒り」を「内に向けた理解」に変えることで、日々の人間関係や問題解決の糸口が見えてきます。
今回は、怒りの矛先を適切に調整し、自分を知る一歩にするきっかけになれば嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!