
『コーフン古墳トーク』について、お堅めの断り書き
※この記事は「お前の言ってることめちゃくちゃじゃないか!」と憤っている(かもしれない)全国の古墳関係者に向けての断り書きです。それ以外の方も是非読んでいただけたら。
お堅めの断り書きをする理由
どうも、古墳大好き大学生ライターのコフンねこです。
このたび、「どこでも地元メディア―ジモコロ」にて『はじめての世界遺産……21歳大学生「コフンねこ」のコーフン古墳トーク』と題した記事が公開されました。
この記事の中では、僕が古墳や古墳時代の面白さ―特に現代とのつながりについて面白おかしく語っています。世界遺産にも登録された「古墳」について、『古墳民俗学』的な見方をしているわけです。
ではなぜ断り書きをしなければならないのでしょうか。
“ところで、こうした“古墳民俗学的な考え方”は今ある学問では定義できないものなんですよね……正直難しい”
そう、僕が記事内で言及している古墳のアレコレは全く「学問的な証拠」が無い話なんですよ。というか、ああいう仮説を扱う学問が無い。
……う~ん。そのあたりの詳しい話を記事内では書ききれなかったので、『断り書き』としてココに残しておきたいと思います。
「モノ」を扱う考古学
僕は普段大学で『考古学』を勉強しています。
※考古学…物質資料=モノから人類の歴史を探る学問。恐竜✖
この『考古学』が「日本の古墳を研究する上で現状最適な手段」なんですね。
古墳時代に書かれた「文字」はほとんど現代に残っていません。
もっと新しい時代であれば、「上杉謙信が浴びるほど酒を飲んだ」「徳川家康はもともと人質で…」なんていう文書が残っているのでそれを読めばいいのですが(実際はもっと複雑)、古墳時代はそうはいきません。
もちろん古墳時代より前の「旧石器時代」「縄文時代」「弥生時代」もそうです。
文字がない時代、または文字が残っていない時代を研究するためには、「残っているモノ…当時の人間が使っていた道具・場所など」が重要。
発掘調査を実施して、出土した「遺物」…土器とか土偶(縄文時代)・埴輪(古墳時代)なんかが研究の対象になります。
住居の跡地などの「遺構」なんかも大事です。とにかく、「モノが対象」ってことだけでも覚えて帰っていただけたら。
うまく扱えない「コト」の研究
話をジモコロの記事に戻しましょう。僕が今回扱ったテーマは「古墳とお味噌」「古墳と信仰」「古墳と現代の交通」「古墳と昭和のワイン」です。
お味噌は土の中に埋もれたらすぐ分解されてしまいます。お味噌の発酵に使われる菌だって同じ。信仰も「モノ」じゃないので直接的にはわかりません。鉄道やワインは当然古墳時代に存在しない。
「じゃあモノを対象にする考古学じゃ研究できなくない?」
ご名答。金一封差し上げたいくらいご名答です。
そう、考古学で「人々の食」「人々の信仰」「人々の考え方」を直接的に証明することは不可能なんです。だって、それは『モノ』じゃなくて『コト』だから。
僕は微生物学の論文を読んだり、日本神話を全部読んだり、全国のディープな信仰・民俗・食を訪ね歩いていますが、残念ながらそれらは考古学の研究対象にはなりにくい。
※もちろんうまく処理すれば「できる」のですが、あくまで「モノが第一」なのは変わりません。
古墳研究は物証重視で進められてきました。これはとても科学的で良いと思うんです。
でも、他分野から見れば十分証拠になるような「コト」が、考古学による古墳研究では見捨てられてしまっているかもしれない。
古墳を「俗っぽい視点」で見たら、別の新しい発見があるのではないか?
僕はこんな思いで今回のジモコロ記事を書きました。
古墳はこれまで基本的には「考古学の立場から見るもの」でした。でも今度は「古墳から世界を見ていく」ことも重要だって、僕は言いたい…!
これからどうしていくの?
結局何が言いたいのかと言いますと、「僕のやってることは考古学じゃなくて“古墳民俗学的なよくわからないヤツ”だから、優しく見守ってほしい」ってことです。
でも、、、考古学も一生懸命勉強しつつ、それ以外の知識をどんどん蓄えていく……
これが僕の進むべき道……?と考えています。
「日本民俗学の父」と呼ばれる柳田國男は、全国を訪ね歩いて「日本の姿」を次々と明らかにしていきました。ずいぶん昔からあった歴史学でも、当時最新の学問だった考古学でもない方法で日本を探っていたんですよ。
古墳(やその他の遺跡)は全国各地に存在します。柳田のように巡り歩いて探究するにはもってこいの素材と言えるでしょう。
民俗学が独立した学問として成立しているのだから、その一派として「古墳民俗学」があっても面白いじゃないか…!
と、ここまで書きましたが、僕がどんなに古墳道を極めても唱えることはあくまで「仮説」。いや、仮説にもならないかもしれません。
なんせ証拠が無い話ですから(なんとかして証明できるように頑張りたいのは山々ですが……)。
例え真偽不明であっても、全国の古墳研究者から総スカンを喰らっても、古墳からローカルに勇気を与えられたら……!と思います。考古学から古墳を見るだけじゃなくて、古墳から世界を見ていきたい。
頑張るよ僕は。
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