お金も才能もないけれど＿バーナデット　ママは行方不明

ママは行方不明

なんて副題がついていると、行方不明になったママをパパと娘が探すだけの話
っぽい

原題は「バーナデットを探せ」

パパと娘が探す以上に、バーナデットがバーナデットという自分の在り方を探す作品だ。

バーナデットは才能に溢れる、いわゆる　意識の高い　著名な建築家　だった。
なんやかんやあり、現在は専業主婦
ママ友は出来ない（彼女の性格故邪険にされてる）
AI秘書が家族以外の話し相手・・。

結婚して娘を授かるまでにも辛い経験をし、キャリアにおいても荒波があり
その当時の最善の策として仕事と離れたバーナデットだったが
家のインテリアを見る限り、「離れただけ」であって
彼女の住む、古いお屋敷の中は彼女の建築家時代の創作欲が劣ることなく表現されている。ストーリーよりも気になってしまうくらい。素敵。

本格的なカウンセリングを勧められるシーンの部屋とかマジでイイ・・。
バーナデットが詰め寄られ、逃げ場なし！（逃げるんだけど）そしてこれからの始まりのシーンの部屋と思うと胸熱なインテリアだった。

娘も成長し、関係も良好で、成績も優秀。
ご褒美で南極に行くことになり、娘が希望していた寄宿学校にも合格。
近い将来の娘の親離れ、南極、同調できないご近所付き合い・・・
バーナデットの創作意欲が本人の意思とは別に本能的に爆発しかけるんだなあ。

観終えた後はね、ベンスティラーのLIFE！を観終えた時の感覚。
誰かの行方を追う、というところが似ているだけなんだが。
なんやかんや私も前向きに生きよう、って晴々とした気分になっちゃうのよね。

で！

絶不仲のお隣さんオードリーを演じるクリスティンウィグ！！！！！
LIFE！でシェリル役だった！！！！クリスティンウィグ！！！！！！
すみません、取り乱しました。

私が観た全映画の中で　「好きなシーンベスト5」　をあげるとしたら
一つはLIFE！のシェリルのギターを弾くシーンなんです。
シェリル自体は幻想なんだけど、主人公のミティを旅立たせるヤバいシーンで
もう！私もヘリ乗っちゃう！って何度見ても号泣してしまうシーンなのです。

去年インスタにあげた最高のシーン。ライフもイイ映画だよねえ。

閑話休題

クリスティンウィグ演じる隣の奥さんオードリーとバーナデットはもう壊滅的な仲の悪さなんです。
オードリーは典型的な陽キャの専業主婦。もう全然合わない。
お互いコンプレックスもあり、相手に対する　思い込み　もあり。
バーナデットも色々やらかすから、絶対に味方にならんだろうというオードリーがバーナデットに手を差し伸べるシーンは私個人にとってとてもとても「救い」だった。

監督はリチャードリンクレイター
6才のボクが、大人になるまで　を観た時も思ったが
なんて人の人生を人に伝えるのが上手な人なんだ！
と思った。

人の人生、半生を描いた映画なんてめちゃくちゃあるけど
この作品を観た後に、もしや、と思って監督の過去作を調べたら、ビンゴ！だった。
私の好きな作品の一つ、スクールオブロックも監督していたのか（今更）。

この作品、子育てしながら仕事をしていたり、一度家族のために仕事をドロップした人にはいい意味でグサグサ刺さると思う。
バーナデットのような才能もキャリアも無い私がおこがましいけれども
もし私が専業主婦になっていたら、近い感じになっていたんだろうなーと思った。

今の私は、息子がいて、夫がいて、仕事があって、出来上がっている。

ケイブラ姐さんいつ観ても美しい。終盤の小躍りシーンも描きたかったんだよなあ。