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黒に戻る_Back to Black

私が10代後半や20代前半くらいの頃
海外セレブのゴシップやファッション情報を扱う300円くらいのうっすいオールカラーの雑誌が2誌くらいあった。

当時の私は、映画に出演している俳優の名前と顔がなんとなく分かるようになってその雑誌を読むのが好きだった。
遠くの国の華やかな、輝かしい世界。

その中に彼女がいた。キャラが強烈な彼女。

華やかで輝かしい世界というより、彼女はゴシップのコーナーで輝やく。
アルコールに依存し、騒ぎを起こす、恋人と痴話喧嘩をする、豊胸する、タトゥーが増える、ライブに遅刻し完全なパフォーマンスが出来ない…

私は当時彼女について「ネタが尽きないな」と思ってた。彼女がどんな曲を作りどんな歌いかたをするのか詳しくは知らなかった。(リハブくらいは知ってたかも)

正直、彼女が亡くなったことは想定の範囲内だった。大きな驚きはなかった。
でも彼女が私と同い年で同じ女性で同じ人間で、不器用ながら生きている様をメディアから知る分だけだけど、私は親しみを持っていた、ショックは鋭かった。


2015年に公開された「エイミー」をみた時、私が思ったよりも彼女は私と同じ、近い女性で、あのエキセントリックな彼女は生まれ持ったものではなく、じわじわと外からの影響で彼女の奥底から出てきてしまったもの。というのが分かった。
彼女の家族や近しい人々が彼女を愛したのは事実だけれど、どこかで自分たちの振る舞いを正当化しているような気がした。


今作Back to Blackはさらに「キレイにドラマ化」されていて、まあまあ、そうなんだけど、リアルタイムではもっと違う感じだったよねっていう、フィルターがかかった感じ。
やはり「エイミー」をみた時に感じた「近しい人々の正当化」が顕著。
彼女のことはどうすることも出来なかった。彼女の素晴らしさは「そこ」も含めて出来たもの。パパラッチが悪い。
みたいなね。


ただエイミーを演じたマリサアベーラ良かった。良すぎ。なんも違和感なく観ちゃってた。
私がリアルタイムで見ていた彼女よりももっと素晴らしい彼女の一面がある。
そういう部分を伝えたかったのかなって思う、それならとっても良い作品だったと思える。


この作品は9月に飛行機内で鑑賞していて、同時期にみたソルトバーン憐れみの3どれも「依存」が印象に残る作品だった。
依存ってなんなんだろうね。

誰も自分の思い通りに人生も世の中も進まなくて、その補完を皆何かでしている。
占いやげん担ぎだってそうだし、ギャンブルだって、推し活だって、なんらかの趣味だって、自分の人生を少しでも充実させようとする何かだ。
それが依存になるか否か・・誰もどんな形であれ何かに依存しているのかな。
エイミーは酒と愛に依存して、生き急いだ。
私は何に依存して生きているんだろう。

ビーハイブヘア、スタイル、マジでカッコよかったよなあ。

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