スレスレを抉る姉妹喧嘩_お母さんが一緒
観終えたあと、暫しほっこりしてから
・・・この家族はこの先もこんなやり合いを延々と続けるんだろうな・・・
とゲンナリしてしまった。
橋口監督の前作「恋人たち」はエンドロール最後のカットでヒイヒイ泣いてしまい、周りドン引き、入れ替えの早い劇場だったからすごい顔して劇場を去った思い出。
今作「お母さんが一緒」は私がいつからか向き合うことを諦めた感情を久しぶりに麻酔なしで開胸され抉り取られた気分になった。
「家族って煩わしくて厄介でそれでもやっぱりいとおしい」
とパンフには書いてあるけど
私は 愛おしい とか
なんだかんだ言って家族っていーーーーよね!
って心境にまでは至らず。
でも家族ってそんなもんじゃない?
という事の表れだと良いように受け取ろう。
終盤から ザ・家族映画
それまでの80分間くらいは、じわじわとした不穏な空気が良くなる事なくスレスレで描かれている感じが良い。ドタバタ劇じゃないの、もう、修羅場。
橋口監督の描く女性って結構酷くて(いい意味で)、胃がキリキリしてくるんだけど、単に面白いきょうだい喧嘩じゃなくなっているのが良かった。
それが最終的に「いとおしい」で終わったのは私にとっては微妙だったけど。
ラストの足元だけのシーンは素敵だったな。
3姉妹、長女・江口のりこ、次女・内田慈、三女・古川琴音
この3人がめちゃくちゃ良くて、特に次女!!内田慈さん素晴らしかった!!
3人きょうだいだと真ん中ってバランサーの役割になってくるのかな。強いんだけど、どっちつかずで姉にも妹にも波長を合わせたり反らせたり、で、いきなり感情爆発させたりとかね。
青山フォール勝ち(という人です)の存在が、かなりこの作品のチェイサーになっているんだけど、三姉妹がかなりリアルな言い合いするかたわら、めちゃくちゃファンタジーな存在に思える。いなくてはいけない存在なんだけど、はて、こんな奴いるのか?
監督の好みなのかな。
さてこの作品、自分の環境、長女か否か、家族との状況で感想が変わる作品だよなあ。
と思って観ていた。
多分姉と観たら全然違う感想が出てきそう。姉と一緒に観なくてよかったと思ったりもした。
姉と二人姉妹、姉は私から見ると「出来た美人の姉」でよく比べられてきた。大人の何気ない差別も日常だったし、姉を好きで尊敬する反面、劣等感を感じていた。
昔、姉から、要約すると「あんたはちゃっかり上手に生きてる、私ばっかり苦労してる」って言われた事があった。
私からみた姉、姉から見た私。随分と違うんだなあってその時感じた。
私はそれを言われて色々思う事はあったが、反論するのはやめた。
それがお互いのためだと思ったから。
が、この作品では腹を割すぎて内臓までドゥルドゥル出しながら口論する姉妹が繰り広げられる訳で、
私の感情は「そんなん言うな!やめたれやめたれ!」と「いいぞ!もっといっタレ!」が交錯しまくって多分それがしんどかったんだと思う。
うちの家系は根に持つタイプが多いし、絶対こんなラストには絶対にならないからね・・。
姉の他に、三姉妹の長女である職場の先輩に観てもらって感想聞きたいなあ。
先日、妹二人に対する愚痴を聞いたけどこの作品見て「妹さんの言い分もきっとあるんだろうなあ・・」と思った。
この作品のパンフ。内容もいいけど紙の質やプリントの色合いがとてもよかった。
最近ある良いパンフの紙って厚みと触り心地に重厚感がある傾向があるような気がするんだけど、これは逆に薄くて光沢のある紙とプリント。でもなんか写真の色合いが良くて最近買ったパンフの中でお気に入りになった。