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スレスレ_シビルウォー(副題省略)
恥ずかしながら信長の野望みたいな映画なのかと直前まで思っていた。
東軍:ティモシーシャラメ VS 西軍:ドウェインジョンソン
どちらも正義であり悪でもある、アメリカ統一するのはどっちだ!
みたいなね。
贔屓のA24で日本公開も遅れてWikipediaにもネタバレ凄いしバーのマスター夫婦も「今年の映画はもうコレしか楽しみが無え!」と言っていたのに。
どうしちゃったんだろう自分。
鑑賞前にパンフ買ってパラパラ読んで、キルスティンダンストが主演だということ、報道目線だということを初めて知る。
日本公開前からも注目されていたし、スクリーンもデカめIMAX。
人も割と入ってた。
この作品については多分たくさんの人が鑑賞して各々感想を持ち考察をしているだろうから、私はレベル低めに思いの丈つらつらと書いていきます。
アレックスガーランド、ソノヤミズノが好きなのか。気が合うね。
「MEN同じ顔の男たち」を作った人ということで、一筋縄ではいかない作品だなと覚悟を決める。
キルスティンダンストの老けっぷりに己の老いも実感する冒頭。
インタビューウィズバンパイア、ヴァージンスーサイズ、スパイダーマン、メランコリア・・割と彼女の役者人生をリアルタイムで観てるんだなあ・・としみじみ。
水を頂戴!と暴動、自爆テロまで起きてしまう中、プレスが集まるホテルは停電しがちでWi-Fiは遅いものの酒や風呂の水は潤沢にありワイワイやってる矛盾。
きっとこういう構図って戦地あるあるなのだろう。
最前線を撮りたい、伝えたい、感じたいという割に非常に感情的で楽観的で邪魔。
薄情さを含めプレスには必要な感覚なのかもしれないけどさ。
話題になったジェシープレモンスのシーン。
最初は
「あ!キミ!憐れみの3章に出てたね!知ってる知ってる!奥さんも出てるもんね!最近振り!何そのメガネ!エルトンジョン好きなの?」
なんて思っていたけど絶望でしたね。私アジア人だし。
なぜアジア人なのか、他にもあるじゃん人種、肌の色、なぜイエローなのか。それはスレスレ狙ったんじゃないのかな、と。
鑑賞前に新しいキャプテン・アメリカの予告もあったからね。
直前に新米カメラマンジェシーが調子こき始めて、やだねやだねと思っていたから
その後にサミーがあんなことなって、吐いてんじゃねえよ、泣いてんじゃねえよ、てめえら今まで何を写真撮ってたんだよ。
サミーの最期の写真を消すリーに「何やってんだ!!!!」ってイラっとするもののそこからみるみるリーが弱っていて、ジェシーが強くなっていく。
そうなると最後どうなるか予想はついちゃうんだけどエンドロールの写真は嫌な感じでよかったですね。
この作品に出てくる人間は、「戦争がなければこうならなかった人間」だ。
カメラマン3人衆だってサミーだってアニャだって大統領だって、あの赤メガネ軍人だって。
カメラマンの場合、戦争がなければ富と名声は得られなかった。
赤メガネ軍人は、自分の思想を爆発させる必要はなかった。
良いのか悪いのか。多分世界のどこかで生まれてしまっている人格たち。
ホラー映画だと人がバンバカ悲惨な死を遂げてもなんとも思わないが、こういう作品だと「皆純真無垢な赤子の時があった」と考えてしまって仕方ない。
人の命をなんだと思ってんだ馬鹿野郎!とサミーの一件あたりからずっと涙が出ていた。
都合いいなあ自分。
逆にシリアスなシーンにとってもノリの良い曲が合わせられているのはよかった。
都合いいなあ自分。
そこはやはりこの作品はスレスレなところまで描いた風刺映画なんだなーと感じた点。
パンフレットを帰宅後に読んだら、監督もスタッフもほとんどがイギリスの人で合致した。そうだ。風刺なんだ。揶揄してんだ。
だったらアメリカっぽい架空の国、の設定でいいじゃんと思うけど
アメリカ設定で良かった。副題はクソだけど。
様々な設定は端折られているのでしょう、他国の様子を説明することもないし。
パワーのあるアメリカを舞台にしたことは、単に揶揄のためだけでなく、どこかで起きている現実だということ、ところかわれば殺されるのはアメリカ人かもしれないということ、近いところには見ないようにしたり、無関心の人たちもいるということ。
こうなっちゃうかもしれないんだぜ。そこをまずアメリカに気付かせてやろう、っていう笑えない冗談なのか。
私だったら真面目にどうにか無関心を装うのかもしれないな
とか私でさえも考えた、私は幸いなことに戦争経験無いし(会社のシビルウォーには参戦してたこともあったかもしれない)本当にあったらどうなるか分かんないけど。
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「キル夫(きるお=マット・デイモン似なキルスティンダンストの夫、エルトンジョン仕様の略)」と表現しており、この役柄もKILLするからKILL夫。最高なネーミング。いただく!