人間て、面白!!_憐れみの3章
出張は実質9連勤、すぐ旅費精算とか速報レポートの提出、出張中の引き継ぎを済ませたかったので12連勤してそのあと4連休をもらった。
が、地域の秋祭りの準備やら息子の通院付き添いやら細々したタスクがあり実質休みっぽい休みは4連休のうち3日目だけ。その日に映画館に行こうと決める。
憐れみの3章は確実に観たかったのでチケットは前日に買い、そのあとにCloudとヒットマンを観ようとしたのだが悩んでいた。
なぜなら予想以上に疲れていたから。
休み初日。今年最後の花火大会を見に行き
花火終盤くらいでトイレに行くと夫と息子が離れたんだが
なぜか金魚を連れて戻ってくる事件が発生
書くと長くなるから端折るけど、それから非常に私にとってストレスフルなシチュエーションの連続。いろいろ察していただきたい。
これで4連休の前二日を秋祭りの準備とともに気力体力精神力を失うこととなる。
3日目の朝、自分の顔を見ると出張中眠れなくても出来なかったクマが発生しておりゲンナリ。映画は一本にしよう。しかし生き残った金魚は元気そうで何より。
と、いうことで憐れみの3章に集中だ!!!
まずヨルゴス監督作品を一年に2作劇場で観れたことに感謝するとともに
冒頭の SWEET DREAMS(ARE MADE OF THIS)に心鷲掴みされる。
歌詞も良い。
マーガレットクアリーに早々再会できたことにも感謝。
この作品、3つのお話を同じ役者たちがそれぞれ違う役で演じている。
邦題は 憐れみの3章
原題は KINDS OF KINDNESS
優しさの種類??でいいのか??思いやりとか親切心とか厚意・・。
てか邦題よ!!!!全然違うじゃん!この野郎!・・と鑑賞前は思うんだけど見た後は邦題いいじゃん!と思った。寧ろ原題より好きかも。
前作 哀れなるものたち からの 憐れみの3章 の流れが「あれ?続き?同じ?」と勘違いさせる?させない?あっそ。観た結果好きだよね、私は。
この通りなのであれば、お話の中で主人公を憐んでいるのは主人公にとって強い影響力を持つ人間。でもその人間を憐れんでいるのは観ている私たちなのではないか。
なんてね。3章あるんだな。ってのも分かりやすくていいですね。
何に憐れみを感じるのか、それぞれの主人公になのか、すべての登場人物になのか。自分含めた人間なのか。この世の全てなのか。
深くもなく浅く広い受け取り方でOKみたいなタイトルで結果オーライ。そう考えると原題は奥深い、それも良し。
ヨルゴス監督の哀れなるものたちや女王陛下のお気に入りと比較すると、もっと説明してくれ感があるものの、背景は現実的だから無慈悲感を強く感じるし滑稽さも感じやすいから入り込みやすい。
各ストーリー毎で役者が演じる役は違うんだけど、シーンや関係性がリンクするところも面白い。
ちょいちょいコントのような滑稽すぎる場面があって笑ってしまう。自分の死を見せるために空のプールにちゃんと水着姿で飛び込むの面白かったわ・・。
3章ともR.M.F.っていう共通人物がいて、主人公でも影響力のある人物でもない。なのにそれぞれタイトルはR.M.F.の死、R.M.F.は飛ぶ、R.M.F.サンドイッチを食べる。最後の章だけ最後まで分かんなくて最後の最後に笑った。
3章の共通点は「依存」なのかな。
依存するものがなくなると、人間はこんな簡単に判断できなくなったり周りに疑問を持ちやすくなり、取り戻すために狂ってくる
2つ目のお話はちょっと異質な感じもするけど、自分に近い当たり前の現実が少し狂い始めたら何もかも信じれなくなるっていう、当たり前の日常への依存、一番私に近いかも。
依存に関しては次に書きたいなーと思っている「ソルトバーン」と「Back to Black」の2作にも通ずる言葉で、何かを信じたい、何かに縋りたいっていうのは人間誰にでも少なからずある欲望なのかなあと思った。
表面の滑稽さも面白いが、そこから感じる人間そのものへのおかしさへの気づきもまた面白い。大変良き作品でした。