映画か舞台か_スオミの話をしよう
海外出張直前の映画は3本観ることに決めていた。
帰国すると色々予定詰まっているから尚更に。
2本目は スオミの話をしよう
三谷幸喜贔屓ではないけれど、初めて好きになった連ドラは「やっぱり猫が好き」で「古畑任三郎」も好き。
マイベスト佐藤浩市は「ザ・マジックアワー」で
マイベスト西田敏行は「ステキな金縛り」。
と、割と三谷幸喜監督は肯定的に私のエンタメ脳に刻まれている人。
今作は予告で観よう!と決めていた。
謎の女 って興味そそられるのよね。
あと役者陣、いかにも三谷監督が選出したであろう強豪揃い。
でもね、事前情報で
「今までの三谷作品の中で一番近いのはギャラクシー街道」
と知り、頭がちょっとフワッとした。
ギャラクシー街道
当時私が信頼を置いていた批評サイトで今までに観たことがない点数を叩き出していた作品。
「面白半分でも観てはいけない」
「点数低くて逆に観たくなっても観てはいけない」
と辛辣なコメント欄も印象的だった。
元々、ギャラクシー街道は出演者や作品の背景にそこまで興味が湧かず観てないのだが
後々知るとかなり舞台寄りな構成で、興行収入的にはコケでも舞台の三谷幸喜を慣れ親しんでいる人には評価が高かったそう。
でも結局今現在未見作品なのだが。
なので期待と不安が入り混じる気持ちで臨む。
いつもより大きなスクリーンでお客さんも多い。
なんていうのかな。
一言で言えば
長澤まさみと宮澤エマの演技カタログ
でしたね。
とはいえ、長澤まさみは色んな役をやってるからそこまで意外性はなかったけど。
あらゆるところに三谷監督っぽい設定や笑いが散りばめられていて
特に「詩人が下品なまでに金にがめつい金持ち」っていうのは非常に良い設定だなと。
中学生時代のシーンを子役にやらせなくて異様に長澤まさみの長身が目立ったり、あるようで絶対ないだろうって思う設定ベースに思いっきりファンタジーな飛行機のシーン。笑うしかないよね。
こういう無理矢理嵌めてる感が三谷作品の面白いところと思うのよ私は。
確かに舞台感は非常に強くて、おそらく舞台を意識しているんだなっていうセットや画角や長回し。登場人物が殆ど主要人物で、ちょろっと出てくる前妻の子供に強烈なクソガキ感を観る人に与えるのも舞台っぽいなーと観ていた。
有頂天ホテルや清須会議のようなバタバタ要素が物足りないなあとは思ったけど
役者が皆濃い!小林隆さんがズルいくらい可愛らしかった。宮澤エマさんも最高。
最後の最後までは普通に面白い映画として観てた。最後までは。
で、あの、ヘルシンキ の 件
今でも頭から離れない口ずさんでしまうくらい中毒性のある曲なのだが
劇場で観ている時はかなり「恥ずかしい」気分になっていた。
生の観劇であれをやられたら「何やってんのハハハ」なんだけど、映画館で観ると「いやーもういいからやめてー(恥)」ってなっちゃう。
それが三谷流の笑いなのであればそれはそれでいいのだろうけど
昨年ハマったリバー流れないでよのヨーロッパ企画の作品や
最近だとお母さんが一緒、元々舞台作品だったものの映画化は最近私の中で「面白い日本映画を選ぶ目安」の一つ
ミュージカルの映画化作品も良作だらけだなーと思っているのですが
それは映画ならではの表現と、舞台と変わらない表現を制作側が上手に上手に重ねて出来たものなんだなあと改めて感じることができた。
舞台の臨場感あってのことを映画でそのままやってはいけないというのはこれでかなりよく分かった作品となってしまった。
その日の夜、荷造りをしている最中
テレビで「記憶にございません」を放送していて荷造りを早々に切り上げて腹抱えて笑った。
こういうの期待してまた次の三谷映画は観に行ってしまうんだろうなあ。