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脱臼からの急接近_ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ

私は やたらめったら 映画館に行き映画を観たい。本当は。
だけど 仕事あるし 家庭があるし お金に限りはあるし 映画館は遠いし 上映時間との相性もある。

観たい映画が何本かあった。
けど全然観れなかった。
タイミングもあったけど映画館に行って映画を観る気力にならなかった。映画館って元気だから行けるんだなと思った。家で録画は何本か観た。

ある週末、会社の人とランチに行ったが、帰りに花火大会の大混雑に巻き込まれ帰宅困難になり結局ディナーまでして帰宅、なのに翌日も昼の時間に美容院の予約を入れており、明らかに夫の負荷が申し訳ない感じに。

私は美容院へ、夫と子供はランチを食べに出かける際
夫「夜、映画観に行っていい?ホールドオーバーズってやつ」

多分佐久間さんがラジオでオススメしてたのかな(夫は佐久間宣行推し)

私「あーいいね、観た人の評価も高いね。観に行って来なよ!」
夫「昼の回もあって、美容院行った後ちょうどいいんじゃない?行ってこれば?俺は夜の回観に行く。」

ホールドオーバーズは7月の観たい映画リストに入れてた。リストは夫と共有しているスケジュールアプリに書き込んでいる。夫がどこまでそれを見てたか知らないけど。

行っていいならね、うん、行こう。
あと夫と同じ作品を観るってあまり無いから良い機会だ。一緒じゃ無いのは残念だけどね。


うん。
いい映画をみた。


映画館で観る映画って私の嗜好がそうなんだけど、いくつか候補がある場合、優先順位の上位は刺激の強い作品になる。
ホールドオーバーズはその点からだと優先順位は低かったんだが、その頃一番観ようとしてた作品はインティマシーコーディネーターの一件で萎えたのとやっぱ今そういう気になれない、元気がなかった。
だから今の精神状態に優しい作品だった。


舞台が1970年代だからか、映画の始まりやエンドロールは当時の映画のようで
チリチリした音、レトロなフォントや文字間、配置が美しい。


正直なところ 置いてけぼり になるまではちょっと退屈感があったんだけど
「脱臼」あたりからめちゃくちゃ面白い。
ハナム先生がアンガスを探すシーンのカット、急なズームアウト
ハナム先生が一応の努力を見せ、それをメアリーとアンガスが冷ややかに対応するところ
クリスマスパーティーでのあれこれ
メアリーと妹のおしゃべりに妹の夫が、やれやれって覗くところ
アンガスとハナム先生の飲んでる薬が実は同じだとか
ハナム先生の咄嗟の嘘にアンガスがのってあげるところ
レストランでチェリージュビリーを断られて材料テイクアウトして車のボンネットで作るところ
一緒に新年を祝うところ

書き出すとキリが無いくらい
フフッってちょっと息が漏れたり心がブワッとなるような
笑えるようで胸が熱くなるシーンが、とにかく 脱臼 から絶え間ない。
脱臼から距離感がどんどん縮まり、お互いの寂しさを埋め、信頼感が増しゆく。
なんだか観ているこっちまで仲良くなった気でいてしまう。


90年代のファミリー向け映画(ロビンウィリアムズとかが出てる)ような いわゆるハートウォーミング ではあるのだけど、サラッとドライなところがあって
途中まで置いてけぼり組の子たちとの仲良いのか悪いのかどっちかよく分かんない関係だったり
(親がヘリコプターで迎えにきた息子のことを「クソガキボンボン小僧」と筆していた方がいて爆笑した。こういう語彙力憧れる。)
親子の描き方とか、先生の諭すシーンだったり、単なる傷の舐め合いではない感じ。70年代が舞台であるけれど描き方は現代ぽくてイイ!と思って観ておりました。


翌朝、夫と映画について話をし「あんなとこで過ごすのやだー、逃げるー」って言ってたけど夫は脱臼前からも楽しく観たようです。
でもやっぱ脱臼後から面白くなるのは同意だった。


終盤の方で、ハナム先生がアンガスに 親がこういう人間だから君もこうなる訳はない。みたいなことを言ってたシーンがあって。
パンフには 君の過去が人生の方向を決めたりしない とも書いてある。

これ、若い時の私に誰か言ったってよー って思った。

昔、血と骨っていう映画をみて「どう頑張っても血と骨は変えられないよなあ」って少し自分の置かれている環境を恨んだことがあった。
申し訳ないけど、私は親のようになりたくない。と生きている。
だけどどこかで、結局は親のような生き方が私には合ってるのかな、親のようになるのかな。今は無理をしているのかなあ、とたまに思うことがある。

でも私は私なんだよね。
もうちょっと早くハナム先生にお会いしたかったなあ。
今でも遅くないか。

超絶にいい役だったメアリー。
彼女だってかなり傷ついているのに人を思いやり叱ることができる人。
弱い部分を見せたとしても、息子のようにアンガスを気遣う最高な人物だった。

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