異文化に触れるとき
初めて海外に行った時のこと。
オランダ人がドアを開けた際、後ろから人が続いているのかを確認して、入ろうとしているのであればドアを支える。そんな彼らの習慣に感化された私は帰国後も真似していたな。
なんてことをこの夏、アメリカで思い出した。
今年の夏はパンデミック後初となる海外、アメリカに行ってきた。幸いなことにアメリカの大学で「教育」について研究する機会をいただいたからだ。学生時代にタイムスリップしたかのようなキャンパスライフを送っただけでなく、ブロードウェイやグランドキャニオンなど行きたかった場所にも訪れることができた。
もっと学びたい。もっと自分の目で世界を見てみたい。
そう思えた時間だった。
そして、「文化」っておもしろいなと改めて感じた。
もともと文化には興味があり、仕事柄、日常から「異文化」や「国際」に触れる機会はあるものの、実際に自分の目で見るからこそ感じるインパクトがある。
異文化に触れるというのは、「後ろの人のためにドアを支える」ような真似したいと思える良い文化と出会うだけではない。
「闇雲にクラクションを鳴らしまくるニューヨーカー」など真似したくないなと思うことも含めてだ。
日本では信号が青になったのに前の車が進んでいなかったらクラクションを軽く鳴らすが、ニューヨークで信号が赤で止まっているのに前の車にクラクションを鳴らすドライバーを何人も見た。
「信号が赤やねんからどうしようもないやん」
なんてことを思って見ていると、前の車も負けじとクラクションを鳴らし返す。
初めは面白がって見ていたが、私は気づいた。これは路上のミュージカルだと。彼らは即興で音楽を作っている。これがニューヨークをエンターテイメント地区にしている理由だ(笑)
ニューヨークでの鳴り止まないクラクションはかわいいものだが、異文化に入ることでストレスになりえることと遭遇することがある。そういった時に私が心がけているのは「上手に対応すること」。
人が異文化に触れるとき、6つのステージがあると大学で学んだことがある。
①Denial(否認)
特徴:異文化の存在や重要性を認識できず、異文化的な違いに無関心。異文化との接触が少ない場合に多く見られる。
例:他国の文化的違いに対して「どこも同じようなものだ」と考えたり、異文化について学ぶことに興味を示さない。
②Defense(防衛)
特徴:文化的な違いを認識しているが、それを否定的または脅威的なものと見なす。他文化を劣っていると感じたり、自文化を守るために異文化を拒絶する反応が多く見られる。
例:他の文化を軽視したり、「自分の文化が一番正しい」という考え方が強い。
③Minimization(最小化)
特徴:異文化の違いを認識しつつも、その違いを軽視しようとする。文化の違いよりも「人間は皆同じだ」という共通点を強調し、文化的な多様性を十分に理解しようとしない傾向がある。
例: 異文化との違いを表面的に捉え、「どの文化も本質的には似ている」と考える。
④Acceptance(受容)
特徴:個人は文化的な違いを深く理解し、尊重するようになる。この段階では、異文化が単に異なるだけでなく、根本的に異なる価値観や行動様式を持っていることを認識する。
例: 他の文化の価値観や信念を理解し、批判的ではなく尊重しようとする。
⑤Adaptation(適応)
特徴:個人は異文化の中でより効果的に振る舞うために、自分の行動や思考を調整し始める。この段階では、異文化の規範や価値観を理解し、それに基づいて行動を変えることができるようになる。
例:異文化でのコミュニケーションスタイルを柔軟に変えたり、異文化での期待に合わせて行動できる。
⑥Integration(統合)
特徴:複数の文化的視点や実践の中を柔軟に行き来する能力を持つ。自分のアイデンティティが複数の文化にまたがっていることを認識し、状況に応じて異なる文化的な行動や思考を採用できるようになる。
例:複数の文化に精通し、それぞれの文化の中で自然に行動できる。
これらの6つのステージは外国での異文化だけでなく、国内で違う文化、価値観に触れたときも同じだろう。ここのステージだからダメみたいなことはないと思う。ただ、私は頭を柔軟に保ち、良い文化は自分に取り入れ、良く思わない文化の中でも大らかに、上手に対応する。(無駄にストレスを溜めない。その中で、自分の価値観は大切に持つ)
異文化に触れるとき、私はそういう心構えでいたいな。
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