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【校閲ダヨリ】 vol. 42 「0120」はフリーダイヤルだけじゃない




みなさまおつかれさまです。

今回は、ちょっとコアなテーマです(いつもコアな気もします)。

先様から、「問い合わせ先はこちらを載せてください」といって「0120」から始まる着信課金サービス(かけた側が無料)の電話番号を送付いただいたとします。
当然、そのまま掲載されることになるのですが、「フリーダイヤル 0120-……」と安易に載せるのは注意が必要です。

なぜかというと、「フリーダイヤル」という単語は、「NTTコミュニケーションズが提供する電話サービス」に該当するからです。つまり、商標ですね。
よく見かけるフリーダイヤルマークも、同様の扱いになります。

フリーダイヤルマーク


ちなみに「フリーダイヤルロゴマーク ご利用マニュアル」によると、
マークには「基本カラー」として、DIC572という特色を使用することが望ましい旨が述べられています。

※特色とは、金・銀・蛍光色のような、一般的なプロセスカラー「CMYK」の組み合わせでは表現できない彩度の色を指します。
DICPANTONEなど、各メーカーオリジナルの色を指定して入稿することで、環境によらず一定の色を出すことができます。


事態を複雑にしているのは、「フリーダイヤル」という単語はNTTコミュニケーションズしか使えないのに対し、「0120」から始まる着信課金サービスの番号が割り当てられている会社はNTTコミュニケーションズだけではないという点です。

Rakuten Communications が運営する「フリーボイス」、KDDIが運営する「フリーコールS」、SoftBank運営の「フリーコールスーパー」等、0120番号取得可能なサービスがたくさん存在しており、各社オリジナルのマークがあります。
   
   
なので、「0120 = フリーダイヤル」という固定観念は危険なのです。
   
   

ふむふむ、危険なのはわかった。でも、そこは校閲がセーフティネットになってくれるんでしょう?

   
   
それが、残念ながら、そこを確認するのはさまざまな理由からとても難しいのです。
   
記載の「0120」ナンバーがフリーダイヤルに該当するかどうかは、先様の契約している電気通信事業者がNTTコミュニケーションズかどうか調べなくてはなりませんよね。
先様のオフィシャルHPにそこまで記載している状況に出くわしたことはありませんし、校了に追われながら作業をしている我々にとって、先様に直接ご確認する時間もありません。
たとえ確認できたとしても、日頃やりとりのない見ず知らずの我々に簡単に契約会社をおしえてくれるでしょうか。
(電話番号を入力すると番号提供事業者を表示してくれるサイトもあるようですが、安全性が心許ないため、プロフェッショナルとしての我々の使用には堪えません)
   
なので、現実的なラインとして、先様のオフィシャルHPに「フリーダイヤル」と記載があれば、私たちはそれ以上追いかけることはしません
「フリーダイヤル」と記載がないのに編集によってフリーダイヤルマークが付されてしまっているような場合には指摘を入れますが、それもセーフティネットと呼べる強度があるかはわかりません。
   
私どもの弱さを露呈するような内容になってしまいましたが、この問題についてはこれが校閲の限界であると私は考えています。
商標が絡んでおり、究極に正しいものを求める必要がある「0120」問題にかんしては……掲載元の、みなさまのご理解とご協力が不可欠です
   
自社でオフィシャルHPや販促物、プレスリリースを制作するとき、SNS発信をするとき、0120が果たしてフリーダイヤルかどうか、今一度ご確認をお願いできれば、本記事の浮かぶ瀬もありましょう。
   
   
それでは、また次回。
   


参考
フリーダイヤルロゴマーク ご利用マニュアル」(NTTコミュニケーションズ)
フリーボイス」(Rakuten Communications)
フリーコールS」(KDDI)
フリーコールスーパー」(SoftBank)



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