「福岡市 教師によるいじめ」でっちあげ事件報道検証 2~西岡研介さんの唯一の記事の正当性の根拠である福岡市教育委員会が敗訴した第一審判決は信用できるのか
村田兆治さんの死去に関する西岡研介さんの私見
令和4年11月11日、元プロ野球選手であった村田兆治さんが自宅の火災が原因で死去しました。この死去を報じる報道について、西岡研介さんはこうおっしゃっています。
ニュースを一面的ではなく多角的に見るべきであるという西岡研介さんのご主張は、ジャーナリストとして非常に結構な視点であると思います。ただ、この非常に結構な視点がご自分の仕事に対する検証となると明後日の方向に行ってしまうのはどういうことでしょうか。
「福岡市 教師によるいじめ」でっちあげ事件の福岡市に対する判決を一面的に解釈する西岡研介さん
西岡研介さんは、「俺たち訴えられました!SLAPP裁判との闘い」において、次のように述べて自らが報じた週刊文春でのデマ記事を正当化しています。
この民事訴訟において、西岡研介さんが報道に携わっている者として当然事実を認識していなければならないにもかかわらず、その注意義務を怠って認識することができなかったか、意図的に事実を伏せた部分があります。福岡地方裁判所で審理がなされた第一審において、福岡市教育委員会と小学校教師は対立する立場にあるという点です。平成15年8月22日に福岡市教育委員会は小学校教師に対して停職6月の懲戒処分を科しており、懲戒処分の理由となった小学校教師の行為について、この民事訴訟においても否定することができないのに対し、小学校教師はその行為そのものについて無かったと否定しているのです。
民事訴訟においては裁判所の判断が当事者の主張や提出した証拠に拘束されますから、福岡市教育委員会がなした懲戒処分の理由となる小学校教師の行為について、原告である児童、児童の保護者と、被告である福岡市との間においては争いがないことになります。したがって、裁判所の判断においては、原告と被告福岡市との間の争いにおいて、福岡市教育委員会がなした懲戒処分の理由となっている小学校教師の行為については事実であるとして扱われることになります。
西岡研介さんは、「マングローブ」で数多くの民事訴訟を経験しているにもかかわらず、民事訴訟において裁判所がどのように判断するかご存じないほど民事訴訟の知識がないのでしょうか。それとも、自らがなした人一人の命を奪っていたかもしれないほどのデマ記事の責任を逃れる根拠が判決しかないため、意図的にその事実に触れなかったのでしょうか。いずれにしても村田兆治さんの死去に対する切れ味鋭い指摘とは程遠い西岡研介さんの鈍すぎるセンスのみがこの民事訴訟に関する主張で目立つことだけは確かなようです。
福田ますみさんの著書「でっちあげ」においては、福岡市教育委員会が小学校教師に対してなした懲戒処分の理由となった行為について被告福岡市が争っていないことが記載されています。
そして、判決についてもこう触れています。(浅川裕二の父親は浅川卓二と仮名で記載)
被告福岡市の最終弁論の主張と判決を比較検証すると、被告福岡市と原告との間で懲戒処分の理由となった小学校教師の行為について争いがなかったから原告と被告福岡市との間において被告福岡市の不法行為が認められたとしか考えられませんが、西岡研介さんは一体どんな根拠で「国賠法(国家賠償法)では、『公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて他人に損害を加えたときは、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる』って定められているから、教師個人は賠償責任を免れ」たなどという主張をなさっているのでしょうか。