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トランプ米国大統領に対する懸念
ウクライナ抜きの侵略国ロシアと米国の会談
他国のトップということもあり、トランプ米国大統領に関して私はあまり関心を持っていませんでした。ただ、一点のみ不安に感じていたことがありました。それはロシアとの距離です。一期目の大統領選挙でのロシアによる干渉の疑惑なども相まって、現在進行形であるロシアの侵略行為に対して、融和的な対応をとるのではないかという懸念でした。そして、残念ながらその懸念は的中しつつあるようです。
【ワシントン=阿部真司】米国のトランプ大統領は18日、ロシアのウクライナ侵略の停戦交渉に向けてサウジアラビアで行われた米露高官協議を受け、停戦交渉の見通しに「自信を深めている」と述べた。プーチン露大統領との直接会談にも改めて意欲を示した。
フロリダ州で記者団に語った。トランプ氏は、月内にプーチン氏と会談する予定があるかどうかを問われ、「おそらく(会談する)」と答え、前向きな考えを示した。停戦後に欧州の有志国が平和維持部隊をウクライナに派遣する構想について、「彼らがそうしたいのであれば、素晴らしいことだ」と述べ、賛同した。
また、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領について「支持率が落ちている」として、同国で大統領選挙を行うべきだとの考えを示した。多くの他国も同様の意見だと主張した。
これに関連し、FOXニュースは18日、米国が停戦交渉を巡り、〈1〉停戦〈2〉ウクライナでの大統領選挙〈3〉最終的な協定の締結――という3段階の和平案を検討していると報じた。ウクライナは昨年、戦時下を理由に大統領選を延期し、露側はこれを口実として、ゼレンスキー氏に協定に署名する資格がないと主張している。
18日にサウジで行われた米露高官協議には、米側はルビオ国務長官らが、露側はラブロフ外相らが出席した。停戦の実現に向け、米露が高官級の交渉チームを設置することや、米露関係の正常化に向けた協議の枠組みを作ることで合意した。トランプ氏が意欲を示す米露首脳会談の日程は決まらなかった。
米国務省は同日、ルビオ氏が米露間の協議後、英仏独伊の各外相らに露側との合意内容を説明したと発表した。
今回のロシアによる武力侵略は、ロシアのプーチン大統領によってなされたものであり、帝国主義の時代の再来を防ぐためにはロシアに侵略戦争という国際法違反の行為に対する制裁をしっかりと科することが非常に重要です。そして、帝国主義の時代を心待ちにしている中国の習近平主席などにしっかりとしたメッセージを発する外交を展開することこそが、ウクライナへの武力侵略を停止させる交渉の中で最も重要な点なのではないでしょうか。武力侵略したロシアに利を与えるようなことをなせば、それはトランプ米国大統領が武力侵略に対して毅然として対応することができないというメッセージを発することになり、ご自身が懸念する対中国外交に深刻な影響を与えることになるでしょう。ひょっとしたら中国はトランプ大統領が前回の大統領選でプーチン大統領に大きな借りがあるのではないかと考えて、トランプ大統領の足下を見た対応をするかもしれません。
プーチン大統領の主張を信じ込む外交センスゼロのトランプ大統領
このトランプ大統領は、プーチン大統領の主張を信じ込んで、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を「戦争」に引きずりこんだなどとおっしゃい、「そこそこ成功したコメディアン」などとゼレンスキー大統領を誹謗中傷しています。ただ、対露外交において外交の基本が分かっていないとしかいえないトランプ大統領は、せいぜい「そこそこ成功したビジネスマン」レベルの外交センスしかないと言えるでしょう。そして、トランプ大統領にそのようなセンスゼロの外交をさせるホワイトハウスには外交が分かる人間が一人もいないのかもしれません。