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弘兼憲史さんの「社外取締役島耕作」に思うこと

弘兼憲史さんが「社外取締役島耕作」の表現を撤回し謝罪

 漫画家の弘兼憲史さんがコミックモーニング連載の「社外取締役 島耕作」に不適切な表現があったとして謝罪しました。

 講談社の漫画誌「モーニング」の17日発売号に掲載された「社外取締役 島耕作」の中に、不適切な表現があったとして21日、作者の弘兼憲史氏(77)と同誌編集部が公式サイトで謝罪した。沖縄の米軍基地建設への抗議活動を巡る表現に、地元住民とみられる女性が「アルバイトでやっている人がたくさんいますよ」とのセリフがあり、同サイトは「当事者からは確認の取れていない伝聞だった」として、単行本掲載時には内容を修正することも発表した。
 同サイトでは「モーニング46号(2024年10月17日発売)『社外取締役 島耕作』に関するお詫びとお知らせ」というタイトルで、「米軍新基地建設に関連し、『抗議する側もアルバイトでやっている人がたくさんいますよ 私も一日いくらの日当で雇われたことがありました』という登場人物のセリフがありました」と、該当箇所の表現を引用。そして「本作執筆にあたり作者・担当編集者が沖縄へ赴き、ストーリー制作上必要な観光業を中心とした取材活動をいたしました。その過程で、『新基地建設反対派のアルバイトがある』という話を複数の県民の方から聞き作品に反映させました」と、表現に至った経緯を説明した。
 一方で、「しかし、あくまでこれは当事者からは確認の取れていない伝聞でした。にもかかわらず断定的な描写で描いたこと、登場キャラクターのセリフとして言わせたこと、編集部としてそれをそのまま掲載したことは、フィクション作品とはいえ軽率な判断だったと言わざるを得ません」と謝罪した。また、「読者の皆さまにお詫びするとともに、編集部と作者の協議の上、単行本掲載時には内容の修正をいたします」とした。

日刊スポーツ「漫画『島耕作』作者の弘兼憲史氏ら謝罪『伝聞だった』沖縄の米軍基地建設への抗議活動を巡る表現」

 弘兼憲史さんといえば「課長 島耕作」でヒットし、松下電器産業のサラリーマンであったという経験もあって、一時期多くのビジネス本を執筆しており、私も読んだことがありました。しかしながら、そのビジネス本の内容は、辟易とするほどご自身も属する団塊世代を殊更誇大に表現したものでした。例えば、団塊の世代は警察などに殴られてきた世代だから上に対する遠慮がない世代だとか、大勢の者がいることで厳しい選抜を経てきた世代であるとか述べていたのです。このような表現は「課長 島耕作」の中でもしばしば見られ、初芝電器の大泉裕介社長が、当時四十代であった団塊の世代の樫村を後任社長と考えており、これから団塊の世代は次々とトップに立っていくと述べ、大泉裕介社長が団塊の世代を特別に優秀な世代であると考えていることが明らかにされる場面などが思い出されます。
 そのような弘兼憲史さんですから漫画の表現で不適切なものがあったとしても不思議ではありません。ただ、疑問に思うのは講談社の校正は一体何をしていたのかという点です。辺野古基地の活動家らがアルバイトであるとか日当が出るなどという表現が表現規制と抗議を殊更におこなっている活動家らがライオンの獣舎に投げ込まれた生肉にあさるように飛びついてくることは弘兼憲史さんや校正を担当する講談社の社員よりはるかに世間の狭い私ですら分かることです。その結果、辺野古の警備員事故死の動画が公開されたことから目をそらせようとする一部を持つ者のイデオロギーの格好の餌食となって、表現規制の成功体験が彼らへのボーナスとなってしまったのです。講談社の校正はこの程度の未来すら想定しなかったのでしょうか。