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大企業をデザインの力で変えるために必要なこと|NTT Com KOEL Talk レポート#2

こんにちは、KOELの細谷です。本noteは前回に引き続き、2020年7月30日に開催されたイベント、「コロナの時代にデザインができること:NTT Com KOEL Talk #1」の様子を紹介するイベントレポートの第二弾です。

今回は我々KOELから、大企業にデザインを浸透させる意義と難しさと、その壁の超え方をお話しさせていただきました。

デザインの力でNTTというゾウを変えていく

NTT Communicationsと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。OCNなどのインターネットサービスを思い浮かべる人もいれば、電話や海底ケーブルを想像する人もいると思います。どれも正解で、コミュニケーションを軸に、NTT Comの事業領域は多岐にわたっています。

「NTTグループではSmart Worldと呼ばれるビジョンを掲げて、BtoBtoXと言われるような形で他の企業様との協業・共創にも取り組みながら最近だとBtoBtoXと呼ばれるように、新しいサービスを通じて社会課題の解決を目指しています」
KOELの立ち上げ以前から社内でデザイン活動の浸透を続けてきた金さんが、NTT Comの目指す世界観を語ります。

ではなぜそのNTTでデザインが必要なのでしょうか。KOELの立ち上げメンバーであり、デザイン活動からメンバー採用まで幅広く活動する武田さんは、大企業ならではの課題があると話します。

武田さん:いろんなことを掲げているけど、うまくいくことばかりではありません。VUCAの時代と言いますが、今もコロナの影響で1週間先どころか明日も読めない時代です。そんな時代を生き抜くにはUX/スピード/実験マインドの3つが必要です。
NTTは大きいことをじっくりやってみる会社でした。ゾウのように、パワーはあるけど早くない。昔はつなぐことが我々の使命で、やることは明確でした。しかし今はもうスマホの普及率が80%以上であり、つなぐ先の価値を提供する必要があります。そのためには大きくて早くて凄いゾウにならないといけない。

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デザイナーは人々と社会の代弁者だ

前のパートでは、KESIKIの石川さんがPURPOSEの重要性をお話ししていましたが、KOELのPURPOSEは何なのでしょうか。武田さんは、「ソフトウェアの世界で愛されるインフラを作っていく」と話します。

武田さん:我々KOELのミッションは、デザインとコミュニケーションを掛け合わせて、社会の創造力を開放することです。具体的に何を作るのかをビジョンとして、「愛される社会インフラをデザインする」と定義しました。じゃあそのデザインってなんだろうと考えたとき、「問う/創る/動かす」の3つで表現できると考えました。新しい視点を見つけ、形にして、ちゃんと社会に実装する。この3つを掲げてKOELは生まれました。

金さんは「NTTって凄い技術者やコンサルティング能力に長けている人がたくさんいるんです。けど、人が本質的に何を求めているのかを突き詰めるところが弱い。そこをKOELが補強していく」と、NTT ComでのKOELの役割を説明します。

金さん:NTT ComがあってKOELがあり、その外に企業のお客様がいて、さらにその先に日々を暮らす人たちや社会、地球といった広がりがあります。普段のビジネスの世界にいると、どうしても目の前のお客様ばかり見てしまうが、本当はその先にいる人々や社会を見て、それを豊かにするためにどうすればいいのかを考えないといけない。我々はそんないろんな人たちの代弁者になります。
例えば、今まさに人類が直面しているコロナでも、接触者通知アプリを使ってもらえていない。「危機だから」と言われても、怖くて使ってくれない。単純にシステムを提供するだけでなく、コミュニケーションのあり方や個人情報のあり方を含めて、そこを代弁者として伝えて使ってもらえるものにしていく。それがデザインの役割だと思います。

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大企業でデザインが当たり前になる文化をつくるには

「今まで理想を話してきましたが、実際はいろんなところにぶつかってきた」と金さんは話します。

大きな組織のなかでデザイン組織を作っていくときにぶつかる壁を超えて、デザインを組織に根付かせるにはどうしたらいいのでしょうか。金さんは「ポイントは成功事例とキャリアをつくることだ」と説明します。

金さん:NTT Comは今までデザイナーがおらず、デザインの仕事が存在しなかった。そこで、まず組織の仕事でデザイナーの活躍できる領域はないか探すところから始まりました。次に、その組織の中で象徴的な成功事例を作っていきます。そこでは実践的な研修を用意して、我々ではなくその組織の人たち主体でデザイン活動をやってもらうようにしました。そして対象領域をどんどん広げていく。
この成功を広げていくやり方がうまくいきました。

金さん:もう一つはキャリアです。私たちはデザイナーの職種を4つ定義し、必要なスキルもセットで提示しました。これによって、デザイナーはどれを目指してキャリアを積めばいいのかを明確になるだけでなく、デザイナーとしてのプライドも生まれます。
我々は元々はノンデザイナーの集団でした。バックグラウンドもバラバラで、デザインの経験も濃淡があります。ただ、全員熱い思いを持った人たちです。この集団をいかに強力なデザイン集団に進化させていくのかが次の課題です。

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KOEL原田によるグラフィックレコーディング

デザイナーが熱い思いと誇りを身に付けられる文化を組織に浸透させてきたKOEL。その挑戦は始まったばかりです。
次回は、KESIKIとKOELのクロストークセッションの模様をお伝えします。併せてご覧ください!

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