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スケジュールは大切だけれども、魔法のツールではない

この記事は2,211文字あります。個人差はありますが、3分〜5分でお読みいただけます。

中身とセットで

  • 「スケジュールによって見通しを伝えているけれども、うまくいかない」

  • 「見てくれない」

  • 「スケジュールに関係なく自由に動いてしまって、ご本人が過ごしたいように過ごしているので、活動の提供が難しい」

こうしたご質問をよく頂きます。具体的・個別的にはそのお子さんを知らないと難しいのですが、原則的な考え方について書いていきたいと思います。

「予告と視覚化(=わかる形で見通しを伝えること=スケジュールを活用すること)が大事」というのは、支援現場ではあたりまえのように言われることが増えてきました。その一方で、より重要なことは、スケジュールさえあればその通り行動してくれるような魔法のツールではないということです。予定や見通しを伝えていくためには、その中身も非常に大切です。

つまり、そもそもの活動があまりなければ、そもそも魅力ある活動がない場合には伝える中身もありません。スケジュールを活用しながら見通しを伝える際には、中身とセットで考えるということです。

例えば、自分の所属している組織だったり、身内から手帳を支給される制度があったとします。その手帳にはすでに予定が書き込まれており、休日の過ごし方など全て決められているとします。しかも、自分にとって関心のない活動も含まれています。「もう予定を組んでおいたから使ってね。これで予定を考える負担が減るといいね」と言われても、どうでしょうか?

そうした手帳は見たくないし、どうしてその通りやらなければならないんだろうと疑問が湧くことが多いのではないでしょうか?

モチベーションという視点を持って

自閉症スペクトラムの方々は、動機(モチベーション)の有無によって活動へ参加したいと思うかそうじゃないと思うか、その濃淡がはっきり出ると言われているので、なおさら重要です。

ですので、もしスケジュールでうまくいかないということがあれば、そもそもの形態が合っていない(その伝え方ではわからない)ということもありますが、同時に下記のようなことも考える必要がありそうです。
・そもそも中身が合っていない
・魅力のある中身じゃない
・いつも同じで飽きていないか

そうした中身もセットなんだという視点を持って取り組んでみてもらうと、また違ってくるのかなと思います。もちろん、全てを興味関心のある中身にできるわけではありません。でも、そうしたことを増やすことはできるかもしれません。

つまり、
・モチベーションの持てるような中身が考えることができているか
・いかに、そうした活動を組み立てることができているか
が大事です。

活動の組み立て方も

そして、もう一つ。
興味ないことと興味あることの順番も重要です。例えば、興味ない活動の次に魅力ある活動を持ってくると、あまりモチベーションのない活動に一つ取り組んだら次の魅力が出てくるというようにすることで、興味ない活動へのモチベーションも少し上がるようなことがあります。

必ずそうした方がいいというわけではなくて、実際にはケースバイケースで、毎回その順番であればうまくいくわけではありませんが、スケジュールを考える場合には、中身、組み立て方、どう提示するかも意識してみてはいかがでしょうか。

今回はスケジュールをテーマに書きましたが、今回のような考えはスケジュールに限ったことではありません。構造化、つまり、わかりやすい環境を考えていく際に大切な考え方です。そうした構造化をテーマに、代表を務めているTEACCH研究会東北支部にて、6月18日(日)にお話をさせて頂きます。

TEACCHプログラム研究会東北支部

TEACCHプログラム研究会ではこれからご一緒いただける会員の方々を募集しています(東北在住の有無は問いません)。東北支部会員の皆さんには、これまで会員限定コラムや動画を配信しています。支部としては、一般的な研修の機会だけを提供するのではなく、会員の皆さんにとって有益となるようなものを提供させて頂いたり、コミュニティとしてより繋がりができ、そこに価値を作っていきたいと思っています。現在の会員特典としては下記になっていますが、今後より充実させていきたいと考えています。

【会員特典】
・研修費の割引
・会報誌の閲覧 ・指定する研修参加への助成(最大50%、上限2万円) ・限定コラムの配信(無料)
・限定動画の配信(無料)
・オンライン座談会(無料)

【今後追加する特典】
・新たに支部会員との対談動画を配信していく(会員のみ視聴可能。無料)。→内容としては、会員の皆さんの中にはさまざまな立場の方がおり、それを活かした取り組みをしていきたいと思っています。例えば、偏食含めた食事における工夫、心理検査を活用するための工夫、発達障害と司法など、それぞれの専門家の方々と佐々木とで対談をし(45分〜60分程度)、それをお届けしたいと企画しています。5月は、「偏食含めた食事における工夫」ということで調理師の方とお話ししたいと思います。  

このコンテンツでは、普段の研修会とは違った、よりニッチなこともテーマとして扱っていきたいと思いますし、会員の皆さんからもご質問をお受けしたいと思います。ぜひご一緒しませんか?

佐々木康栄

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