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わたしの本棚

私が棚に並べるのは、古風な日本人からたまたま譲りうけた古書ばかりで、元の持ち主が亡くなった方も少なくない。要は私の本棚で一時期お預かりしているだけに過ぎない。そのような絶版ばかり…
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2024年1月の記事一覧

『科学と生命と言語の秘密』松岡正剛×津田一郎 | 春秋文庫

 私は松岡正剛が校長をされているISIS編集学校の卒業生になる。十年目の「離」なるコースを卒業(編集学校では退院という)したから、共読仲間とともに「十離」と呼ばれることもある。たまに老舗の居酒屋にて本で乾杯する仲だ。本書との出逢いはそんな十離仲間の「半分もわかっていなかった」というメッセージからはじまった。  思い起こせば、離に入院してからの数ヶ月はひどかった。幼い頃、病弱だった私は医者に幾度も「今夜が峠です」と云われてきたが、そんな私でも離の入院中は厳しいものがあった。極

『神の革命』福岡正信 │ 春秋社

 福岡はFUKUOKAとした方が今なお話が通る。要は海外の方が一目を置いているのだ。近代の我が國にありがちな話で、隣人に世界が求めてやまない人物がいるのに、一瞥もせず、妄想の西欧を追い求める癖は未だに抜けていない。「君は日本人のくせにFUKUOKAを識らないのか」と云われて久しい。  さて本書は「無」三部作のひとつで宗教篇にあたる。まずは最初の頁を引用させていただこうか。  FUKUOKAと云えば自然農法(Natural Farming)だが、実際は宗教人や哲學家といった

『古神道秘訣』荒深道齊 | 八幡書店

 鎖國主義の私のまわりには所謂、靈能力者が妙に居る。おそらく偏見がないのが佳いのであろう。中には親交が深まる方もおいでる。鎖國主義なのに。書道をしているせいか、ついでに靈符を頼まれる機会も少なくない。彼ら曰く、私は「わかっていないけれど、なぜかできる」性質の男らしく、時にはブラック企業も青ざめる数の除靈案件も舞い込んでくる。無論、こちらは商売ではないから無償だ。  別に関心がないので、除靈も必要以上にはしないけれども、現時点では自分の周囲に舞い込んできたものに関しては、仕方