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自由進度学習のデメリット

自由進度学習の学習スタイルを用いるデメリットについてお話したいと思います。メリットだけ書いていても不安になる方も多いと思うので、私の現時点で感じている反対側の部分も包み隠さずにお話したいと思います。

私としては、この部分はかなり策を練っていかないと難しいポイントが一つあります。それは、協働的な学びがかなり工夫しないと難しいという点です。

対話的学びが生まれなければ、深い学びに繋がらず、資質能力が育つことにも繋がりません。

個別最適な学びとの相性


自由進度学習は、個別最適な学びとは相性抜群だと思います。単元目標や学習目標を明確に子どもたちに示して、学習者である子どもたちに委ねて学習計画を立てていく自由進度学習というスタイルは、指導の個別化もしやすく、学習の成果も出やすいと感じます。一人ひとりがバラバラで良いんだ、自分のペースで良いんだといった教室空間が生まれやすくなります。

協働的な学びの難しさ


ですが、自由進度学習内における協働的な学びという視点がなかなか難しいですね。ここは、やはりプロジェクト学習や協働学習、ICTを用いた共同編集の学習などが相性が良いと感じます。なので、ここは自由進度学習の中に一工夫が必要です。そもそも、オリジナルの緒川小学校さんの実践が「一人学び」という文脈から受け継がれてきているスタイルですので、どうしても個々人が学ぶ流れになってしまうんです。

自由進度学習の対策:一人で学ぶスタイルの経験


このデメリットに対する対策は二つあるので、それを記して終わりにしたいと思います。一つ目は、これは対策というより、開き直って、勉強は基本的に一人で進めるものだという現実を経験する「学び」として取り入れてみることです。これは私個人の意見ですが、勉強の基本は一人だと思います。最初は一人でやっていた学びが、友達などの環境によって、より加速したり深まったりすると思いますが、原理原則としては最初は一人だと思っています。(合理的配慮や特別支援観点での関わりは、絶えず必要なのは、言わずもがな)
だから、その学びの厳しさ難しさを小学校段階で経験してみるのは必要だと思います。ただ教室の椅子に座っていて、先生の言う通りやっていたら、わからなくなったら友達に聞いてなんとなく時間が流れて終わる学びではなく、自分の手と足で地道に一歩ずつ進んでやっと達成できるという経験も必要ですよね。

協働的な学びをどう促すか


次に、協働的な視点をどう育てるかという視点について記します。これは、「悩みの切り口」と「経験済みの切り口」で起こる協働ということですね。少し詳しく話しますね。

悩みをきっかけにした協働の推進


まず、「悩み」というのは、そもそも協働の大きなきっかけになりますよね。例えば、国語の学習で資料を使ったスピーチを考えているとして、「全然資料が浮かばないんだけど、どうしよう?」とか、「私、試しに作ってみたんだけどどうかな?」と、他者を必要とする状況が生まれますよね。

経験者としての協働の促進


お互いに高め合うことが良いことなんだというクラスの風土があれば、お互いが知恵を絞り合って、良いスピーチをしようとするはずです。グループでスピーチを作るなんていうのも良いかもしれませんね。

またもう一つは、これはもう自由進度学習の特色を思いっきり出していく方法で、先に進んだ子が経験として語る切り口。この協働も良いですよね。同じくスピーチを例にすると、先に資料を作っていた子たちから「資料を作るときはこのサイトを使うと良いよ」とか、「文字を大きくすると見やすいよ」といった、先に進んでいたからこそできるアドバイスがあると思います。

お互いに過ごしてきた時間が違うからこそ、そこに上下関係はなく、経験としての助言をすることですね。これは良いと感じています。一斉一律のペースで進んでしまうと、いつもアドバイスする側が固定されがちだったと思うんです。でも、バラバラになることで、自分が時間をかけたことをアドバイスできる。ネットでいっぱい調べた子はそれが強みになるし、本から情報を得た子はそれが強みになるということです。つまり、クラスの誰もが協働を生み出す側になれるというのが、優れた点かなと思っています。

結論とまとめ


自由進度学習のデメリットについてお伝えしました。協働的な学びの難しさがあるというのがデメリットです。ここは、あまり協働的な要素が生まれにくいかもしれませんが、個別最適な学びの観点や、学び方を学ぶ、自己調整力をつけることに特化して試しに取り組んでみてはどうでしょうかというのが一つ。そして、どう協働的な要素を生むのかといえば、「悩み」という切り口と、あとは「経験者としての視点」を切り口に、協働的な要素を生む手立てについてお話させていただきました。自由進度学習を行う際に、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

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