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任せる前の一斉指導

漢字学習を自由進度学習の手法で取り組み始めると、基本的に「自分でやろう」というスタイルになります。しかし、いきなり全てを任せると迷子になってしまう子もいるため、「基本的な漢字学習の方法」は徹底的に指導してから任せるようにしてください。

6月から任せるイメージをもった2ヶ月間

私が新しく受け持ったクラスでは、最初の2ヶ月間は徹底して同じことを繰り返し教えます。ここはAIに任せたいくらい毎日同じことを言いますが、生身の人間が毎日同じことを言っているというメッセージも、実は強力だと思っています。

漢字学習を任せるための5STEP

次に、漢字学習における5つのステップをひたすら繰り返します。

一つ目は、言葉の読み方を覚えることです。このとき「声に出して読みなさい」と徹底して言います。小さくてもいいので、自分の耳に聞こえる声でしっかりと読み方を声に出してもらいます。

二つ目は、意味をしっかりと押さえることです。少しでも、わからないことがあれば、必ず検索するように指導します。「この30秒のひと手間が、未来の自分を助けるんだ」と2ヶ月間、しつこく言います。
例えば、「綿」という漢字を5年生で習うとします。これを「わた」と読むんだと理解するだけでなく、そもそも「綿って何だろう?」と考えさせます。「綿あめ」を連想する子もいれば、検索して、身の回りの生活には実は「綿」が使われていたことを知る子もいるでしょう。たった30秒でこの違いが生まれるんです。でも、この30秒をしっかり取らなければ意味がわからず、忘れてしまいます。だからこそ、この「わからなかったら調べる」習慣を徹底させます。
先日の授業中、自由進度学習で「鋼(はがね)」という漢字が出てきました。子どもたちに、「鋼って何?」と聞かれても答えられない状態で書き始める子がいないか確認しました。意味を理解せずに書くことが、学びになっていないということを大切にしています。

三つ目のステップは、書き順をしっかり守ることです。書き順をおろそかにすると、後々つらくなるので、ここは徹底して守らせます。

四つ目は、漢字を「そっくりそのまま書く」ことです。マス目にきっちりと合わせて、手本通りにコピーするように書きなさいと指導します。私はこれを「一戸建ての部屋」と言っています。四つの部屋があるとして、どの部屋から始めてどの部屋で終わるのか、部屋ごとに徹底して考えさせます。

五つ目は、時間を空けて、見ないで書けるか確認することです。この5つのステップができているからこそ、漢字テストで結果を出すことができるんです。

特に2つ目が大事。そのために自由進度学習が必要

私は、特に二つ目の「意味をしっかり押さえる」という部分が重要だと思っています。子どもたち一人ひとりの経験や知識が異なるため、このステップは学習の効果を大きく左右します。ある子は「綿」を知らないかもしれませんが、別の子は「布団を作る仕事場」で育ち、馴染みがあるかもしれません。(極端な例ですが…)

だからこそ、この意味を調べるステップは漢字学習で非常に重要です。

まとめ

最初の2ヶ月間、私はこの5ステップを毎日徹底して指導します。40日間続けて、6月からようやく自由進度学習を取り入れます。今日は漢字学習の一斉指導で大切にしていることについて書きました。

次回は、「漢字の自由進度学習」”中”について、詳しくお話します。

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音声で聞きたい方はVoicyで話をしていますので、どうぞ。

2023年、2024年の3月に単著を出版させていただきました。こちらもご興味あれば、どうぞよろしくお願いします。


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