子どもたちを間に挟んだ保育園と小学校のクラス懇談会の違いから考えた事。
運営する側と参加する側で
保育士として、クラス懇談会の出欠票を作り、資料を作り当日の計画をして、つかの間の保護者達の交流の時間を作っていく。
そんな事を何回も繰り返してきた私は、我が子のクラス懇談会に参加する時、どうしても比べてしまうのです。
運営者として
先生側にとって、保育参観の日はちょっぴりドキドキします。
新人の時はなおさらでした。
私はピアノが大の苦手な保育士でして、
保護者の前でピアノを弾くなんて拷問状態。
それでも、ひきつる笑顔を顔にのせながら保育をすすめます。
えぇ、知ってますよ。
先生のピアノの出来なんかより、
我が子がかわいく歌っている姿を保護者さんたちはお望みだという事ぐらい。さぁ、お歌の次は親子工作でーす!
保育自体はいつも通り進めますが、どういうことかこの日に限って子どもたちがやけにテキパキ動いてしまい、予定より早く終わることがしばしば。
子どもたちは、お父さん・お母さんの前でできる僕たちを見ていてほしいって思ってはりきっています。(いつもこうならいいのに)
おもしろいもので、
大人になると誰かの前で発表となると緊張して「嫌だな……。」
と思ってしまいがちですが、
子どもたちの多くは、ぜひ「みてほしい!」と思っているんです。
親だけの懇談会の時間が来ると、我が子の様子だけ見れたのであとは失礼します。と帰られる方もいます。他の保護者との関わりなんて必要ないと割り切っている方や、みんなの前で話したくないとか、母国語しか話せないから交流できないとか、仕事が本当に忙しくて1時間だけ抜けてきた人など理由はいろいろでした。保育士の立場としては、ちょっと悲しい。
でも仕方がない。いろいろな方がいらっしゃいますから。
ある時、園長先生が言いました。
クラス懇談会の参加率を上げるには、もっとここへ来たくなるような工夫がいるんじゃないかな?と。
つまり、親が懇談会の時間を充実したものになるように、内容を考えてみようという事です。そんな事を丸投げされて、1冊の本を読みました。
これの中に、子どもたちの名前の由来を聞いてみるという案があって
早速、私もクラス懇談会の時の自己紹介で導入してみました。
当時は0・1歳児クラスの担任だったので〝名づけ”って思い入れがあるはず。聞いてみると、漢字の画数で決めたり住職さんに決めてもらったりとそれぞれ色々で面白かったです。あとは、保育園での遊びの様子をプロジェクターで振り返ってみるという企画も全クラスでやってみました。
保育園側も試行錯誤を繰り返しますが、参加率はあがりません。
参加者として
私も出産してママになりました。
だから保育士と保護者の立場を両方体験しています。
私も我が子の保育園のクラス懇談会へ初参加。
保育園では兄弟別々の時間・別々の日にちでやってくれるので良くも悪くも2日間は休みをとらなければいけません。
これが、ネックになるから前々から年間予定表で日付をお知らせします。
保育士同士は理解があって、お休み申請が通りやすいですが、それでも同じ年の子どもをもつママさん保育士が職場にいるとこういう行事が被ってしまい2人は休みがとれないという事件も時々あります。
そういう時はどちらかの旦那さんや祖母に頼んで乗り切ったりいろいろでした。ぎくしゃくしがち。
参加する立場になって初めてわかりました。
職場を休むハードルが高いってことが。
クラス懇談会へ参加してみて、親の立場から見ると、(内容を知っているのもあり)まぁこんなもんかって感じでした。
ただ、普段会えないお母さんたちのお家の中の様子を語ってくれるので、楽しい時間でした。年長組になるまでは。
年長組になると、そこそこ知り合いのお母さんも増えてきて会話もそれなりにできる関係になっていました。でもLINEを交換するほどでもない関係です。ところが、卒園式に担任へのプレゼントどうするか?問題が浮上します。こういうのの白羽の矢が立つのはまず保護者会役員さん。
(それをあらかじめ知っていて、年長では絶対役員にならずに他の年齢で役員を引き受ける人がちらほら・・・なるほど、こういう構図か)
なんやかんやでクラスのグループLINEが作られました。
しきってくれるのは経験者のお母さんたち。
みんなの様子をみながら、少しずつ案を出して、園長先生に相談しつつ、担任には内緒で事を進めていきました。
(これは弟が年長の時は私が先輩ママの立場じゃん!)
年長の先生の立場から
そんな経験をした後に年長の担任になりました。
親としての私が保護者からプレゼントをもらった時に感じたこと。
お母さんたちみんなでのやりとり、大変だったよね。
ありがとうございます(感謝しかない)
でも、そこまで全員を巻き込もうとしなくてもいいからね~。
同じクラスでも、無理な人はいるもんね。
そう、あの人とあの人に連絡をとるのは言語の壁とかね、
生活時間とかね、知らないと大変だったよね、うん。うん。
って事でした。(まさかの、そっちに共感)
新人の頃、最初に担任をした年長の子どもたちは思い入れが強すぎて
保護者のみなさまの苦労なんていうものは思いも浮かばず、
用意してくれた子どもたちからのお手紙と花束を頂いて、
卒園式では化粧も気にせずボロボロ泣いてしまったほどでした。
親の立場になってみると、いろいろな事が見えてしまって
正直申し訳ない・・・と思ってしまった自分がいました。
あ、思い出しました。
新人の時に、最初の園長先生に言われました。
「保育もね、だんだん変わってくるから。
親になって初めてわかることもあるから。」って。
その時は全然ピンときていませんでしたが、今はわかります。
それぞれの立場が。
「親の心子知らず」ってまさにこういう事か。
小学校のクラス懇談会に参加して
小学校、なんかちがーう!
久しぶりに小学校の小さな机を目の前にして、
我が子の席に座ってみて、
先生の授業を受けるように静かに
クラス懇談会の資料を見つつ話を聞きます。
同じ時刻に弟のクラスもあるから途中でこっそり抜け出し
1-1へ向かいました。
そこでは、自己紹介が始まりよろしくお願いしますって
当たり障りのない挨拶をかわします。
すでに幼稚園で同じだったママさんたちがつるんでいます。
小学校は学校教育なので保育園とは何かカラーが違いました。
この、違和感は何だろう?
授業参観は多いのにクラス懇談会に残る人は少ない。
デジャブ。
子育てって親だけがやるものじゃないから、
こうして子どもを間に挟んで話す機会があるわけで・・・。
でも実際、こういう行事は先生の立場でもこなすものになりがち。
親にとってもただ受け身になりがち。
本当に支えたいのは、子どもたちだよな。
だけど、うまく機能していない?
いや、機能している学校と機能していない学校があるのかも。
(私立小学校は出席率が高いと聞く)
みんな子どもが大好きだから
運営側と参加側の立場を両方俯瞰してみて、
一番大切な所はどこだろう?と考えました。
それは、子どもたちの成長のサポート。
クラス懇談会の場は、
自分のクラスの成長の自慢大会でもなく、
親の仲良しこよしアピールの場でもなく、
先生の運営自慢の場でもなく、
これからどんなことを盛り込むかの計画発表会でもありません。
子どもたちを真ん中にして、親と先生が方向を確認する場。
そして、子どもたちの教育サポートができるような関係づくりの場。
子どもたちにとってよりよい環境を作るには?
そういう事をじっくり話し合うには、時間が短く
そういう事をじっくり語り合うには、信頼関係がなく、
そういう事をじっくり話せる関係ではないからこそ、人がこない。
そういう事をじっくり話したいとも思っていない?
自分の子どもだけが大切で、他の子どもたちはどうでもいい。
身内びいき。
これは、当たり前の感情です。
だからこそ、トラブルにもなるわけで。
みんなが自分の子どもも、近所の子どもも大切であの子がいてくれるからうちの子も成長できるっていう感じで子育てしていけたら、楽だろうな。
それには、親同士がもっと繋がる必要があるんだろうな。
たとえ、クラス懇談会がなくとも。
よしっ!
今までめんどくさくて避けていた家族ぐるみでのお付き合いを開始してみよう。我が家の長男ジンくんに提案してみます。
「ねぇ、○○くんと仲いいじゃんね?一緒に大きな公園とか行ったりBBQとかしてみる?お母さん、○○くんのお母さんとPTAで知り合ったからLINEしてみようか?」
「あ、そういうのいいから。」
「え?」
「公園とか、別にいい。そういうのは家族だけで。」
!?
そうでした。うちの子インドアだった!
私だけ、盛り上がってたー!!!
とういか、子どもをサポートするのは大事だけど
親として一番大事なのは、我が子を信じて見守り続ける事かも。
ピグマリオン効果です。
これを重荷にならないくらいでやっていこう。
(※ピグマリオン効果とは、アメリカの教育心理学者ローゼンタールが発表した、他者からの期待を受けることでその期待に沿った成果を出すことができるという心理効果のこと)
家族で話し合いながら、今日も楽しく子育てをしていきたいと思います。