\無料公開/ #22 能力を引き出し、学力を伸ばす学習法
中学受験に挑戦する多くのご家庭では、大手進学塾に所属し学習を進めていると思います。
大手進学塾のカリキュラムは優秀であり、中学受験に耐えうる網羅性、基礎から応用までのレベルカバーがしっかりと施されています。
また、優秀なカリキュラムに対する授業も工夫が施され、子供達は楽しく塾に通うと思います。
しかし、同じ教材に取り組み、同じ授業を受けているのに、なぜ成績に大きな差が生まれるのか?
この「差」について考えてまいりたいと思います。
学力構築の方程式
学力とはなにか?
読んで字のごとく「学ぶチカラ」です。
学ぶとは、知らないコトやわからないコトをわかるようにすることであると私は考えます。
「知らないコト=未知なるコト」をポジティブにとらえるか?ネガティブにとらえるか?この差が計り知れない能力開発の差につながると思います。
子供達が出会う未知なることには、大抵、正解が示されています。
参考書、辞書、百科事典、専門書、ネット含めた各種媒体に正解が存在しています。しかし、どこに正解があるのか?ここに辿り着く方法を知りません。ここを大人が手伝い、書棚の充実、図書館の利用を身近にする、一緒にPCで調べ学習をする、食事の時間に話題の提供をする、などの学ぶ方法を提示しながら、未知なるコトに遭遇しているわが子と出会った時に、認め、励まし、手伝う姿勢を貫き通すと子供の学ぶ姿勢を大きく変え、能力を引き出すことを可能にすると確信しています。
学力構築の方程式とは?
学力を支える要素には、考える基礎になる「知識」と疑問に立ち向かい正解に辿り着くための「知識運用力」があり、それらの要素をさばいていくための「処理力」が必要だと、私は考えています。
つまり、
学力=知識量×知識運用力+処理力
という方程式が成立すると常々考え、日ごろの学習方法にフィードバックしていました。
知識量を増やしていく、知識の使い方を学ぶ、テキパキと処理するための力を養うことを日々の学習の中に落とし込んでいくことが重要です。
学力を伸ばす学習法
知識量を拡大する学習法
まず注意しなければならないことは、知識獲得に偏重した学習法に陥らないことが重要です。
暗記、暗記、暗記で獲得した知識は、エビングハウスの忘却曲線通りに確実に減衰していきますので、興味を出発点にした知識獲得法を身に着ける必要があると思います。
しかし、興味だけの知識獲得では、かなり偏重した知識傾向になりますので、基盤になる知識、興味を出発点にした得意分野の知識獲得をバランスよく身に着けていくことが大切です。
基盤になる知識は、義務教育で目指す学習領域です。
理科で、地球の構造、宇宙の神秘、生命の営み、原因と結果の法則にまつわる知識を獲得し、社会科で、国家と国土にまつわる地理的知識と歴史的知識を獲得します。
次に、知識間の関連性を大事にすることです。
地理の学習は、それぞれが別々のものに見えるかもしれませんが、海流の存在が気候の特徴を創り出し、地形もまた気候と深いつながりをつくりだします。黒潮、親潮、リマン海流、対馬海流の名称と位置だけで終わることなく、その海流がもたらす気候の特徴、気候が生み出す農産物への影響、農産物の特徴が生み出す人口分布の傾向、人口を支える工業化へのつながり、などの知識に関連性をもたせると身から離れぬ生きた知識になっていくと思います。
そして最後に、興味を引き出すために、様々なメディア(書籍、図鑑、ネット、学習まんが、ポスター)などに触れる機会を作り、決して強制することなく、日常の生活動線上に環境構築をすることが大切だと思います。
そして、興味を示した領域があった時に、保護者の興味の対象外だったとしても、決して否定することなく、興味の対象領域の中心円を拡大しながら、深掘りしていくと、思いもよらぬ関連性と紐づき、一気に知識量は拡大していきます。
ゲームが大好き。この大好きの深堀がプログラミングに発展する可能性もあります。武将好きが高じて、武道の世界に入り、転じて哲学世界に没頭する可能性もあります。
好きを承認し、探求心を支援し、知識の獲得拡大を図ることが学びのコツのように思います。
知識運用力を高める学習法
獲得した知識で疑問を解決する力が知識運用力になります。
我々が学生だった時にも、さほど勉強している様子がないのに、抜群の成績を残す友人が身近にいたと思います。
我々は、その友人を「天才」と呼ぶことが多いと思います。
しかし、これは天才ではなく、抜群の知識運用力があった友人だと、今は思います。天才などというものは、地球上に極まれにしか存在しないので天才だと思います。
それでは、知識を上手に使うための学習法とはどのようなものか?
ズバリ、「言語化と再現化」に尽きると我が家では結論づけました。
獲得した知識を自分のコトバで言語化し、理解の根底までたどり着く習慣を身に着ける。そして、習得した知識を直ぐに兄弟や両親を相手に再現化(説明)する習慣と環境を創り出すことが必要だと思います。
友人に勉強を教えると、自分の理解が深まった、なんていう経験を皆さまお持ちのことと思います。同じ原理で知識運用力は向上していくと思います。
塾の授業後は、直ぐに復習をし、言語化を試み、理解が怪しいところは、再現化を促し、しっかりと知識を定着させつつ、知識運用力を高めていくと学力は高まったいくと確信しています。
子供の「あのねぇ~、あのねぇ~」は、時として多忙な両親には対応が難しい時がありますが、この「あのねぇ~」の後に続く話には、言語化と再現化の習慣確立の基盤になる要素が満載であると思います。
基礎・基本・応用・難問
学習領域には、教科という分類方法もありますが、もうひとつの分類として、「基礎、基本、応用、難問」があると思います。
家で例えるなら、基礎とは土台であり、基本とは柱だと思います。
しっかりとした土台と柱をつくれば、大きな頑丈な家が建設可能になります。そして、応用とは「基礎、基本を自在に操り、問題を解決する力」と考えています。つまり、応用とは基礎基本×基礎基本であるため、基礎基本の充実こそが応用力を高めていきます。
難問とは、奇抜な発想、特殊な知識を解決に必要とするものであり、万人に解決や理解が不可能だからこその難問だと思います。
算数で言えば、算数オリンピックの問題などがこの分類に含まれると思います。算数が好きなら、難問に挑戦し、自らの発想力に磨きをかければ良いし、楽しめれば豊かな時間を過ごせると思います。
しかし、東大にせよ、開成にせよ、難関校の入試問題で難問が出題されることは、極々まれであり、大抵は複雑な応用問題が中心となりますので、基礎基本の学習がいかに大切かご理解いただけるかも知れません。
処理力を高める学習法
我が家では、2つのアプローチで処理力を高める学習を進めていました。
まず一つ目は、基礎問題(計算、一行題、漢字、語彙)を脊髄反射レベルまで定着させるために何度も何度も訓練しました。
苦行に感じる瞬間もありますが、テキパキと処理ができるようになり、不要なケアレスミスを減らすことを可能にします。
次に、最も重要な学習法ですが、「定時継続」の原則を貫くことです。
決まった時間に学習をし、途絶えることなく継続させることです。
我が家では、起床後直ぐに計算や漢字などの学力を支える学習を行いました。インフルエンザ罹患中以外は、例外なく行いました。
これには二つの効用があり、苦行感を低減できることと、継続すればするほで、自信につながることです。
入試当日に、自分を支える自信の持ち方は様々ありますが、「私は、欠かすことなく毎日計算訓練をした!」これは、途轍もない自信に繋がります。
最後に
長々と様々思いつくままに綴ってまいりました。
子供達には、個性があります。また、伸びる時期にも違いがあります。
中学入試の学習期間では、男の子は色濃く幼児性が残っていたり、女の子は身体的な変化が起きると思います。また性差なく反抗期を迎える場合もございます。しかし、これは人間が大人に成長していくために不可欠な通過点でありますので、長い先の子供の姿を想像しながら、都度都度対処する以外に解決方法はないように思います。
中学受験の準備期間は、長いようで短いです。
しかし、人生は更に長い。子供の「幸せのカタチ」をしっかりと形作り、家族の「幸せのスガタ」を家族間で共有し、家族の絆が強まる中学受験になりますようお祈りいたします。
今後も、皆様方に役立つコンテンツ制作に努めて参ります。
是非ともメンバーシップ登録をいただき、ご支援いただきますと創作活動の励みとなります。
最後までお読みくださりありがとうございました。