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【振り返り】2022年の私的ベスト日本酒10選

    さて、今年の日本酒を10本選んでみましょうか!

    と意気込んでみた手前、今年飲んだ日本酒は家飲み以外のものがやたら多いんですよね。頂き物、外飲みのほうが今年は多かった気がしますし。
    これでは不公平です。自分の購入したものでここら辺評価しなければ、ランキング設けるうえで参考になりませんし。
    なので今回は、形はどうであれ「今年1本瓶を買って、飲んだ日本酒」に絞って評価したく存じます。去年以前から自家熟成している日本酒は加えません。また、購入した際のBYは無視して、開けた日本酒のみで評価致します。


1、御慶事 純米吟醸 生酒 しぼりたて

    まずはじめにこの日本酒を挙げましょうか。今年飲んだなかで改めて振り返ってみると、この日本酒と後述するいくつかの日本酒が、「美味い酒」の基準になっているんですよね。
    顧みるに、この酒の甘味酸味のバランスの良さは理想的なもので、この手の酒を今年はよく飲んでいた気もします。その始点にもなる酒だろうな……ということで今回選出しています。

2、乾坤一 特別純米酒 HEAVEN & EARTH

    甘口タイプでありながらスッキリとした余韻が魅力であり、世の「日本酒甘口・辛口論争」を仕掛ける両者に喧嘩両成敗を言い渡せるかのような味わいに衝撃を受けました。日本酒とはそんな二元論で表せるような単純なものでは無いという証左を示した1本と言えるでしょう。
    この日本酒ですが、Twitterのフォロワーさんのひとりであるまっくろくろすけさんの主催による勉強会で出てきた際、景品としてこの酒が出ると知るや「この酒は狙わねば!」と本気で思った程の1本です。そしてその後リピートするなど、思い出深い1本でもあります。

3、十四代 中取り純吟 播州愛山

    十四代とはソロモンの栄華に見えるが、実は一輪の花に如かず。
    などと思い込まされた1本ですね。本当の美酒とは何なのか、探求はまだ続けなければならないかもしれませんが。
    それでも、十四代という銘柄が教えてくれることは多いです。これも美味い酒の基準のひとつとして充分に機能しています。十四代の甘味の表現は全体の五味の緻密なバランスのうえで成り立ったものです。が、現在熟成中でもあるんですよねぇ。

4、純米吟醸 香露

    今年開催した香露の会ののちに購入した1本です。
    参考

    このイベントでも多くの香露を飲んできましたが、それらと比較しても香露で最も中間に位置する酒と言えるのがこちらの純米吟醸です。
    しかもただの純米吟醸に在らず。掛米こそ55%精米ながら麹米45%精米のほぼ純米大吟醸クラスの質感です。口当たりの美しさや香りの良さなど、正統派の日本酒の良さがそこにあります。


5、櫛羅 純米吟醸 山田錦 ―中取り 無濾過生原酒―

    この日本酒の存在は強烈でしたね。前述の乾坤一と似たタイプではありますが、こちらはガス感やアルコール感による立体感とキレ、上品な甘味による心地良さとあらゆる面で衝撃的でした。この質感はこの銘柄でしか味わえないものですね。


6、長龍 吉野杉の樽酒 生囲い(生貯蔵酒)

    樽酒の生貯蔵酒という今までにない新体験を与えてくれた1本です。
    樽酒の薫りもありながら、丸みのある口当たりはまさに生酒です。このふたつを共に味わえる贅沢さと、程々な味付けによる食中酒としての高いポテンシャルが素晴らしい酒でした。どうやら秋田でもきりたんぽと相性がいいようで、あちらに持っていって正解だったかなとも思ってます。


7、山鶴 神龜乃黄金酒 長屋王

    長屋王の邸宅で見つかった木簡から発見されたレシピを現代風に再現した日本酒です。奈良時代の日本酒はこのようなものか……と想像をかき立ててきます。
    しかし、蜂蜜を思わせる甘味と酸味により深い甘味に酔いしれることのできる1本です。万葉の浪漫に浸ることができますね。


8、廣戸川 純米にごり生酒


    冷酒で飲んでも良かったですし、そちらの記事を参考にするべきですが、あえて上の記事にしています。というのも、こちらは俄然燗でこそ輝く酒だからです。
    冷酒でも柔らかい甘味とガス感が魅力ではあるんですけどね。ですが、この要素をあえて崩し燗にすることで甘味が開放されます。舌触りも良くなりますしね。にごり酒の燗の良さは広まって欲しいです。


9、浦里 純米酒 五百万石

    今年の最高傑作と言えるものです。控えめに言って完璧なバランスの1本でした。これもまた、今回選出した美味い酒の基準になり得るものです。 
    香りの柔らかさ、程々の甘味と、それらを畳む酸味やアルコール感の配置が計算し尽くされているかのような1本です。
    霧筑波……いや、浦里さんは10号酵母のポテンシャルを最大限に活かせる銘柄のひとつですよね。


10、白老 愛薫 純米大吟醸酒 常滑産山田錦

    先程今年の最高傑作を浦里と話しましたがそれは表としてのもの、裏の最高傑作はこの白老愛薫でしょう。飲んだことがある人もかなり限られているでしょうし。
    甘味酸味が綺麗に出て、かつ伸びのいい酒、という点ではこの酒に比肩するものがありません。それも、愛知県常滑市産の山田錦というのがこの凄さに拍車をかけていますね。

◇◆◇◆

    以上ですね。
    長くなってしまいましたが、まぁ今年だけでも軽く200銘柄は飲んでますからねぇ……そのなかでも選出するとなれば条件を決めねばなりませんからね。

    さて、来年はどういう日本酒と出会えるか楽しみですね。皆様もよいお年を!

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