
日本書紀巻01/神代上(2)の原文解説
神代上の第2段落より
一書曰、天地初判、一物在於虛中、狀貌難言。其中自有化生之神、號國常立尊、亦曰國底立尊。次國狹槌尊、亦曰國狹立尊。次豐國主尊、亦曰豐組野尊、亦曰豐香節野尊、亦曰浮經野豐買尊、亦曰豐國野尊、亦曰豐囓野尊、亦曰葉木國野尊、亦曰見野尊。
一書曰、古、國稚地稚之時、譬猶浮膏而漂蕩。于時、國中生物、狀如葦牙之抽出也。因此有化生之神、號可美葦牙彥舅尊。次國常立尊。次國狹槌尊。葉木國、此云播舉矩爾。可美、此云于麻時。
一書曰、天地混成之時、始有神人焉、號可美葦牙彥舅尊。次國底立尊。彥舅、此云比古尼。
一書曰、天地初判、始有倶生之神、號國常立尊、次國狹槌尊。又曰、高天原所生神名、曰天御中主尊、次高皇産靈尊、次神皇産靈尊。皇産靈、此云美武須毗。
一書曰、天地未生之時、譬猶海上浮雲無所根係。其中生一物、如葦牙之初生埿中也、便化爲人、號國常立尊。
一書曰、天地初判、有物、若葦牙、生於空中。因此化神、號天常立尊、次可美葦牙彥舅尊。又有物、若浮膏、生於空中。因此化神、號國常立尊。
この一連の文章は、日本古代の神話に関する記述で、神々の誕生と天地の創造を象徴的に表現しています。これらは、宇宙の初期状態や、神々がどのようにして存在するようになったかについての神話的な解釈を含んでいます。各節は、古代日本における神々の名前、それらの神々の起源、およびそれらがどのようにして人間世界と関わっていくかを示しています。これらの記述は、日本の神道における宇宙観や神々の性質を理解する上で重要な意味を持ちます。
各節を個別に解説します。
一書曰、天地初判、一物在於虛中、狀貌難言。其中自有化生之神、號國常立尊、亦曰國底立尊。次國狹槌尊、亦曰國狹立尊。次豐國主尊、亦曰豐組野尊、亦曰豐香節野尊、亦曰浮經野豐買尊、亦曰豐國野尊、亦曰豐囓野尊、亦曰葉木國野尊、亦曰見野尊。
この文章は、日本の神話における宇宙創造と神々の誕生に関する記述です。以下は各単語の意味の概略です:
一書曰:「ある書物によると」、古文書や伝説からの引用を示します。
天地初判:「天地が初めて分かれた時」、宇宙創造の初期段階を指します。
一物在於虛中:「一つのものが虚空に存在した」、初期宇宙の状態を表します。
狀貌難言:「その形状や外見は言葉で表しにくい」、神秘的な存在を示唆します。
其中自有化生之神:「その中に自然に生じた神がいる」、自然発生的な神の存在を示します。
號國常立尊、亦曰國底立尊:「国常立尊とも、国底立尊とも呼ばれる」、特定の神に関する異なる呼称を挙げています。
次國狹槌尊、亦曰國狹立尊:「次に国狭槌尊とも、国狭立尊とも呼ばれる」、別の神に関する呼称を述べています。
次豐國主尊以降:複数の名前が挙げられており、それぞれが豊国主尊という神の異なる呼称や側面を示しています。
これらの記述は、神話の中で神々が持つ多様な名前や属性を表しており、日本古代の宗教的な観念を反映しています。
一書曰、古、國稚地稚之時、譬猶浮膏而漂蕩。于時、國中生物、狀如葦牙之抽出也。因此有化生之神、號可美葦牙彥舅尊。次國常立尊。次國狹槌尊。葉木國、此云播舉矩爾。可美、此云于麻時。
古、國稚地稚之時:「昔、国と地が未成熟な時」という意味で、神話の時代背景を設定しています。
譬猶浮膏而漂蕩:「まるで水面に浮かぶ油のように漂っていた」という意味で、初期の宇宙や世界の状態を比喩的に描写しています。
于時、國中生物:「その時、国の中に生命が生まれた」という意味で、神話における生命の起源を説明しています。
狀如葦牙之抽出也:「その様子は葦の芽が伸びるようだった」という意味で、新しい生命の誕生を表現しています。
因此有化生之神:「それによって変化し生まれた神がいる」という意味で、神話における神々の誕生を述べています。
號可美葦牙彥舅尊、次國常立尊、次國狹槌尊:これらは特定の神々の名前を示しており、神話における神々の系譜を表しています。
葉木國、此云播舉矩爾、可美、此云于麻時:これらのフレーズは、神々やその時代に関連する特定の場所や状況を説明しています。
この文章は、神話時代の日本における神々の起源、名前、そして彼らの関連する場所や状況について詳しく説明しています。
一書曰、天地混成之時、始有神人焉、號可美葦牙彥舅尊。次國底立尊。彥舅、此云比古尼。
天地混成之時:「天地が混ざり合っている時」、宇宙創造の初期段階を指します。
始有神人焉:「初めて神人が存在した」と表現し、最初の神または神々の誕生を示しています。
號可美葦牙彥舅尊:「可美葦牙彥舅尊と名付けられた」と述べ、特定の神の名前を挙げています。
次國底立尊:「次に国底立尊」という、別の神の名前を示しています。
彥舅、此云比古尼:「彥舅は比古尼とも言われる」と説明し、同じ神に対する別の呼称を示しています。
この文章は、日本神話の中で神々が持つ複数の名前や属性を表しており、神々の起源や役割に関する伝説的な解釈を提供しています。
一書曰、天地初判、始有倶生之神、號國常立尊、次國狹槌尊。又曰、高天原所生神名、曰天御中主尊、次高皇産靈尊、次神皇産靈尊。皇産靈、此云美武須毗。
天地初判:「天地が初めて分かれた時」という意味で、宇宙創造の初期段階を指します。
始有倶生之神:「最初に共に生まれた神々がいた」という意味で、最初の神々の誕生を示します。
號國常立尊、次國狹槌尊:「国常立尊、次に国狹槌尊と名付けられた」という意味で、特定の神々の名前を挙げています。
又曰:「また言う」という意味で、別の情報を導入する際に使用されます。
高天原所生神名:「高天原で生まれた神々の名前」という意味で、特定の場所で誕生した神々を指します。
曰天御中主尊、次高皇産靈尊、次神皇産靈尊:これらは、高天原で生まれた神々の具体的な名前を表しています。
皇産靈、此云美武須毗:「皇産靈(こうしょうせい)は美武須毗(みむすび)とも言われる」と説明し、同じ神に対する別の呼称を示しています。
この文章は、日本神話における神々の起源、彼らの名前、および彼らが関連する場所についての詳細な記述を提供しています。
一書曰、天地未生之時、譬猶海上浮雲無所根係。其中生一物、如葦牙之初生埿中也、便化爲人、號國常立尊。
天地未生之時:「天と地がまだ生まれていない時」という意味で、宇宙の創造前の状態を示しています。
譬猶海上浮雲無所根係:「まるで海上に浮かぶ根無しの雲のようだ」という比喩で、初期宇宙の不確定で無定形な状態を描写しています。
其中生一物:「その中に一つのものが生まれた」という意味で、新しい存在の誕生を指しています。
如葦牙之初生埿中也:「葦の芽が初めて土中から生まれるようなもの」という意味で、新しい存在の成長や発展を表現しています。
便化爲人:「すぐに人間に変化した」という意味で、神秘的な変身や変化を示しています。
號國常立尊:「国常立尊と名付けられた」という意味で、この新しい存在や神格に与えられた名前を表しています。
この文章は、宇宙創造の神話における最初の存在の誕生とその変化、およびその存在に与えられた神聖な名前を説明しています。
一書曰、天地初判、有物、若葦牙、生於空中。因此化神、號天常立尊、次可美葦牙彥舅尊。又有物、若浮膏、生於空中。因此化神、號國常立尊。
天地初判:「天地が初めて分かれた時」。宇宙創造の初期段階を指します。
有物、若葦牙、生於空中:「空中に葦の芽のようなものが存在した」。初期宇宙におけるある種の原始的な存在や生命の誕生を暗示しています。
因此化神:「それが理由で神に変わった」。特定の存在が神的な存在に変化したことを示します。
號天常立尊、次可美葦牙彥舅尊:「天常立尊と名付けられ、次に可美葦牙彥舅尊と名付けられた」。これらは神々の名前であり、特定の神格に対する称号を表します。
又有物、若浮膏:「また、浮かぶ油のようなものがあった」。別の原始的な存在を示しています。
因此化神、號國常立尊:「それが理由で神に変わり、国常立尊と名付けられた」。別の存在が神に変化し、特定の名前を与えられたことを示しています。
この文章は、宇宙創造の段階での特定の存在や神々の誕生と命名について詳細に記述しています。
参考文献
日本書紀原文
https://www.seisaku.bz/nihonshoki/shoki_01.html