母親との絆
——30代後半の独身女性Fさん
〇 サラリーマンで酒癖の悪い父親とやさしい主婦の母の元で生まれ育ったFさん。両親が不仲で小学五年生の時に父親が突然姿を消し、以後、母と弟と三人暮らし。病弱であった母は、逃げた父に関して言及することは一切なく、Fさんもずっと父の秘密に触れられずにいましたが、母が時々夜中一人で泣いていることをFさんは知っていたのでした。
〇 母はパートをしながらかろうじてFさんを育て上げましたが、Fさんが高校を卒業して地場企業で働き始めたのを機に、憔悴しきった様子で仕事を辞めました。3歳年下の弟は障がいがあり就労が困難で、いまもFさんが一家の大黒柱として母と弟を支えています。
〇 結婚を考えた交際相手がいなかったわけではありませんが、母から「あなたが生きたいようにすればよいのよ!」と言われれば言われるほど、家庭を捨てるようで申し訳ないという気持ちが強まり、デートよりは家庭を優先する生活のため、交際自体が長続きしないというパターンが続いています。