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12: 逃げられない国の住人たち C

加藤隆弘(かとう・ たかひろ)
九州大学大学院医学研究院精神病態医学 准教授
(分子細胞研究室・グループ長)
九州大学病院 気分障害ひきこもり外来・主宰
医学博士・精神分析家

『みんなのひきこもり』(木立の文庫, 2020年)
『メンタルヘルスファーストエイド』(編著: 創元社, 2021年)
『精神分析と脳科学が出会ったら?』(日本評論社, 2022年)

いま私は、木立の文庫で刊行予定の原稿を執筆中です。
このnote連載が土台となっています。
題して『逃げるが勝ちの心理学――ポジティブにひきこもるための処方箋』

前著『みんなのひきこもり』で試みた趣向を踏襲して、
巻頭で「にげられない」シーンのバリエーションをお示しします。

今回はその新シリーズの2回目となります!

☆『みんなのひきこもり』に引き続いて
 おがわさとしさん〔京都精華大学マンガ学部教授〕が
 私の原稿を読み込んで「ひとコマ漫画」として描いて下さっています!!

社会人編(組織の絆)

——Cさんは中間管理職の40代男性

〇天性の運動能力と人当たりの良さの持ち主で、Cさんは、中高時代はバレーボール部のキャプテンをつとめ、全国大会でも好成績をおさめ、運動推薦で有名大学に入学しました。
大学時代、オリンピック候補強化合宿に出るほどの実力でしたが、ケガを契機に第一線を退きました。それでもCさんは、マネージャーとしてバレーボール部を支え、部活から逃げ去ることはありませんでした。

〇挫折にもめげずに立ち向かうCさんの姿が高く評価され、国内一流企業につとめる部活OBからラブコールがあり、誘われるがままに就職しました。
職場では仕事能力の高さと人望の厚さが奏功し、エリート街道まっしぐら。30代後半には部長に昇進し、いまでは社長のお気に入りで、社内でも社外でも信頼される存在になっています。

〇そんな絵に描いたような道を人生を歩むCさんですが、40代になり、ふと虚しくなることが増え、「自分って一体何をしているんだろう」との思いがよぎることもありながらも、いまも会社の戦力として走り続けています。

――なぜCさんは、どこからも逃げずに戦士として走り続けているのでしょう。
――Cさんは、そもそも逃げたいという思いを抱いたことがあるのでしょうか?

20代 30代 40代… 人生の節目で
つぎの節目にむかって「戦う」か? どうするか??
皆さん… 振り返ってどんな感じですか~


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