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研修医の新しい必携書!「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」のススメ

医師国家試験を受けた皆さん、本当にお疲れ様でした!
皆さんが研修医デビューするのも、もう間も無くですね!
毎年この時期筆者は、新研修医におすすめの医学書紹介の記事を書いています。

上記の記事で紹介している医学書はどれもおすすめです。
しかし今年は、私自身が執筆に関わり、学習者の視点で見ても自信を持ってお勧めできる医学書があるのでご紹介します!
その名も、「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」です。

私は執筆者としていち早く本書が届いたのですが、実際に自分自身とても使える医学書だなと思いました。この記事では、一執筆者としてこの本のこだわりを直に感じつつ、読書好きの一読者としての視点を持った筆者が、この本の魅力を解説していきます。

注:筆者は「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」のアナフィラキシーの章とコラムにおいてのみ、執筆を担当しています。本記事では上記項目については触れておらず、本記事執筆により筆者が金銭的利益を受けることはありません。


そもそも、「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」って何?

「みんなで楽しくホスピタリストになろう!(通称みんほす!)」は、総合内科医の永井友基先生が立ち上げた、研修医向け勉強会を開催する団体です。
🌟「当たり前のことを当たり前にできる医師
🌟「常に患者さんを中心に考え、行動できる医師
を育てることをビジョンに掲げ、永井先生の門下生が主体となってレクチャーを作っています。そのレクチャーの内容は、エビデンスに基づいた上で実臨床その場で生かせることにとことんこだわり、医師ならば誰もが直面しうる重要テーマを厳選しています。日本全国に研修医向け勉強会は数あれど、筆者が思うにここまで高品質でコスパの良い勉強会は他にないと思っています。出典:「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」ⅱ 及び以下の投稿

「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」本って他の医学書と何が違うの?

「みんなで楽しくホスピタリストになろう!」本(以下、「みんほす本」)は、上記のみんほす!勉強会の、「実臨床でその場で生かせること」へのこだわりそのままに、普段のレクチャー内容をぎゅぎゅっと一冊に詰め込んだ医学書です。最大の特徴は、以下の二つだと私は考えています。

その場で動ける!秀逸なまとめ”1pager”

各項目の冒頭には1paperと呼ばれる、1ページで完結しているまとめを掲載しています。それにより、まずはパッと見て内容を把握することができる上、いざ困ったときにはそのページに立ち返れば良いというキーページになっています。病棟や救急外来で、1paper部分だけ持ち運んで使うというのも、最も頼れるマニュアルともなるのでお勧めです。1paperがどんなものか気になる方は、ぜひ本書を手に取るか、じほうさんの試し読みページをぜひご覧ください。

研修医に必要な実践的知識がこれ1冊に!

本書の内容は以下のような項目立てとなっています。

第1章「医者としての基本のキ」
⇨社会人マナー、病歴聴取、臨床推論、プレゼンの型など
第2章「基本の検査のみかた」
⇨血液検査、血液ガス、エコー、心電図、レントゲンのみかた
第3章「カルテの型から学ぶ患者さんの診かた」
⇨カルテの書き方
第4章「救急外来、病棟管理で絶対マスターしたい疾患対応」
⇨よく出会う疾患ごとの対応マニュアル
第5章「病棟患者さんのマネジメントに必ず必要な知識」
⇨輸液、栄養、病棟から呼ばれた時の対応法、入院指示など

実際に医師として働く上で欠かせない総論的内容と、実際に働いてみて知りたい!と思う各論的内容が全て入っています。つまり、今まではそれぞれ各医学書を数冊読まないと学べなかった内容が一冊に網羅されているんです!
執筆者なので一足先に届いたみんほす本読んだのですが… これ、今まで研修医におすすめとされてきた医学書が一冊にまとまったとんでもない本では?と思えます。 これまでいろんな医学書を読んできましたが、自分が知る中でここまでまとまったものは他にないです。

これから初期研修医になる先生におすすめの使い方

①まずは第1章「医者としての基本のキ」を読もう!

医学生から研修医への第一歩として、社会人として必要なマナーや、医師として必ず求められる基礎的な力・病歴聴取や臨床推論の考え方をぜひこの章で押さえてください。この章の中でも筆者が特におすすめなのは、「プレゼンの型」の項。プレゼンは、座学での医学教育ではあまり学んでこない一方で、臨床に出たらすぐに必要になるスキル。自分の考えていることを相手にわかりやすく伝えられないと、円滑なチーム医療はできません。プレゼンがうまくできるということは、その症例において大事にすべきポイントをきちんと押さえられている、ということでもあります。医師になる前なら、まずはこの章から読んでみましょう。

②第3章「カルテの型から学ぶ患者さんの診かた」1を読み、カルテを実際に書いてみよう!

私は新研修医におすすめの医学書を紹介する際、真っ先に「カルテの書き方」の教科書をおすすめしています。なぜなら、カルテを書くということは医師の仕事の中でも大きなウエイトを占める上、患者の問題点を抽出して整理し、診断し、治療を組み立てる思考過程の記録でもあるからです。そして、そのカルテはその患者さんに関わる院内医療者全員に見られます。研修医1年目の早いうちにカルテの型が身についていると、仕事がスムーズになる上に、医師に必要な思考力も鍛えられます。研修医になったら、まずはカルテの型通りにカルテをしっかり書いてみるところから始めましょう。

③研修医で苦手とする人が多い分野「輸液」「栄養」「血液ガス」「心電図」「レントゲン」から集中的に読んでみよう!

みんほす本の中でも総論的な内容である①②を読み終えたら、自分にとって必要なジャンルから読み進めていきましょう。その中でもおすすめなのが、「研修医で苦手とする人が多い分野を集中的に読んでみる」こと。
特に、以下が研修医の多くが苦手としている印象を受けます。

・輸液⇨第5章1.「輸液をちゃんと組めるようになろう
・栄養⇨第5章2.「栄養を開始するときに知っておくこと
・血液ガス⇨第2章6.「血液ガスはお作法どおりに読めるようになろう
・心電図⇨第2章8.「心電図の読み方チェックリスト
・レントゲン⇨第2章9.「胸部単純X線の読み方チェックリスト

これらのトピックは研修医の多くが苦手としているからか、それぞれに特化した医学書もかなり人気です。私も研修医時代はそれぞれ全て買っていましたが、みんほす本はこれら全てを一冊で網羅しています!まずみんほす本で勉強し、さらに深めたいところを絞って専門的な医学書を買うという選択肢ができた、というのはかなり大きいのではないでしょうか。

筆者が個人的にお気に入りの章

筆者は自他共に認める医学書マニアで、研修医向けの人気の医学書は一通り所有している自負(?)を勝手に持っています。実際に一足先にみんほす本を読んでみて、そんな筆者が特に気に入っているのは以下の章です。

・第5章1.「輸液をちゃんと組めるようになろう
・第5章2.「栄養を開始するときに知っておくこと
⇨前述に続いて再びですが、これは本当にわかりやすいです。自分の輸液の組み方、栄養の組み方が理論的に正しいのか、研修医でなくても読んでチェックする意義があります。
・第2章7.「Point-Of-Care UltraSonography
⇨この章の1paperのレベルが異常に高い!救急外来のエコーテクニックとしてのPOCUSが1枚に非常によくまとまっています。そして、フルカラーなので解説ページのエコー画像も非常に見やすい!最近話題(?)の肺エコーの解説ももちろんあります。まとまり具合でいったら、筆者はこの章に非常に感動しました。
・第2章5.「凝固異常は難しくない
⇨血算や生化学と比べると、ちょっととっつきにくい血液検査の項目・凝固。筆者も苦手意識があったのですが、この章はみんほす!代表であり血液内科医でもある永井先生担当パートであり、非常にわかりやすいです。凝固の項目を見るときには一度この章はチェックしておきたいところです。
・第4章「救急外来、病棟管理で絶対マスターしたい疾患対応」全般
⇨これぞ、みんほす!勉強会の真骨頂。救急外来を乗り越えようシリーズと題して、私たちが日々行なっている勉強会の良さが、そのまま本になっています。基本的には、みんほす!勉強会の各スライド作成者が、自分自身が学んだことをもとにそれぞれ項目を執筆しているため、非常にみんほす!らしさが出ていると思います。困ったら冒頭の1paperに戻れば、まず救急外来を乗り越えられると思います。

最後に

以上、一執筆者として、一読者として、みんほす本の魅力をたっぷり解説してみました。文字だけではなかなか伝わらないと思いますので、ぜひぜひお手に取ってみてください。「実臨床でその場で生かせること」にこだわって作っており、尚且つ研修で必修の知識が全て一冊に詰まっている本書。
手前味噌ですが、研修医にとって新しい必携書になる、そんな予感がしているのでした。

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