
コロナ禍における「JIN -仁-」
自己紹介に続く記念すべき投稿第1弾として、テーマはテレビドラマ「JIN-仁-」にしようと思います。
というのも、これは私にとってかけがえのない作品であり、コロナ禍が始まった2020年春に再放送され話題になったのも記憶に新しいからです。
「JIN-仁-」の初回放送は2009年、その完結編の初回放送は2011年でした。
完結編の放送を目前に、3.11の震災が起こったのです。
私は当時被災地におり、かなりのダメージを受けました。
ライフラインも止まり、あらゆるものが不足していました。
そんな生活の中で、私が真っ先に思い出したのが「JIN-仁-」だったのです。
「私たちは、当たり前だと思っている…」
そのフレーズで始まる「JIN-仁-」は、少なからずあの時の状況とリンクします。
当たり前だと思っていた日常が、当たり前でなくなったわけですから。
そんな困難な状況で、その時代に生きる人々が今を懸命に生きる姿を見て、頑張らねば!と強く思ったのです。
そしてこれが、私が医療者を目指す原点になっています。
「JIN-仁-」と出会っていなければ、私はこんな風には生きてないだろうとさえ思えます。
2020年、コロナにより私たちが当たり前だと思っていた世界が、再び当たり前でなくなってしまいました。
2020年春に「JIN-仁-」が再放送された際に話題になったのは、医療にまつわる話だから、感染症に対峙する話だから、というだけでは無いはずです。
南方先生は、どんな困難の中でも、自分の持てるものを最大限生かして生き抜こうとします。
南方先生が、江戸を医師として一所懸命生きたように、
私たちも今できることを精一杯やろうと。
キャストといい、スタッフといい、日本の総力を結集したと言うべきこのドラマには、それほどの力があったのだと思います。
誰かが全力で作り上げたものが、次の誰かの心に届き、その人の生きる糧となる。
そんな数々の人生の奇跡で編み上げられたものが、「歴史」なのでしょう。
改めて、素晴らしいドラマに心からの感謝を込めて。
2022年2月6日 新出孤蝶