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乙女心は永遠/レトロ・ロマン・モダン、乙女のくらし展【感想】


レトロ、ロマン、モダン。この言葉が嫌いな人っているのでしょうか?その時代を生きていないのにキュンとする、懐かしくて心が躍る。そんなアンティーク品や建築は今でも根強い人気がありますね。

西洋文化の流入によって生活が大きく変わり始めた明治から、「モガ(モダンガール)」という言葉が生まれた大正〜昭和の時代。当時の世相と呼応しながら、世に出された女性向けデザインの品々を追っていく、そんな展覧会に行ってきました。

写真撮影OKだったので、画像モリモリでご紹介していきます!レトロなロマンあふれる品々に、モガたちのきゅん♡を感じとっていただけたら幸いです。

化粧品

はじめに迎えてくれたのは、明治時代〜の化粧品コーナーです。

化粧水自体は江戸時代からあったそうですが、ガラス瓶入りの化粧水は明治からとのこと。当時のものが綺麗に陳列されていました。

これでもまだ一部ですが、こんなにたくさん現存していることがすごい!
(以後、何度も同じ感想を抱きました。)

「キレー水」「キメチンキ」「小町水」「ホーカー液」etc …化粧水のネーミングセンスが今と全然違うところも面白いです。

化粧品の展示は種類も豊富で、デザインもさることながら、そのコンパクトなサイズ感も相まってどれも可愛かったです。

こちらは桃谷順天館の白粉
紙白粉いろいろ
あぶらとり紙いろいろ。

どれもデザイン性が高くて見ていて楽しいです。

↑の中だと、私は平尾賛平商店のレート化粧品が好みでした。紙白粉・あぶらとり紙ともに‘LAIT TOILET-PAPER SAMPEI HIRAO’と書かれているものです。

好きなデザインを探しながら見ていくのも、楽しみの一つでした。

レート化粧品のBOXセット
アンティーク感漂います。


婦人雑誌や附録

その向かいには、みんな大好き竹久夢二の雑誌表紙や、夫人雑誌の付録のすごろくなどがありました。当時のくらしぶりや文化、道徳観などが読み取れておもしろいです。

夢二式美人のやや憂いを帯びた表情はたまらん美しい
『婦人世界』の付録『家庭教育雙六』。
上りが「嫁入支度」なのには時代を感じますね。この時代にダックスフントが日本にいたことにも驚き。
『主婦之友新年附録』のすごろく。
こっちはスポーツに勤しむ女の子。

主婦之友のすごろくは、表情がダイナミックなところが良い!!

「すってんころりん」悲鳴が聞こえてきそう
「ゴール」よく見たらちゃんと膝にケガしてます。


生理用品

なかなか見かけない展示品なので、目を引きました。生理用品は、大正~昭和初期には「月経バンド(月経帯)」と呼ばれていたそうです。

容器の多くはブリキ製で、デザインは英語を多用した西洋調の華やかな物が多く見かけられます。ともすれば秘めた印象に陥りかねない商品イメージを、パッケージデザインで見事に払拭しています。

解説パネル
ブリキ缶だと持ち運びが難しそうですが、実際はどうだったのでしょう?

現代の生理用品は清潔感のある可愛らしいデザインが多いですが、当時のものは、外国土産のお菓子缶みたいなデザインだったんですね。

石鹸

解説によると、石鹸を詰め合わせたブリキ缶や化粧箱は、贈答品として広く使われていたそうです。包装を解いたときに、凝ったデザインの箱が出てきたら嬉しいですよね。

資生堂石鹸。落ち着いた色調で洒落ています
なんだか清潔感というよりも、艶やかさを感じてしまうのは私だけ?


百貨店広告

明治~大正期にかけて誕生した日本の百貨店。その広告は目を引くものがたくさん!

この展覧会の前に訪れた髙島屋のものはありませんでしたが、各社がデザインを競っていたのかなと想像してみたり・・・

PR誌『大阪の三越』by杉浦非水。彼は「三越の非水か非水の三越か」と評されたそうです。
右下の水着女性がチャーミング。その隣の女性は魔性の女性という雰囲気があってよいですね。
「地下鉄メリーゴーラウンド」
解説パネルによれば、1934年に心斎橋駅と大丸が地下通路で繋がったことを記念して大丸が配布したペーパークラフト。


広告うちわ

家庭用の冷房設備が乏しかった時代の必需品であったといううちわ。応接間などによく置かれていたのが広告うちわだったそうです。

対照的な絵柄のうちわが並んでいて、ちょっと笑ってしまいました。

解説によると、福の神や花鳥風月、美人画が多かったようです。美人画は、明治期は浮世絵風美人、大正中期以降はモダンな女性へと変化し、水着やダンスなどの時世に合わせたイラストも多かったとのこと。

左から右へ時代が降っているのかな?絵柄から時代を推測するのも楽しいですね。


嗜好品

酒、たばこなどの嗜好品のパッケージ&広告も。お酒のポスターは古い商店で見かけることもあるせいか、私自身はお酒を飲めない人間なのに、不思議と親近感がありました。

お酒のレトロポスターはすごく既視感があるんですよね。
右上のURARAと書かれたタバコは、女性向けのもの。

解説によれば、国産ビール発祥の地は大阪で、醸造所があった堂島の地には「国産ビール発祥の地」の碑があるそうです。その設置者は大阪教育委員会。まあ歴史や文化のお勉強といえばそうなのかな?

また、明治時代以降はお菓子の種類もどんどん増えていきました。明治30年代には国産ビスケットやチョコレートが普及し始め、明治製菓や江崎グリコ、森永製菓もこの頃創業したそうです。

みんな一度は食べたことがあるビスコやミルクキャラメルのお菓子箱も。
お菓子ではないですが、カルピスの包装紙も。
解説によると、戦前が青地に白の水玉、戦後は白地に青の水玉なんですって。


マッチ箱

マッチの国産化は1875(明治8)年で、明治中期~大正期は日本を代表する輸出品だったそうです。マッチ箱のデザインは輸出先のクライアントの要望に応えたものらしいです。

和風というより中華風なものも混ざっていますね。
資生堂の広告マッチ。さすがのデザイン性の高さ!


最後のコーナーにあった雑誌の表紙やチラシは、「ザ・レトロ」の雰囲気が漂っていて眼福でした。私は単色使いの広告が好みのようです(笑)

シーミルが何なのか不明ですが、デザインは好きです。
新宿武蔵野館という映画館のチラシだと思われます。こちらも洒落てますね。


全体的な感想

実は載せきれなかったものもまだまだたくさんあるのですが、本展の展示物にはきっと多くの方が(特に女性は)、キュンとすることと思います。

元号を2つも3つも超えているはずなのに、令和を生きる私まで何度もウットリさせられて、心を掴まれて。その時代を生きていないのに、きっとその当時の女性たちと同じ「ステキ…!」を感じていたんだと思います。乙女心は時代を超越するんだと思いました。

別記事にも書きましたが、年配の女性客3人組が「なつかしいわねぇ」「かわいいねぇ」と言い合いながら、きゃいきゃいしていた姿が印象的でした。
人はいくつになっても、いつだってあの頃感じたキュン♡を思い出せるし、乙女心は変わらないんだよって教えてもらえた気がします。

──乙女心は永遠、なのかもしれません!




では最後に、私が見つけた好みの美人たちをご紹介して終わりにします。

最初のコーナーにいた色白美人
桃谷順天館のコーナーにいたおそろしく美しい女性
レートジュニア化粧品の横顔少女by中原淳一。別のお客さんも「かわいいー!」と言ってました。
『何でも編める編物の手引』表紙。
画質が悪くてすみません。
キャラメルバナナの菓子箱の女の子。主人公感あるハツラツとした明るさがいい!
『淑女』の表紙。色合いや構図がステキ



最後までお読みいただき、ありがとうございました🌷


◆展覧会情報 \会期終了が近いのでお早めに!/

場所 :大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」
会期 :2024年07月13日(土)~2024年10月14日(月)
休館日:火曜日
HP   :企画展「レトロ・ロマン・モダン、乙女のくらし」 | 大阪くらしの今昔館 (osaka-angenet.jp)


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