アダムシャオイムファ ポッドキャスト インタビュー 後編|フィギュアスケート
ポッドキャストインタビューの後編になります。
趣味について
聞き手:
ギターはアコースティックですか?エレキですか?
ご家族がギターをされていたのですか?
アダム様:
兄がエレキギターをやっていました。
私は(エレキもアコースティックも)両方弾きます。
その時の気分により、雰囲気をつくりたいと思うからです。
例えば旅行の時はエレキギターを持参します。リラックスするし気分が良くなるし、弾く必要を感じるのです。
エレキギターを持って行くのは、音量を調節できる小さいアンプを持っているので、ホテルでも周りの人に迷惑をかけずにすむからです。
アコースティックギターも弾きます。
どんなジャンルでも演奏するのが好きで、いつでも楽しくて夢中になれる曲を見つけ出すことができます。
聞き手:
あなたは何でも独学で学びますよね。
アダム様:
(ギターは)14歳くらいのとき、1年半から2年ほどレッスンを受けました。
そのあとは全部独学で学びました。
聞き手:
素晴らしいですね。他のリラックスの方法としては何がお好きですか?
アダム様:
ビデオゲームなどもいいリラックス法ですが、腹を立てたりもしてしまいますからね笑
聞き手:
そうですね、でもその時は頭をオフモードにすることはできますね。
アダム様:
まさにそうです。頭を休めて楽しむことができます。
ですので私はけっこうビデオゲームをしています。
最近は世界選手権から戻ってきたばかりでゲームをしていませんが、子供のころからゲームはとても好きでした。というか私の家族はゲーマー家族で笑
兄弟や両親もビデオゲームをしています。
両親はモバイルゲームをしており、兄弟たちもビデオゲームを紹介してくれます。
聞き手:
スケーターのゲーマーは多いですよね。オンラインでゲームをするのでしょう?
アダム様:
はい。少人数のグループを作ったりしてとても楽しいです。
スケートを離れて、いい雰囲気で楽しむことができます。
リラックスできる貴重な時間です。
音楽について
聞き手:
それでは次にカルチャー面のお話、特に音楽のお話をしたいと思います。
なぜならあなたは私と同じく音楽好きで、プログラムの音楽チョイスがとても評価されているからです。
あなたの音楽の趣味が知りたいのですが、もし無人島に音楽アルバムを3枚だけ持って行けるとしたら、何を選びますか?
アダム様:
そうですね、Benson Booneの最新アルバム、それからKaleoのアルバム、名前は憶えていませんが「Brother Run Fast」が入っているもの(Surface Sounds)を持って行きます。
聞き手:
最近彼ら(Kaleo)のコンサートには行きましたか?
アダム様:
1年ちょっと前、パリでのコンサートに行きました。信じられないほど素晴らしかったです。
本当にすごかったです。私のお気に入りのグループの一つですし、雰囲気も良かったし、ライブはやはり違いますね。
(無人島に持って行く3つのアルバムの)最後のアルバムですが、アルバムではなくシングル曲になります。
Coldplayの「Viva la Vida」です。私に必要な曲と思うからです。
あなたは何を選びますか?
聞き手:
おお!私に同じ質問をしてくれたのですね。この質問については私もたくさん考えました。
まずはJames Blakeの「Assume Form」です。すごくファンなので。
それから断然Billie Eilishの「Happier Than Ever」、Daft Punkの「Random Access Memories」です。
あなたはどのようにプログラム曲を選ぶのですか?
アダム様:
コーチや振付師たちと、年がら年中一緒に考えています。
「この曲はプログラムに使うといいかもしれない」と音楽の情報交換したりしています。
そういうプログラム候補の曲をためておいて、プログラムを作る時が来たらそのリストの中からどれが一番いいか考えます。
何度も熟考し、氷上で試行錯誤を繰り返します。
何か新しいこと、まだやったことのないこと、自分を成長させてくれる音楽を探します。
プログラム作りはまた、私を人として成長させてくれます。
私は4歳でスケートを始め、7歳から試合に出ています。7歳の時のプログラムは今ではより成熟したものになっています。
プログラムと共に自分も成長する、私が成熟すればプログラムも成熟する。
このつながりは素晴らしいことだと思います。
聞き手:
その通りですね。見ていて分かります。
プログラムはいつも素晴らしいです。
競技に対する考え方について
聞き手:
それでは次に別のトピックについて一緒に語り合いたいと思います。
アメリカのジェイソンブラウン選手はモントリオールの世界選手権のインタビューで、(フィギュアスケートの試合に対する)自分の考えが変わったと述べました。
試合に出るにあたって順位のことは考えない、そういうことにもう興味がないと。
私自身は長い間(試合の)点数にこだわってきました。
あなたの試合に対する見方はどのようなものでしょうか?
試合に出るときは競争相手のことを考え、勝ちたいと思いますか?
それとも自分自身のパフォーマンスに集中していますか?
アダム様:
ジェイソンの考え方はある意味私の考え方に似ています。
つまり点数ばかりを追い求めない、また順位は自分の出来だけによって決まるものではないということです。
ですからまずは自分の演技に集中する。これは自分でコントロールできることですから。
順位や結果は他の選手がどういう演技をするか、またジャッジがどう判断するかによりますので、これは自分では全くコントロールできないことです。
だから無駄なプレッシャーをかけることはナンセンスであり、それよりも自分自身、自分の演技、自分のできることにフォーカスする方がいいのです。
聞き手:
分かります。
先ほどブノワが(世界選手権のフリーの試合の前に)リンクに上がる際にボクシングの試合の前のような言葉をかけたという話がありましたが、結局のところスケートでは唯一の対戦相手は自分自身です。
アダム様:
そうです、そのとおりです。
自分自身との闘いです。より強くなるための自分自身との闘いです。
彼が私に言ってくれたことは本当に助けになりました。
聞き手:
全般的に見て、フィギュアスケート界における競争は健全だと思いますか?
それとも何か問題が生じることはありますか?
アダム様:
ライバル関係ということでしょうか?
私自身に関しては、問題は何も感じていません。むしろ皆がうまくポジティブな競争関係を築いていると思います。
各自が自分のレベルに応じてできることを知っており、また他の選手の実力も見ています。
自分の能力の限界を超えようとする挑戦の方が、他の選手を打ち負かすことより大事です。
聞き手:
健全な競争ですね。
アダム様:
はい、アドレナリンも出てモチベーションも上がります。
聞き手:
ところでニースでは一緒に練習している選手はいますか?
競争相手になるような選手はいますか?
アダム様:
(国際大会の)レベルとは異なるので同じような競争はありませんが、もちろんニースには一緒に練習する仲間がいます。
それぞれの選手がそれぞれのレベルに応じて、より強くなるために毎日最大限の努力をしています。
アジア人差別について
聞き手:
話題を変えましょう。
この前2月にフランスのテレビでEmilie Tran Nguyenによる「Je ne suis pas Chinetoque(私はシンク(=アジア人に対する侮蔑語)ではない)」というドキュメンタリーが放送されました。
このドキュメンタリーでは、ほとんど語られることがないけれど、日常生活の中に存在するアジア人差別を取り上げています。
とりわけ、アジア人に対する固定観念にういて語られています。
例をあげるならば、アジア人は靴を履かない、数学が得意、勤勉で謙虚、女性は優しくて従順、見かけが皆同じ、などというものです。
この種のアジア人差別の特異なところは、差別について話題にされることがとても少なく、しばしばユーモアにすり替えられていることです。
あなた自身はこういったアジア人に対するステレオタイプについてどう思いますか?
アダム様:
そのような侮辱やステレオタイプを受けたことがないかと言えば、そうですね、現実には子供のころから経験してきたことですし、そういったステレオタイプは定着していると思います。
今は大人になって気にならなくなりましたが、そういったことを聞くのは楽なことではないと考慮する必要があります。
小さい頃は、学校生活に溶け込んだり友達を作ったりということが必ずしも簡単なことではありませんでした。
聞き手:
表面上は冗談や優しい言葉などに聞こえたとしても、同じようなステレオタイプの中に押し込められることは気分のいいことではありません。
アダム様:
ええ、私達にとっては(人種的な冗談などが)面白いとは限らないんです。どう対処していいか分らないですし。
まあ今はそういった言動に対して距離をおいて見ることができるので、もし誰かが私にそういうことを言ったとしても私は冗談で片づけるでしょう。関心がないので。自虐的なジョークとして付き合います。
聞き手:
分かります。でもそういった冗談が友達の間で交わされるのならまだしも、あまり知らない人から言われるのは歓迎されることではありませんよね。
アダム様:
確かにそうです。それは限度を超えています。
聞き手:
ありがとうございました。
何か追加でお話されたいことはありませんか?
アダム様:
いくつか頭の中にあったのですが、忘れてしまいました笑
聞き手:
世界選手権から戻られたばかりで疲れていらっしゃいますものね。
アダム様:
ええ、でも楽しかったです。またお会いしましょう。
インタビューの前編はこちら↓