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アダムシャオイムファ インタビュー 世界選手権後|フィギュアスケート

世界フィギュア後にユーロスポーツによるアダム様へのインタビューがございました。
内容をご紹介いたします。

聞き手:
アダム、まずは今回の素晴らしい銅メダル、おめでとうございます。
フランスにとっては2020年以来14年ぶりのメダル、我々も待ち望んでいました。
その後どうですか。モントリオールでのジェットコースターのような激動の日々を終えて、今は落ち着きましたか?

アダム様:
実際クレイジーな日々でしたので、まだ雲の上にいるよう。何が起こったのかを実感するのが難しい状態です。あまりに非現実的で信じられないようなことでしたので。
でも本当にすごく嬉しいです。(モントリオールからの)帰りで少しジェットラグがありますが、まあ大丈夫です。

聞き手:
では少し雲から降りていただいて・・ショートプログラムのあとは大変落胆されたと思いますが、演技を終えてどのように感じましたか?

アダム様:
ショートプログラムの後、私は本当に失望し、また自分自身にとても怒りを感じていました。
精神的にとてもきつく、気持ちの整理に時間がかかりました。
あれは失敗というより一つの勉強であると徐々に考えられるようになりましたが、置かれた状況は非常に厳しいものでした。
しかし、ショートとフリーの間には2日の時間がありましたので、再び集中して、決意をもってフリープログラムに向かうよう気持ちを切り替えました。

聞き手:
コーチのリショーさんとマレシャルさんからは、フリープログラムに向けて全く違う心構えで臨めるように、特に何か言葉をかけられましたか?

アダム様:
はい、彼らは私を助けてくれました。本当に良かったです。
私たちは別々の頭でほぼ同じことを考えていたのですが、それぞれの考えを出し合い話し合うことで、私の考えもよりクリアになりました。
私とコーチたちの考えがまとまっているということは、私にとっても心強いことでした。

リショーは「ショートプログラムはあのようにきつい結果になったけれども、今はフリープログラムに立ち向かわなければならない。試合はまだ終わっていないし、自分の演技をするために闘わなければならない。何よりもまず、これは自分自身との闘いだ。」と言いました。
マレシャルも言いました。「ジャンプを成功させる。そして強い気持ちと集中力で演技全体を楽しむのだ。」

彼らの言ったことは私自身も頭の中で考えていたことでしたが、実際彼らの口から聞くことで、自分の考えに確信を持ちました。

聞き手:
自分の実力を示すために挽回したいという考えがある一方で、もう失うものはないという感覚もあったでしょう。
今シーズンの成績から、世界選手権での活躍も期待されていると感じていたと思いますが、氷上にたったとき、今まで以上の怖さはありませんでしたか?

アダム様:
実際のところ私は「リンクに立って、それぞれのジャンプを成功させ、自分のパフォーマンスをする」ということ以外何も考えていませんでした。
本当に強い決意を固めた精神状態だったので、まるでボクシングの試合に出るような感じに近かったです(ここで爆笑)。対戦相手は自分自身。
ですからもう怖さはありませんでした。ストレスはありましたが、自分を刺激してくれるようなポジティブなストレスでした。

聞き手:
今回はあなたの家族もモントリオールにいらっしゃっていましたね。
オーストラリアとカナダ、フランスのボルドーから皆集まりました。
試合の間に会うことはできましたか?

アダム様:
束の間でしたが会いました。試合の間は彼らに会う時間はほとんどなかったのですが、ショートとフリーの間にも会いました。
気分転換ができてとてもよかったです。
特に試合の後に家族との時間を過ごすことができたのは、とても嬉しかったです。

聞き手:
それは大切ですね。
(フリーの)第一グループから最終グループまで待ち時間が長かったですね。その間多くの選手が演技しましたが、あなたは試合のどの時点で、これはすごいことが起きるかもしれないと思いましたか?

アダム様:
フリープログラムのあと、私は自分に言い聞かせました。
順位は巻き返せるだろう。やるべきことをすべてやったし、自分を立て直した。あとは他の選手やジャッジ次第なので、待つだけだ。
正直なところ順位は挽回できるとは思っていましたが、これほどの結果は予想していませんでしたので、宇野選手の演技のあと表彰台が確定してびっくりしました。

聞き手:
得点には驚きましたか?

アダム様:
はい。

聞き手:
以前のネイサンチェン選手の例を思い浮かべましたか?彼はオリンピックで表彰台には届きませんでしたが、17位から5位で劇的な逆転を果たしました。
このような前例があると、(大逆転が)可能だと思わせてくれます。

アダム様:
はい、まさにフランスにいた私のコーチのセドリックトゥールが電話で私に言ったんです。
「思い出して、失敗からの挽回というのは君だけに起こるわけではない。オリンピックのネイサンのように。」
この助言は助かりました。自分を奮起させるインスピレーションをもらいました。

聞き手:
実に楽しかったです。ノーミスの素晴らしい演技と一つ多い(バックフリップ)ジャンプ。あなたのトレードマークになりましたね。
あなたはすべてのエレメンツを成功させた後も(バックフリップをすることに)躊躇しませんでした。
(減点の)2点では試合の結果は変わらないけれど、それより人々の心に10点以上の印象を届けることができる、と。

アダム様:
そのときは得点のことよりむしろパフォーマンスについて考えていました。
バックフリップつきのクリーンな演技の方が、同じくクリーンだけれども(バックフリップなしの)得点が高い演技より、私にとっては価値が高いのです。
人々の心に感動を与えることが得点より大切なのです。

聞き手:
あなたは演技中の、特に最後の方の観客の歓声を聞きましたか?
何も聞こえなくなるほど人々は叫んでいました。

アダム様:
はい、とても熱狂的で最後は自分の音楽さえ聞こえなくなるほどでした笑。
観客は素晴らしかったです。全試合をとおして、ショートプログラムでも公式練習でも。
皆が私を支え励ましてくれました。本当に素晴らしい。心が温かくなりました。

聞き手:
そうですね。応援はあなたを助け励まし、今回のメダルと、歴史的な逆転のパフォーマンスへと導きました。
素晴らしいシーズンの締めくくりです。
グランプリでの優勝、グランプリファイナル進出、2度目の欧州選手権優勝とフランスナショナル優勝。
今シーズンを振り返ってご自身の評価はいかがですか?

アダム様:
私にとってはとても良いシーズンでした。
浮き沈みはありましたが、世界選手権を終えて私が学んだのは、何よりもまず諦めてはいけないこと、試合は最後の選手が演技を終えるまで終わっていないこと、また良くない演技をしてしまうことはどの選手にも起こることですが、それでも放り投げてはいけない。私ができたことなのだから誰にでもできるはずです。
欲しいものを手に入れるには、闘わなければなりません。

聞き手:
そうですね。良くない演技をしたとしても、それはあなたの本当の姿や、これまで培ったあらゆる努力を反映しているものではありません。

アダム様:
全くそのとおりです。
だからこそ私は、あの惨憺たるショートプログラムのあと、私は自分の実力があの演技のようなものではないということを人々に、そして自分自身にさえ証明してみせたかったのです。
最高のリベンジとなりました。

聞き手:
シーズンも終わりましたので、しばしの休息をとりメダル獲得のお祝いをされることでしょう。
2026年のミラノコルティナオリンピックが近づいています。先ほど話に出たネイサンチェンは劇的な逆転を果たした4年後に北京でオリンピックチャンピオンとなりました。
目前に迫るオリンピック、これが真の目標になるかと思いますが。

アダム様:
はい、2026年はすぐそこです。
メダルを獲得できる可能性はあるでしょう。現に、今回のメダルはシーズンを通して自分が世界のトップスケーターの中の一人であることを認識させてくれました。
オリンピックまでの準備期間はもうあと2年もありません。
可能性を信じて努力しますが、まだまだ先の長い道のりを歩むことになります。

聞き手:
短期的な目標は何ですか?
プログラムをより進化させ、充実させていくためのアイデアはお持ちですか?
振付師であるブノアリショーは多くのアイデアを抱えていて、よりクリエイティブな作品を創りたいと考えていると思います。

アダム様:
はい、シーズンを通していろんな面を改善していく予定です。
技術面ではジャンプの質を高め、新しいジャンプにも挑戦します。
また短期的な目標としては、プログラムに新しい要素を導入することです。スケートの世界にまだない、何か新しいものを取り入れたいのです。
すでにたくさんのアイデアがあがっていて、今はどのように取り入れるか考えているところです。面白いと思いますよ。

聞き手:
サプライズですね。

アダム様:
はい、とっても。



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