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その愛はベストで確実か?⑦キムジュウォンという人
シークレットガーデンの魅力は、主役・脇役含めてその登場人物の魅力でもあると感じます。今回は、主役のひとりキムジュウォンという人について書いてみます。
※ネタバレもあります、ご了承ください。
⑥ キムジュウォンという人
この人は、容姿端麗・頭脳明晰・財閥の御曹司と、いろいろなものに恵まれて育っていますが、唯一足りないもの、それが親からの無条件の愛、だと思います。(キルライムが父親からもらっていたのが無条件の愛だったのと対照的)。
母プノンは彼を愛しているように見えますが、それは条件付き(私の価値観の中で生きる限りは愛してあげる)であって、そのことが彼の人生に影を落としています。
「愛はホルモンの病気」としたり顔で言うのも、政略結婚を自分に納得させるための方便でしょう。本人も心の底ではそんなもの望んでいないのに。
キムジュウォンが閉所恐怖症なのは、エレベーター事故のせいだけではないように思います。母親の価値観のなかに閉じ込められている恐怖も反映されているのではないかと感じるのです。
そして自分自身も、財閥の御曹司でデパートの社長である自分でないと、愛されないと思っている。ライムに「人魚姫(愛人)になれ」とひどい言葉を投げつけて傷つけますが、政略結婚以外の選択肢がない彼にとっては、これ以外の答えが見つからなかったのでしょう。
ある日ジュウォンがライムにこう言います。
「いつか選ぶ時が来る。大勢を失望させて君を得るか、君の代わりに事業のパートナーを得るかを。」
しかしその言葉を聞いたうえで、ライムは
「人魚姫はいや。私は人魚姫にしかなれないの?」
と尋ねます。
自分のことを聞いている一方で、ジュウォンに、自分は肩書も立場もないあなたを愛することができる、無条件の愛があるということを示したのだと思います。
ライムの愛を受け入れるということは、ジュウォンにとって、母親からも得られなかった無条件の愛を受け入れるという、大きな意味があったのではないかと感じます。
画像は「みんなのフォトギャラリー」よりお借りしています。
kyo_shakumotoさん、ありがとうございます。