自分の過去と向き合う ♯2
父の目の病気が分かってから、父は治療のために住んでいる場所を離れた。
目の病気は、今の医学では治せないと言われていたのに…
少しの希望をもって。
鍼治療で有名な所があると言うことで、夜行バスで向かった。
バスに乗り込む父は夜盲症にもなっていたので、幼い私が父をバスに乗せてから見送った。
もう既に、少しずつではあるが病気は進行していたようだ。
幼いながらに、不安で寂しくもあった。
しかし、治療のかいもなく…どんどん進行していった。
視野は狭くなるばかり。つまずく事が増えていった父を覚えている。
数年前までは、車を乗り回し昼まであろうが夜であろうが運転していた父。
そんな姿を知っているので、現実を受け入れる事が出来なかったのは家族全員であった。
私が5年生になると父は鍼灸師の資格をとるために、学校へ入った。
学校の中は薄暗く、何か寂しげな所だった。
父の入学式に参加し、父を残して自宅に帰る時の気持ちは今でも覚えている。
寂しそうな父。
胸の中では辛くて、歯痒くて仕方なかったと思う。
それから、また3人での生活が始まった。
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