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教科書に載っていない 新規就農のもどかしさ-後編-

前編では農地の確保、拡大がどうして難しいのかについて
掘り下げてお話ししてきましたが
後編は、都市農業の活性化と意気込んでいても
実際はともなっていないもどかしさのお話し。


意気込みとギャップ

私自身、都市農業の活性化をしていきたいと意気込んで
就農しているわけですが、前編でもお話ししたように
意気込んでいる割には、経営がどうだとか農地を拡大するには
考えたほうがいいのではと結局のところ慎重になっているという
ギャップが生じています。

本来、活性化させます!と掲げているのであれば
どんな未活用の土地であってもそれを解決させるだけの法や策があるでしょう。
でも実際に始めてみると、自分ができることはちっぽけなもので
難しい課題も本当に多く存在することが身に染みて分かりました。

農地の利用状況

今、都市部の未活用の土地は、体験農園や市民農園(区民農園)などに利用されているケースも増えています。
市町村が運営しているケースと民間企業が運営しているケースとありますが
聞くところによると、民間に委託をするとお金払いがいいとかなんとか、、、
新規就農者に貸しても無償か、有償でも微々たるもの。
借りる側はありがたいですが、貸す側は耕作をしてもらえるというだけで
あまりうまみがないかもしれません。

また、代々の農家同士での暗黙の了解での貸し借り(正式な手続きは踏んでいない)が行われていたり
行政やJAなどにトラクター耕耘の委託を行っているケースも多いようです。
要は新規就農者に貸すとなるとその人が本当に信頼できるのか分からない不信感や
手続きがめんどくさかったりするとよっぽど理解がある方でなければ新規就農者に農地はまわってこないことが多いのも現状です。

農作業に取り組みたい声

私のところに相談の連絡が何件かあったのは
福祉作業所が農業に参入できないかとのことでした。
利用者が活動できる場所の一環として農業という産業への参画を検討しているようですが受け入れ先も少なく
また年間通して安定した仕事の委託も難しい場合が多くあります。

自ら農地を借りて年間通して作業をしたり
収穫した野菜を事業所の給食で利用したりすることで
活動の幅を広げたり、園芸療法的効果も期待しているそうです。


また不登校の子どもたちの居場所づくりの一環として
定期的な畑での体験作業や土遊びの場を探しているということ。
公園も思う存分遊ぶことが難しくなり子どもたちの居場所自体が少なくなっているそうです。
また土に触れる機会も少ないため、自然での遊び方を知らない
自然から学ぶ機会も少なく、思考力・判断力・身体能力の低下がみられるとのことでした。
しかし、農家にとって畑は遊び場ではなく生産現場であるということ。
なかなか理解してもらえる農家が少なくニーズに応えられていない現状が多くあります。

都市農業だからこそ開かれた産業に

上記のような例はほんの一部の声ではありますが
このように自分たちの身近に畑(自然)を求めている人たちは多くいるのです。
どこか遠くの県外にいって体験するのもいいけれど
せっかく身近に畑(自然)があるのだから、そこを活用したいし知ってもらいたいという声が多く挙げられています。

農家が所有している土地でも使いにくくて未活用の土地もあります。
そこは間違いなく手放す対象の農地として考えるでしょう。
そういった生産には使いにくいけど、体験や居場所づくりとして活用できる農地として使うことができるならば双方の課題解決になるのではないでしょうか。
現時点でのルールでは一般の人が借りるのは難しいため
私が借り受けて事業所の方に来園いただいて作業体験をして利用してもらうことも可能性としてはあるかもしれません。
しかし農家は生産するために畑を守ってきたの本来の目的と違うことに使われてしまったり、たくさんの人が出入りしていると不審に思う人も少ないと思います。

地主側が不信感を持ったままでは取り組みはおろか貸借すら進みません。
大規模生産地ではこんな取り組みは許してもらえないでしょう。
都市農業だからこそ、農地の活用方法は緩やかで開かれた場所へ形を変えていくことも悪いことばかりではないのではないかと思います。
そこにはきちんとルールを設け、貸す側、借りる側が不利益を被らないよう
整備していくことも理解を深める上では大切かと思います。
きちんと取り組みの趣旨を理解してもらい、やるからにはきちんとビジネスとしてお金がうまく回っていくことも重要であるため
どのような形が有効であるかプランを考えながら、いろいろな角度から知恵と力を拝借したいと考えています。

ぜひ忌憚のないご意見、お知恵、協力するよ!などお声をお寄せ頂けましたら幸いです。