ルナサあれこれ。
ルナサです
今日、というよりも昨夜7月末日ですが、アイルランド(及び欧州)の古い暦で大事な4つのお祭の1つとされているルナサです。
光の神ルグに由来を持つお祭で、去りゆく夏を惜しみ、これから迎える収穫を祝うのです。
最初の収穫祭とされるこの日は、その季節に採れた最初の実りを頂き、去りゆく光の神に感謝するお祭だとされています。(諸説有り)
よく聞かれるのは、季節の果物と、最初に刈り取った小麦を挽いて粉にしたものでパンを焼くなどです。
日本では、8月はまだまだ暑く、暦の上では秋ですよと言われてもピンとこず、亭主が小学生の頃は8月こそ夏本番じゃないの? なんて思ったりしてましたっけ。
丁度その時期にアイルランドに住んでいたことがあるのですが、確かに8月を目の前にすると、暑さの中にサッと涼やかな風が吹き込むのを感じました。まだ運動会が10月だった頃の、あの暑さと涼しさが丁度良く入り混じった感じと言えば伝わるでしょうか。
その事を現地の友人に話したところ「まだ夏だから! 終わってないから!」と嫌な顔をされましたっけ。夏の短いアイルランドならではの反応ですね。
さて、トップにある写真は2020年の、丁度ルナサの頃、滞在していたクリフトゥンの川辺を撮ったものです。
3つの流れが寄り集まり流れ落ちる様がなんとも美しく、明日のルナサはここで祝盃を挙げたら素敵だろうなと思ったのですが、翌日は雨で、まるで大水のような有様で、一人でモソモソとクロワッサンを食べたことを覚えています。(ルナサは最初の収穫祭でもあるので、刈り取りの鎌を模したクロワッサンを頂くという風習があると言います)
5月1日前夜のベルティネ、11月1日前夜のハロウィン(サウィン)に比べて、少し控えめなお祭であるルナサですが、夏が過ぎ、これから長い冬に向けて準備を始める日という意味合いもあり、アイルランドでは、生活の中に溶け込んでいます。
もちろん、そういう日には、妖精たちに悪さをされないように、焼き上がったパンには十字を切ったりなど、色んな作法が伝わっています。
日本でも、そういう「この世のものではない人たち」との付き合いは、盂蘭盆や節分などに取り込まれていて、私たちの生活に彩りを添えてくれていますよね。
狐弾亭の1冊
そんなアイルランドの暮らしを丁寧に書いた一冊がこちら。
アリステイラー女史の「アイルランド田舎物語」。
アイルランド南部の村を舞台にした回顧録でもあります。
決して妖精たちとの付き合いが前面に押し出されている訳ではありませんが、日々の生活の中に垣間見える祈りや風習がとても生き生きと描かれています。
素朴なお茶の時間も描かれていて、ゆったりとした気持ちで読めますよ。
狐弾亭のブックカフェでもご用意しますので、開店、お立ち寄りの際には是非
狐弾亭亭主・高畑吉男🦊