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【回顧録】前澤狂想曲を経て思いだした、「100円あげるから家までついてきてや」
ZOZOタウン社長、ゴーリキーあやめさんの彼氏、前澤さんのお年玉企画。
100万円を100人にあげるツイッターの上のお祭り企画。
規約に違反してるとか、売名行為とか、単純に嬉しいとか、ポジティブ意見とネガティブ意見で世論は真っ二つです。
ぼくは今回、ネガポジどちらの意見でもなく、ただ今回の件で思い出した面白くもなんともないけどなぜか忘れられない話を雑記として記します。
あれは13年前、中学1年生の頃でした。
野球部に所属していたぼくは、家の方角が近い同級生たちと一緒に帰宅していました。
そして、各々は自分の家が近づくと、「じゃあな」と言って、集団から離れて自分の家に向かいます。
1人、また1人と集団から離れていくのが下校集団の風景です。
あまりにも普通の風景で、それらを考察することはないでしょう。
しかし、みなさんは、集団の中で最後に残される人の気持ちがわかるでしょうか。
集団で帰っているのに最後に1人残るのは、初めから1人で帰るのとはわけが違います。
じゃあな、じゃあな、という声が重なり、最後は1人になるのです。
まさにアガサクリスティーのそして誰もいなくなった。
100年後の世界で例えるなら、火星移住計画の最終局面で、1人だけ地球に残された人の気持ちなのです。
ぼくは比較的家が近かったので、早めにじゃあな、をするほうでしたが、ある同級生の言葉で、残されるものの辛さを知ったのです。
その同級生は、ある日、ぼくに言いました。
「なあ、今日はおれんちまでついてきてや」
「なんでおれがついていかなあかんねん」
1足す1は2だと言う当たり前のトーンで、ぼくは断ります。彼の家はかなり遠いので面倒だったのです。
すると彼は、苦虫をすり潰した顔でこう言いました。
「100円あげるから来てや」
100円?
ぼくは、1秒考えたあと即答しました。
「わかった」
彼の家の遠さの労力よりも、そのときのぼくには100円をもらえることの方が魅力的でした。確かゲームを買うために貯金をしていたのです。
そして、彼の家までついていき、最後に100円玉を手渡されるのです。
このとき、歴史が動いた。
いや、歴史は動きませんが、ぼくらの力関係は決まりました。
一見、お金をもらえたぼくが得をしているように思えますね?
「いいえ、違います」
ぼくは、同級生にお金という餌で操られたのです。
13歳という財力に大差のない立場でありながら、ぼくはお金というものを差し出されれば自らの意思に反する行動をするという事実を彼に与えたのです。
彼は、そのあとも、お金を餌にぼくを家まで連れて行きました。
しかし、何度同じ行動を繰り返しても、その時間は釈然としないものでした。
無償で渡されたお金を見ると、なぜか嫌な気分になるのです。
しかしぼくは貯金のためと思い、その行動を2.3回程度続けました
しかし、よく考えるとこれはお互いwin-winなはずです。
同級生は、寂しい下校が寂しくなくなり、ぼくはお金がもらえる。
贈与税とか、倫理観とか、13歳の頃にはそういうことは頭にありませんでした。
しかし、ぼくはなぜか胸がモヤモヤしました。お金で彼に支配されたような気がしてしまったからです。
前澤社長のプレゼントも同じです。
リツイートするだけ、という簡単な条件が応募方法で、100万円が貰えるかもしれない。
もちろんこんな夢のような話はありません。
ぼくだって今のクソッタレな人生をひっくり返すために100万円は是が非でも欲しいのです。
前澤社長は、そんな庶民の気持ちはわかりきっています。
このプレゼントは認知度上昇やそのほか、波及効果を考えたマーケティングの一種ではありますが、
大前提は、
「お前ら金欲しいだろ?
このプレゼントを餌にすれば、フォロワーになってリツイートしてくれるだろ?」
という風に、ぼくら庶民を見下しているのです。
宝くじなんかじゃなかったいのです。
これは壮大な実験であり、ぼくらは100万円を餌にされたモルモットなのです。
ゆとり教育を受けたゆとり世代として、文部科学省のモルモットにされたぼくは、ここにきてまたも、モルモットにされようとしているのです。
ZOZOタウンに限りません。
証券会社は「口座開設で5000円プレゼント」
仮想通貨取引所は「口座開設で120リップルプレゼント」
ペイペイは100億円還元セール
そうやって餌で、釣られまくっているのです。
口をあんぐりとあけて、餌につられる鯉なのです。
もちろん、ぼくもそうなのです。
けど、仕方ないじゃないですか。
人間だもの!
お得な情報には飛びついてしまうのです。
しかし、今回の前澤社長のキャンペーンにだけは釣られたくない、そう思っていました。
「こんなむちゃくちゃな話あるか!リツイートだけで100万円貰えるかも?
フォロワー増やしたいために、俺らを舐めるのも大概にせえよ!」
ぼくはもう、うんざりしていました。
お金に支配されているだけではなく、今の自分は人事課という組織に自分の勤務地を支配されているのですから。
あんなに大阪に勤務したいと言っていたのに鳥取に飛ばされて人生が狂わされちまって、もちろん自業自得ですが、もう誰かに自分の運命を操られるのは嫌だったのです。
100円につられて魂を売り渡した13年前とは違います。
「君しかいない、鳥取に行ってくれ々
甘い言葉で鳥取に飛ばされて、地獄を味わっている今、もう誰にも操られたくない。
俺の行動は俺が決める、お金の誘惑に支配なんて...!!!
ポチッ
フォロー
タッタッタッ
結局100万円欲しさにリツイートしちゃいました、車の借金が返したかったんです!
ああ、ぼくは意志薄弱です、前澤っちにお金で行動を決められてしまいました!!!
というオチで、些細なエッセイを締めさせていただきます。
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