デザイン経営を神戸の中小企業と一緒に。(神戸の現状とデザイン経営)
7月30日、神戸のビジネススクエア「Anchor KOBE(アンカー神戸)」でデザイン経営のセミナーを実施しました。2名の講師のセミナーにつづき、最後は3名の講師へのQ&A含めたディスカッション。オンライン聴講者のぞき、会場にはさまざまな企業の方およそ30名がいらっしゃいましたが、名刺交換や一歩踏み入ったご相談に盛り上がりました。
○「ミライ経営塾Wonders(ワンダース)」とは
このキックオフセミナーより始まった「ミライ経営塾Wonders」は、神戸市内に拠点のある中小企業の経営者・経営層の方々を対象に、「デザイン経営」の視点から事業成長を目指す実践型のプログラムです。
①国内外で実績のある3名のメンターからデザイン経営の基礎を学ぶ「基礎講座(座学とワークショップ)」②企業の課題に合わせて、「プロダクトデザイン」「ブランドデザイン」、「組織デザイン」の3つのテーマでサポートする実践編の二本立てで進行するプログラムです。
受け身に3名のメンターにの言われるがままの一方的なプログラムではなく、あくまで「変わりたい」と思う企業自身が自発的に変わっていけるようなプログラムを進めてまいります。
【参加の諸注意】
参加費:無料 ※ただし、プロダクトの試作費用や移動交通費等は自己負担
対象企業:神戸市内の中小企業の経営者もちくは経営部門の方。合計12社。
※1社あたり2名でご参加ください。2名のうち1名は必ず経営者もしくは経営部門の方がご参加ください
※神戸市外の中小企業の方であっても、神戸市内に事業所・工場・研究所などの拠点があればご参加いただけます。
※全4日間の基礎プログラム、全8日間の実践プログラム、合計12日間に必ずすべてご参加ください。
参加申し込みは下記フォームへ必要事項をご記入のうえエントリーください。(2021年8月20日まで)
参考:業種業態ごとの中小企業・小規模企業の定義については下記参照
○今回の講師(メンター)3名
【星加ルリコ(ほしかるりこ)氏】
株式会社 RURIKO PLANNING代表取締役。企画・クリエイティブディレクター。武蔵野美術大学卒。東京の都市計画コンサルタント会社を経て、神戸にて、ブランディング会社である同社を設立。企業ブランディング、店舗プロデュース、商品開発、デザイン制作、各種イベント企画・運営等をトータルで手掛ける。
【岩野翼(いわのたすく)氏】
株式会社AKINDのCEO、Founder。英国のBrunel Universityブランディング&デザイン戦略修士課程修了。2014年にブランド&カルチャー・マネジメントに特化した同社を創業。人文科学的アプローチ「Sense-making」という手法を用い、事業戦略や組織開発における複雑な課題に対し、事業活動と組織文化をつなぎ、関わる人々が自分の意思で前に進めるような「しっくり」を生み出す。通気的にクライアントに伴走し、中期的なブランド・組織の成長を支える仕組み・体制を共創している。
【小林新也(こばやししんや)氏】
合同会社シーラカンス食堂/MUJUN代表社員。クリエイティブディレクター・デザイナー。株式会社OneGreen代表取締役・チーフデザイナー。1987年、兵庫県小野市、表具店に生まれる。2010年、大阪芸術大学デザイン学科卒業。2011年、イノベーションデザインを行う「合同会社シーラカンス食堂」を地元の兵庫県小野市に設立。播州刃物や播州そろばん、石州和紙、石州瓦、京都の伝統工芸品などの商品や技術、販路や伝え方、意識のイノベーションに取り組み生産者が抱える問題解決に取り組んでいる。
○あらためてデザイン経営とは
ググると最初にヒットする、2018年に経産省と特許庁が出した「デザイン経営宣言」が、一番知られている情報ではないでしょうか。
こうしたで「デザイン経営」が必要とされる一因として、今の日本の社会構造の多くが昭和40、50年代に整えられたものであることがあげられます。当時の労働状況、社会インフラ、経済発展状況、企業環境、生態系を含む自然環境を前提につくられた制度や仕組みと、21世紀のいま実際に生活しているわたしたちとのあいだに「ひずみ」が生じています。この「ひずみ」を、デザイン(構築)しなおすとりくみとも言い換えられます。
○兵庫県・神戸の産業の特徴と想定される課題
【ものづくりの港町、神戸】
兵庫県の産業構造として、中小企業庁の市区町村別中小企業数(平成30年11月30日更新)によると兵庫県内の総企業数145,054社のうち144,748社が中小企業、また144,748社中122,808社が小企業に分類されています。また兵庫県が独自で集計した卸売業・小売業にかんする経済センサスによると、従事者の最も多い卸売産業は機械器具卸売業(22,987人、構成比26.2%)、次いで飲食料品卸売業(22,450人、同25.5%)であり、小売業は飲食料品小売業が108,821人(構成比41.1%)となります。
神戸市の産業構造にも「製造業」が多い特徴があげられます。神戸港開港と造船業の発展という歴史的背景を踏まえ、大手企業のみならず中小にも「ものづくり」企業が多いのが特徴です。医療産業都市なども抱えることもあり、医療機器やIT関連の技術に秀でた企業や、そうした分野のニッチ分野でキラリと光る企業も多いのが神戸の特徴と言えます。技術力や業界シェアに反して、B2B企業がゆえに業界外での認知度の低さなども課題です。
総じてこれまでの「ものづくり企業」の経済発展に欠かせなかったポイントが「知財」の扱いです。製造特許をはじめ知的財産を守るからこそ経済発展してきた経験があります。しかしながら次世代型の経済発展で求められるのが「オープンイノベーション」。このようなジレンマを抱えながら、どうやって時代のニーズに応じて企業が存続できるよう変わっていくかを意識するために、Wonders基礎講座編では「知財」に関する座学の時間も設けています。
【食関連ビジネスも多い神戸】
またサービス業の割合も多いのですが、県全域で言えるのが食品に関する産業が多いというのも特徴です。実際に住んでいる神戸人あるある発言が「神戸は海にも山にも恵まれている」「海や山と(都心からの物理的な)距離が近い」「海の幸・山の幸、ともに食に恵まれている」。
実は清酒生産量と原材料となる酒米「山田錦」の生産量も一位なのが兵庫県。神戸も灘を中心に多くのおいしい酒蔵に恵まれており、近年世界からも注目されはじめています。
食の分野についてはここ最近たくさんの問題があがっています。生産そのものが自然に左右され、時間がたてば腐敗する食べものに一律に値付けがされる経済の仕組みのまま、21世紀社会を迎えられるのか?余剰生産やフードロスなどへの関心は高まりつつある一方で、なかなか今の生産・販売体制を変えづらいのも、①コスト②マンパワー③「情報収集力」に苦心する中小企業ならではの問題といえます。
参考:藤原辰史著「食現象の脱領域的考察──分解の円環の中」『環世界の人文学』、同著『縁食論』等。
現在「ミライ経営塾Wonders」は参加企業様(12社)を募集中ですが、それぞれの企業ならではの課題を一緒にあらいだし、半年間向き合っていく予定です。
引き続きよろしくお願いいたします!
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