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「新長田を彩るプレイヤー ~スタッフと創る、地域に根付く図書館を目指して~」-Part1-

-記者-
働いていて、楽しいなって思う瞬間はいつですか?
-Nさん-
私はまだ館長になってからそんなに経っていないのですが、スタッフの頃は、やっぱり自分の考えた企画とかサービスで、お客さんが「面白い」と思ってくれるのがうれしかったですね
館長になってからは、「自分が」っていうよりは、利用者の方が満足してくださるのはもちろんですが、スタッフがみずから発信して、図書館をより活かす何かをしてくれる時が楽しいですね

自分が考えてもいなかったような図書館を使った利用者サービスを、スタッフが考えてくれたら、ほんと楽しいですよ


新長田図書館 前館長 Nさん 

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-記者-
図書館に勤めておられますが、何か仕事に対してのこだわりはありますか?
-Nさん-
そうですね、神戸市は各区にそれぞれ図書館がひとつ必ずあるんですが、おなじ神戸市内の図書館っていうても地域によってそれぞれ全然違うんです
ここやったらJRの新長田と山陽の西代の駅のちょうどあいだぐらいのところに建ってますけど、住宅地の真ん中じゃないですか
市営住宅の2階ですからね
区役所とか住居とくっついてるのは垂水や兵庫の図書館も一緒ですけど
図書館って、本が置いてあるとか貸出ができるとかっていう機能は一緒やけど、やっぱり図書館ごとにみんなまったく性格が違うと思うんですよ
兄弟姉妹とかでも、まったく性格が違うとか、普通にあることやないですか
そういう感じで、神戸市立の図書館っていうことでは一緒なんですけど、それぞれの性格は全然違うっていうのがあるんです
私は館長の仕事させてもらってますんで、その新長田だけが持ってる個性っていうのは、ちゃんと活かして、推し出していきたいなと思って

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-記者-
新長田の図書館はどういう特徴がありますか?
-Nさん-
この図書館は長田区の新長田というエリアにあって、ちょっと歩いたら商店街とか工場とか港とか、そんなに広くないエリアに、何でもぎゅっとつまってるでしょ
長田区の商店街の繁栄って、戦後の復興期とか震災前とかは、もっとすごかったらしいですけど、今でも活き活きしているじゃないですか
神戸だけじゃなくどこの地域でも、商店街ってシャッター化して淋しくなってるところが少なくないですけど、新長田は商店街がちゃんと活きてて、その周りに住宅街があるでしょ

なんかリアルな「ああ、人が生きているな」って感じがすごいするんですよ長田区って、結局一番面白いのは「人」じゃないですか


商店街の中のカメラ屋さんを覗いたら、おっちゃんらが町内会の写真のプリントしにきている横で、プラウベル・マキナとかマニアックな中古カメラが売ってたりするんですよ
あと、アスタのなかにある神戸映画資料館さんとか、日本中に、ここしかないっていう場所ですからね
館長の安井さんは、日本映画史の中で名前だけは伝わっているけど、もうフィルムは失われて二度と見ることはできないと思われていた映画を幾つも発掘してはったりするすごい人なんですよ
-記者-
新長田の「人」の魅力はとても感じます
-Nさん-
そうですよね
この図書館は、貸出の冊数自体は、神戸市内の他の図書館と比べたらそんなに多くはないんですが、長田で暮らしている皆さんの日々の生活に地続きで、使ってもらえている図書館やなって思います
だから、スタッフにも常に、ほかのどこかではなく、長田区の図書館であるということを、具体的に、どう活かしていくかを考えてねって言うてます
すでに使っていただいている人にも、まだ図書館に来たことないって方にも、「長田の図書館おもろいな、変わったことやってるな」と興味をもってもらえるように、スタッフにはまず、「自分が本気で面白いと思っていることをどんどんやってみてよ」、とお願いして、いろんな取り組みをしてもらってます
図書館って、ただ本を借りたり返したりする場所でなく、ひとつのメディアとして、本を介して、人と人が交流できたり、常に何か新しい発見がある場所になってほしいなって、いつも思っています
-記者-
色々なイベントをされていると思うんですけど、全部スタッフの方が考えているんですか?
-Nさん-
そうですね
神戸市の図書館全体で、「秋の読書週間」などの共通のキャンペーンで、どこも同じ時期にやるイベントもあります
でもその内容は各図書館のスタッフが考えるんで、各館どう個性を出していくか、っていうのは大事ですよね
腕の見せ所というか(笑)

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-記者-
新長田図書館でこれは面白いってものは何かありますか?
-Nさん-
神戸って昔から多様性が豊かな町だったと思うんですけど、長田区ってその中でも特に、多くの在日コリアンの方々が暮らしておられたり、そういう神戸の特徴を代表している区だと思うんですね
神戸の各図書館には、それぞれの地域に特化して本を集めている棚があるんですけど、新長田図書館では「アジアコーナー」という棚を作っていて、韓国語や中国語の本、ベトナム語の『ドラえもん』なんかも置いてます
様々なルーツを持つ子どもたちが、図書館を使ってくれているのは、うれしいですね
最近、動画配信サービスで新しい韓流ドラマが見られるようになっていることもあるのか、若い書き手による韓国の小説が日本語に翻訳されたものが、話題になってるんです
韓国の翻訳文学を出している出版社9社が、各地の本屋さんで、いろんな作家や書店員が寄せたポップを使った韓国文学を紹介するフェアをやっていて、もちろん神戸の図書館でも、それらの本を所蔵しているんですが、ほとんど貸出になるくらい人気があったんです
-記者-
韓流ドラマにハマってる方最近多いですもんね!
-Nさん-
そうそう!
新長田図書館の中にもこの本屋さんでやってる新しい韓国文学フェアの面白さを持ち込みたいなと考えて、このフェアをうちでも開催させてもらうことにしたんです
本が好きで図書館もよく使ってくださる方って、やっぱり本屋さんもよく使っておられて、本もかなり買っておられる印象があります
でも、私自身もそうですけど、なかなかいつも買わないジャンルの本を買うのって、じゃっかんハードルが高い(笑)
でも、図書館って、無料で本を借りることができますから
お試しでパラパラっとめくってみるだけでも、借りて帰ってじっくり読むこともできる
このフェアを図書館の中で見て、いつもは手に取らない本に触れて、「へぇ、今の韓国の小説ってこんなんなんや、なかなか面白いやん!」って思ってくれる利用者さんがひとりでも増えたら、本屋さんや出版社さんもうれしいでしょうし、図書館としても、とてもうれしい

なので図書館やけど、本屋さんでやってるのと同じポップを借りてきて、フェアをやったりしてるんですよ


-記者-
へえ!!
-Nさん-
このフェアを開催したとき、出版社の担当の方に「どっか他で、首都圏とかの図書館でこのフェア実施したこととかある?」って聞いたんです
すると、「いや連絡自体くれたのが、神戸の新長田図書館さんが初めてです」って言われて、正直うれしかったです(笑)
-記者-
すごいですね!
-Nさん-
出版社さんが使用してるTwitterで、フェアの模様と一緒に、新長田図書館の「アジアコーナー」の宣伝もしてくれはったのも、うれしかったです
-記者-
「アジアコーナー」と聞くと、新長田らしいと思いますね!
-Nさん-
ですよね

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