フードデリバリーマーケットの考察と攻略法~ポータルサイト活用によるプロモーションのポイント~
フードデリバリーマーケットの考察と攻略法
~ポータルサイト活用によるプロモーションのポイント編~
皆様こんにちは、
フードビジネスコンサルタントの小林です。
前回はフードデリバリーマーケットの考察と攻略法
ポータルサイト活用における商品開発・ブランド開発
について解説しました。
※本記事をお読みになる前に、前編もご覧ください。
今回は、ブランド・商品を開発した後の、
ポータルサイト活用によるプロモーションのポイント
について解説していきたいと思います。
都市部・地方別のプラットフォーム活用によるフードデリバリー戦略
出前館やUberEatsを中心に、
デリバリープラットフォームが全国に広がってきたとはいえ、
まだまだ地方間での商流売上格差は大きいです。
したがって、既にプラットフォーム間の競争が激化している都市部と、
まだまだデリバリーポータル自体が浸透していない地方では、
当然戦い方も異なってきます。
プラットフォームがまだ浸透し切っていない地方では、
導入期のマーケティング同様に、まずは市場を形成する作業、
すなわち、多店舗展開企業や有名店を中心にユーザーをプラットフォーム内に誘因する作業が必要になります。
したがって、地方型の場合は、
まずは商流(プラットフォーム内の市場)を牽引するために、
ポータルサイト経由注文を受け皿にした自社販促を仕掛けなければいけません。
実際に、地方のプラットフォームデリバリーで、
月商1,000~2,000万円を超えるクライアントの多くが、
複数ブランドの展開と徹底的な自社販促の展開によって、
プラットフォームの商流売上の3、40%以上を稼いでいることもあります。
一方で、プラットフォーム内に十分な市場が形成されている都市部では、
プラットフォームユーザーを自店にどれだけ引き込めるか、
いわゆるポータルサイト内マーケティングがポイントになります。
ポータルサイト内マーケティングのポイント
一般的なポータルサイト経由売上の公式は、
売上=露出数×ページ流入率×注文率×注文単価
になります。
(ポータルサイトによって定量化される指標が異なるため、
あくまでも概念的な方程式。)
UberEatsの運用画面では以下のようになっています。
店舗チェック>注文追加>確定注文
のコンバージョンファネルですが、
店舗チェック数≒露出数×ページ流入率
注文追加(率)×確定注文(率)≒注文率
前述の公式と連動させると、
上記のようにご理解ください。
概ねUberEatsでは、
店舗チェック数 10,000~15,000程度
注文追加率×確定注文率 8~12%程度
1ブランド月商3、400万円以上のモデル数値です。
さておき、ポータルサイトマーケティングのポイントとしては、
売上=露出数×ページ流入率×注文率×注文単価
の各指標を最大化させようということになります。
フードデリバリーでは、リピートの定着が相対的に高い傾向にあるため、
(飲食店で約30%、デリバリーで約60%程度)
ここからは新規獲得に向けて上記指標を向上させる対策を見ていきます。
(細かな対策や実践事例は割愛しますので、
業績向上に必要な項目を確認していただければ)
ポータルサイト内で自店ページを表示させるためのポイント
まずは、ポータルサイト内での表示を増やす対策ですが、
①店舗設定
⇒配送時間や営業時間など
②カテゴリー設定
⇒「日本料理」「ファストフード」などの分類
③キーワード対策
⇒商品説明などへの検索が多いキーワードの入れ込み
までは、一般的な対策として実施します。
UberEatsの場合はさらに、
➃ポータル内広告
⇒「リスティング広告」や「プロモーション」
➄「Eats厳選店」の獲得
⇒ユーザビリティに関わる指標の達成状況
特にUberEatsを中心とした国内新興プラットフォームでは、
”ユーザーからの評価が非常に重視される傾向が高い”ため、
小手先の対策よりもこのあたりを重視して取り組みたいところ。
ポータルサイト内で自店ページに流入させるためのポイント
表示を増やせば、次に自店ページに流入させなければいけません。
ここのポイントはシンプルで、
①店舗名の表記
⇒概ね25文字(13文字)に”業態名”を適切に含む
②サムネイルの設定
⇒明るさ、角度、構図、背景など
となります。
特にサムネイル写真には細かな対策があるものの、
それ以上にポータル内でのトレンドの把握と、
自店の特徴をイメージでシンプルに伝えることを意識しつつ、
ABテスト等を行いながら最適化していくことが何より重要です。
自店ページ内での注文率を高めるためのポイント
最後に注文率を高めるためのポイントです。
(商品力そのものは前記事で記載しているので割愛)
ページ構成上のポイントとしては、
①商品写真の設定
⇒しずる感やブランドイメージが伝わる写真を統一感を持って
②商品のネーミング、商品説明
⇒特徴などが伝わりやすいネーミング、説明文の記載
③メニューカテゴリーの設定
⇒ユーザーが選びやすいカテゴリー作成と順番
➃メニュー掲載の配置
⇒注文されやすいメニュー掲載の順序
の4点になるかと思います。
特に、メニューカテゴリーの設定では、
「当店人気」や「おススメ」など初見ユーザーが注文しやすい設定や、
「Uber限定」「今だけお得」などの限定訴求などの設定を行うことで、
注文率を飛躍的に向上させている店舗も多いですが、
このように商品開発と連動した対策も重要になります。
バリューの高いセットメニュー開発や季節商品の投入など、
実店舗でも行っているような対策をデリバリーポータル内でも実践していただきたいところ。
さいごに
最近ではスタートから複数ポータルを運用する会社も増えています。
もちろんデジタルドミナント戦略という観点から、
いずれに取り組むべきことではありますが、
1)マーケティングのリソース分散
2)複数タブレット管理でオペレーションが煩雑に
といったデメリットもあります。
1)に関してはまず1ポータル・1ブランドで100万円/月を早期達成させ、
その後、他ポータルに展開する、というのも力相応で見れば合理的かと思います。
また、質の低いゴーストブランドの乱立はプラットフォーマーから見てもリスクであることを考えると、
今後どこかのタイミングで制限が掛かる可能性が高く、
1ブランドでもしっかりと柱となるブランド構築は重要になるはずです。
また、2)については、
複数のポータル経由受注を一元管理できるシステムなども出てきていますので、
このあたりの導入・活用も検討いただければと思います。