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「新しい資本主義」って何だ? ~首相施政方針演説に思う~

本日、第208通常国会が召集され、岸田首相は衆参両院の本会議で就任後初めて施政方針演説に臨みました。
岸田首相はあまり脱炭素政策には積極的ではないのではと見られていましたが、今回の方針演説では一応、脱炭素政策について言及しているので、その点は良かったと思います。

「新しい資本主義」を岸田首相はご自身のパワーワードとしたいようですが、この部分の言及に関して個人的に気になる点があります。

市場に依存し過ぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大。市場や競争の効率性を重視し過ぎたことによる、中長期的投資の不足、そして持続可能性の喪失。行き過ぎた集中によって生じた、都市と地方の格差。自然に負荷をかけ過ぎたことによって深刻化した、気候変動問題。分厚い中間層の衰退がもたらした、健全な民主主義の危機。
世界でこうした問題への危機感が高まっていることを背景に、市場に任せれば全てがうまくいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、様々な弊害を乗り越え、持続可能な経済社会の実現に向けた、歴史的スケールでの「経済社会変革」の動きが始まっています。 

それらしきことを言っているように思えますが、本当にそうなのかなと思う部分があります。
「市場や競争の効率性を重視し過ぎた」あるいは「市場に任せれば全てがうまくいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、様々な弊害」とありますが、わが国においては本当にそうだったのか疑問に思います。
確かに80年代以降の規制緩和、民営化、自由化などの動きはそれらしく見えます。
しかし、現実的にはがんじがらめの規制だらけで、うまく市場が機能していないケースの方が多いように思います。
例えば、以下のような事例は山ほどあります。

こういった事例がコロナ禍で浮き彫りになったばかりでした。
「市場の効率性」や「市場に任せる」といったことがほとんど進んでいなかったのが、わが国の現状ではないでしょうか。
どちらかと言えば、市場原理をより効率的に働かせることに対して怠慢だったと思います。
確かに「企業は株主利益最大化のために、とりあえず短期的なROEを高めておけば全てはうまくいく!」みたいな考え方(が新自由主義なのかはわかりませんが)には問題があるのかも知れません。
それはそれで弊害の部分は是正していく必要があると思います。
しかし、わが国の本質的な問題はそこなのでしょうか。
本当に「市場は悪」なのでしょうか。
「市場は悪」なのだから、政府がコントロールしていくということでしょうか。(あれ、それだと第二次大戦後~1960年代に主流だったケインジアンか?)
「新しい資本主義」とは何なのでしょうか。
それらしきものを持ち出して「新しい資本主義」を語るよりは、わが国にとって本質的な問題がどこにあるのかを、しっかりと「聞く力」発揮して吸い上げて頂き、「新しい資本主義」を築いて欲しいです。

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