古着と僕
「古着と僕」
高校時代に2週間だけお付き合いした女の子がおりました。
夏の花火大会、向こうはバッチリ浴衣を着込んできていました。
僕はと言えば・・
当時ね、野茂英雄投手がメジャーリーグで大活躍した年(1995年)で、「三振」って言葉がアメリカで大流行したんです。
高校1年の夏に初めてアメリカに行った僕は、それに感化されてか、単に流行ってるって理由で、そのTシャツを購入、、
まさかのその三振Tシャツを着て、下にはドジャースのスウェットパンツ、足元は、アディダスの偽物みたいなスニーカー・・
要はファッションに全く興味が無かったが故に、"あるもの"を"適当"に着てデートに行ったわけです・・
結果、
彼女、ドン引き。
数日後、友達伝いに彼女からの伝言が・・
「小林くんとお別れしたい・・理由は・・ファッションがダサいから・・ってさ。」
「ああ、そうなんだ、へー、そっかそっかあ、わかった、わざわざ電話してくれて、おん、ありがとな」
冷静を装ったコバヤシ少年でしたが、内心、
なんでだよーーーー!!!!
なんでそんな理由で振られなきゃいけないんだよーーーー!!!!
外見とかじゃなく、中身じゃないのかよーーーーー!!!!
荒れ狂っておりました。
見事なまでの、空振り「三振」です。
泣くだけ泣いて、気持ちが落ち着いたタイミングで、夜中までやってる本屋さんにダッシュで自転車もり漕ぎして行き、たしかクラスの皆んなが読んでるって言ってたファッション雑誌『Boon!』を購入し、急いで帰宅。
ファッションとやらの勉強を始めました。
その時の特集が、復刻デニムと、各地の古着屋さんの紹介だったんですが、
「ジーパンってこんなに高いの!?」
「なんだよ、色落ちって!!?」
「古着!?古い誰かが着てたこのボロボロの服が、え、こんな値段すんの??なんで!??」
「アメカジってなんだよ?ストリートってなんだよ?」
頭の中、混乱です。
次から次へと疑問が湧いてきて、僕にはファッションを理解することなんて到底不可能だっていきなり諦めムードだったけれど、
「首の後ろのタグ?へー!これ、ランナーズタグって言うんだ、で、このタグが違うだけで、年代が変わってくるんだ!」
「ポケットが一つだと、ファースト、二つだとセカンド、サードってのは、へー、ここに三角の模様みたいのが入るんだ!」
なんか雑誌を読み込んでいくうちに、なんかマニア心をくすぐるような細かいこと(ディティール)が書かれているんですよ。
元々、漫画やらキン消しやらビックリマンやら、コレクター気質なところはあったので、これは掘り下げていくと面白い世界かもしれないってなったんです。
気付けば、どっぷりと古着、アメカジの世界が大好きに。
そもそも、あの頃はバスケットに夢中で、アメリカ留学ってのも視野に入れてたわけだから、そのアメリカンカルチャーにのめり込んでいくことに、なんの矛盾もなかったわけですよね。
部活の友達たちとたまの週末、豊橋の古着屋さんに買い物に行くのが楽しくて楽しくて仕方なかったです。
名古屋の古着屋に行くのは超怖かったけれど、、
そう、あの頃の古着屋さんって、特に知らない土地だと、ちょっとやっぱり入るのに勇気がいるとこだったんですよね。
大学は、希望していたように留学することになるんですが、そこでまたまたカルチャーショック!
古着が、安い!!笑
日本で買ったら、何万円もするようなジーンズやアウターが、5ドル以下だったり。
限られたお小遣いでも、たくさん購入できたのが嬉しかったですね。
勉強の合間にスリフトストアと呼ばれるお店に行っては、ディグっていました。
大人になり、ラジオで喋るようになり、人前に出ることも多くなったので、しばらく古着を着なくなってしまっていたんですが、
昨今の古着ブームと共に、あの頃の熱が再燃。
特に、コロナ禍で、大好きなオレゴンの地にも行けなくなった日々も重なり、余計に古着への想いは募っていきました。
「今なら、こんな目線で古着のディグをする」
そして、その想いが、今年の9月、3年ぶりに『Love It, Portland-Oregon』ツアーを開催できたことで、果たせました。
僕一人だけ、ツアー後も延泊し、大学時代に通い詰めたスリフトストア『Goodwill』を何軒も梯子し、買い漁ってきました。
今ではアメリカでも若者を中心に古着ブームが起こっているので、昔のように、ヴィンテージがゴロゴロ出たり、お値段も5ドル以下、、なんてことはもう無かったですが、
それでも、80〜90年代くらいのアイテムは沢山見つかりました。
楽しかったです。
店に入った瞬間、
「さあ、ここでは、どんなお宝と出会えるんだい!?」
ワクワクして、足取りが軽くなるんですよね。
そんな僕が、先日、古物商(衣類)の免許を取得しました。
そうなんです、この高まった古着への想いをもっと形にしたいと思い、
昔からの憧れでもあった古着屋さんを始めることにしました!
と言っても、お店を新たに構えるとこではなく、
中区千代田の『ファーマシーコーヒーラボ』の入口のところにハンガーラックを置く形で始めます。
そして、慣れてきたら、豊川の『グレープパークコーヒーショップ』店内にも展開するかもしれません。
古着屋の屋号やコンセプトなどは、また改めてお伝えします。
「三振」から始まった僕と古着の物語、果たして次の打席はいかなる結果に!?
乞うご期待。
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