V2MOMとは?目標管理・評価に利用する有効性【テレワーク時代の必須ツール】
こんにちは!
株式会社Phone AppliのSalesforceプロダクトチームの小林です。
コロナウイルスの影響で、テレワークの導入が世界中で広がっています。
テレワークが始まると様々なことが問題になってきますが、大きな問題の1つが社員の評価をどうするべきかだと思います。
「出勤」という概念がなくなるので、社員を働いた時間で評価するのはもう不可能です。
そこでおすすめの目標管理・評価の仕組みがSalesforce社が創業当初から使っているV2MOMという方法です。
弊社Phone Appliでも、実際に目標管理や評価の仕組みとして利用しています。(※キャプチャの内容はマスキングしています。)
3月末から全社員テレワークに移行していますが、V2MOMの仕組みのおかげで、問題なく仕事が進められています。
今回は、以下の2点について徹底的に深堀りしていきたいと思います。
・そもそもV2MOMとは何なのか?
・V2MOMを目標管理・評価に使う有効性
それでは、見ていきましょう!
V2MOMとは?
そもそもV2MOMとは、Salesforce社で利用されている意思統一、目標管理の方法です。
V2MOMの語源は、V2MOMを作成するときに利用する要素のVision、Values、Methods、Obstacles、Measuresのそれぞれの頭文字を取って名付けられました。
Salesforce創立者のMarc Benioffが創業当初から使っている方法で、Salesforceの創業から今までの成長を支えていたと言っても過言ではありません。
具体的には、以下のような要素を組み合わせて、会社の意思統一や目標管理をします。
Vision(ビジョン):行いたいことや達成したいことを定義
Values(価値):ビジョンの追求を支える原則や信念
Methods(方法):業務の完遂に必要な行動や手順
Obstacles(障害):ビジョンを達成するために克服しなければならない課題や問題、難点
Measures(基準):求める成果を表し、測定可能なもの
Trailheadー「V2MOMを使用した組織内の意思統一の実現」より
…この説明でわかるでしょうか?
僕はぶっちゃけ、これを読んだだけではわかりませんでした…。
今ではV2MOMを使って何度か目標設定をしているので、理解できていますが、これからV2MOMを利用するに当たって、解釈に悩んでいる人も多いと思います。
そこで、このV2MOMについて僕なりに噛み砕いてみたいと思います。
※Salesforceの考えとは少しずれているかもしれません。あくまで僕個人の解釈なので、これを読んで、ぜひ自分で深堀りしてみてください!
V2MOMを噛み砕いてみる
それでは早速V2MOMを噛み砕いてみたいと思います。
まずは言葉の定義をシンプルにしてみましょう。
Vision(ビジョン):達成したいこと
Values(価値):(行動の)原則や信念
Methods(方法):アクション・行動
Obstacles(障害):(ビジョンや行動の)障害
Measures(基準):(測定可能な)基準
これだけでだいぶすっきりしました。
でも、言葉を削ったことで、それぞれがどう関係しているのかわからなくなります。
そこで、次は簡単な図にしてみました。
少し補足をしておきます。
まずはVisionがあり、Visionを達成するためにValueに基づいたMethodsがある。(※VisionからMethodsに伸びる矢印がValuesを通っていることがポイント)
そして、Methodsは測定可能なMeasuresに分解することができます。
忘れていけないのがObstaclesで、VisionやValues、Methods、Measuresを進める上で障害となるものです。
…ここまでまとめていて少し思いついた図があるので、もう1つ図を作成してみました。
それぞれの関係を「家」で例えてみるとイメージしやすいです。(センスないからイケてない図なのは許して…)
それぞれこんな関係性になっています。
Vision(ビジョン):達成したいこと → 屋根
Values(価値):(行動の)原則や信念 → 地盤
Methods(方法):アクション・行動 → 柱
Obstacles(障害):(ビジョンや行動の)障害 → 雨風
Measures(基準):(測定可能な)基準 → 土台
屋根(Vision)を完成させるには、柱(Methods)、土台(Measures)、地盤(Values)をしっかりさせないといけません。
柱(Methods)が1本抜けている、土台(Measures)が欠けている、そんな状態だと、屋根(Vision)まで完成させることができませんよね。
また、V2MOMを考えるときに、Valuesの解釈に悩む人が多いかもしれませんが、この図を少しいじってみると、理解できると思います。
ValuesはMethods(行動)を決定する上での原則・信念です。
つまり、信念からずれた行動をしてしまうと、Visionを達成することができないということです。
先ほどの図をいじるとこういうことになります。
柱(Methods)と土台(Measures)はしっかりしたものができています。
しかし、その柱(Methods)と土台(Measures)は本来建てるべき地盤(Values)からずれたところに建ててしまったため、屋根(Vision)を完成させることができなくなっています。
ここで、もう一度、最初のV2MOMのそれぞれの要素の定義を見てみると、先ほどよりもだいぶイメージが掴めるのではないでしょうか?
Vision(ビジョン):行いたいことや達成したいことを定義
Values(価値):ビジョンの追求を支える原則や信念
Methods(方法):業務の完遂に必要な行動や手順
Obstacles(障害):ビジョンを達成するために克服しなければならない課題や問題、難点
Measures(基準):求める成果を表し、測定可能なもの
【V2MOMの例】実際に作ってみた!
ここまで、だいぶ抽象的な話が続いたので、具体的なV2MOMで考えてみましょう。
スマホアプリでゲームを提供している架空の会社で考えてみます。(パッと書いてみたので、内容が少し浅いですが、ご了承ください…)
Vision
日本中の人が毎日遊ぶゲームを作る
Values
・ユーザをワクワクさせる
・今までにない先進的なゲームを作る
・社員の健康と幸せ
Methods
・iOSとAndroidの両方でアプリをリリースする
・常に新しい技術をキャッチアップする
・社員が楽しく仕事ができる環境を提供する
Obstacles
・iOSエンジニアの不足
・オフィスが古く、環境が悪い
Measures
・iOSエンジニアを3名採用する
・最新技術の情報を掲載する社内用サイトを作成する
・オフィスを移転する
・社員満足度調査で5点満点中4点以上を取る
このV2MOMと先ほどの家の図を見比べてみてください。
先ほど抽象的だった内容が、具体的にイメージできるかと思います。
ここで、先ほどのValuesからずれたMethodsの例をこのV2MOMから考えてみます。
このV2MOMのValuesはこの3つです。
Values
・ユーザをワクワクさせる
・今までにない先進的なゲームを作る
・社員の健康と幸せ
Visionが「日本中の人が毎日遊ぶゲームを作る」なので、ここでMethodsとして「徹夜してでも、リリース日を死守する」を決めたとするとどうでしょうか?(極端すぎる例ですが…)
たしかに、ゲームのリリース日を死守することで「ユーザをワクワクさせる」というValuesは守れているかもしれません。
でも、徹夜なんてしていたら「社員の健康と幸せ」のValuesからはずれています。
「社員の健康と幸せ」というValuesからずれることで、社員のモチベーションが下がり、ゲームの質が下がって、ユーザがすぐに飽きて遊ばなくなってしまう…そんな悪循環になり、結果としてVisionが達成できなくなってしまいます。
まさにこの状態です。
このように、V2MOMはそれぞれの要素が密接に関連していて、Visionの達成のために必要な要素なのです。
テレワーク時代にV2MOMを目標管理・評価に使う有効性
さて、V2MOMの解釈について見てきましたが、V2MOMを実際に目標管理・評価に使うことで、テレワーク時代に最適な評価をすることができます。
冒頭でも書いた通り、テレワークが当たり前の時代に社員を働いた時間で評価することは難しくなります。
そこでV2MOMを利用することで、会社の達成したいこと(Vision)に貢献している行動(Methods)を明確化し、達成に貢献した実際の測定可能な活動(Measures)に応じて、社員の働きを評価することができます。
Measuresを達成しているということは、会社がVisionに近づくことに貢献した、ということになるため、それほど明確な評価指標はありません。
また、V2MOMを作成することで、社員はどんな仕事をすれば、会社に貢献でき、評価されるのかが明確化されるので、それに向けて余計な管理をされなくても仕事ができるようになります。
弊社でも、V2MOMを目標管理や評価指標として利用しています。
その目標管理&評価をするための仕組みもSalesforceのAppExchangeアプリの「Vision Go」として提供しているので気になる人はチェックしてみてください。
>Vision Goの詳細を見てみる
まとめ
今回はV2MOMについて少し深掘りして見てきました。
Salesforceは、1999年の創業からわずか20年ほどで時価総額1540億ドル(記事執筆時)でアメリカのIT企業で11位の時価総額を誇るほどの企業に成長した会社です。
その会社が創業当初から使っていた、会社の意思統一、目標管理の方法なので、これをうまく使えば、会社の成長に貢献することは間違いないでしょう。
理解して、実際のV2MOMを作成するのは難しいですが、この記事が少しでもV2MOMの理解、作成の手助けになったら幸いです。
それでは、最後まで読んでくださって、ありがとうございました!