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マーケター・広報担当は裏方・黒子です。〜兵庫県知事選挙の裏側を明かした広報女子について思うこと〜

はじめに

11月20日にとんでもないものが出てきました。
大荒れに荒れた兵庫知事選挙に関わる、あるカミングアウトなのですが・・・。

これ、11月17日執行の兵庫県知事選挙で当選した斎藤元彦さんの「選挙活動の広報戦略を私がやりましたー!」っていう活動報告なのですが、このnoteが実にヤバい内容でして・・・。

マーケターとしての私見も含めて徒然に書いていきたいと思います。


公職選挙法違反のカミングアウト

まず、選挙となると一番問題になるのが公職選挙法の枠内で選挙活動をすることが求められるのですが、今回紹介したnoteの記事を紐解いていくと公職選挙法違反のカミングアウトとも取れる部分がたくさんあるわけです。

その中で気になる部分に関して3つポイントについてお話しをしたいと思います。

・業務を有償で請け負った可能性

選挙活動は、無償のボランティアが活動が原則です。折田という人物が社長として運営する法人が斎藤元彦さんのインターネットを利用した選挙活動に関わって有償業務として報酬をもらっていたならば公選法に抵触する可能性があります。

・無償でやっていたという言い訳が成り立つか

はっきりいうと成り立ちません。過大な労働力の無償提供は行き過ぎた寄付行為となる可能性があり、あるいは個人の選挙に対して法人が寄付行為をするのは禁止をされていて、双方ともに公職選挙法に抵触する可能性があります。
無償ならば、株式会社にとっての特別背任になるケースもあったりします。

この記事を書いた方は無償で活動したという言い訳をしているような情報も聞こえてきていますが、その言い訳はいろいろな観点から無理筋です。

・事前活動の疑い

(現在は削除されているようです。)

このSNS運用フェーズを見てもらうと告示日以前からのスキームになっています。
これは、告示前にSNSで配布される画像や文言の中に投票依頼だと判断される内容があったならば、東京都知事選挙の時に話題になった事前活動に該当する可能性もあります。

余談ですが・・・。
この運用フェーズを見ると斎藤知事が失職を決断する前から、計画的な広報戦略が練られていたということがよくわかります。そうなると、ちょっと違う感情を抱く方がいてもおかしくないのかなとも思います。

オイラもフリーランスの時代に依頼を受けたことがありますが、全て断りました。
有償業務としての依頼でスキームの考案だけではなく運用まで関わるのがマストであったのでお断りました。

法律的なことに関しては、簡単な内容になりますが公職選挙法に関する指摘はここまでにします。選挙コンサルやインターネットコンサルの選挙運動参加は、かなりグレーです。

詳しくは選管や総務省などにお問い合わせをいただければと思います。

マーケター・広報担当としてどうなの?

ここからは、職業の性質という側面からこの人どうなのというお話です。
これも3つのポイントでお話をしたいと思います。

・マーケターは裏方、黒子じゃないの?

オイラはマーケティングや広報の担当者は裏方であり、黒子だと思っています。
その観点から行くと、この方は失格です。なぜ失格なのか・・・。
クライアントよりも前に出て、自分の仕事の実績としてこんなことやった。
そんなこと詳らかにしてはいけないのです。

マーケターはデータなどから導き出した仮説をもとに最前線で動く人たちが動きやすい仕組みを作る作り手です。広報担当者は利害関係者との良好な関係作りをするための仕掛け人であり影の伝え手です。

この方は、裏方であることを忘れて自らの実績として喋り過ぎてしまっているので
黒子としても成り立っておらず、失格であると考えざるを得ません。

・マーケティング戦略は表に出して良いのか

「出して良いわけあるわけないじゃないですか。」って話です。
最近は、イベントなどで戦略の輪郭という限定された範囲でインハウスのマーケティング担当者がお話をすることがないわけではないですが、クライアントワークをする担当者が内容を細部まで詳らかにし得意気に語ることなんかあり得ません。

この場合は選挙ですが、これを見た有権者はどう思うでしょうか。
有権者が抱いていた、あるいは選挙期間中に抱いた人物像が作られたものだと知らされてしまった有権者は「ドン引き」するでしょうし、「嵌められた」「裏切られた」と思ってしまう人も出てくると思われます。

それって何かというと、有権者に対する「背信」なのです。
マーケティング戦略は表に出すことによって事後的でも逆効果になることもあることを考えると細部まで詳らかにしてはいけないのです。

今回は、あり得ないくらいに見せすぎています。

・詳細を見せることの危険性まで考えた?

今回の件、選挙という性質上オイラは墓場まで持っていく話だと思っています。
選挙ということを承知で、有償・無償関係なく請け負ったのであればクライアントの素性やそのプロセスなどの全部を語らず黙っていた方が得策です。
喋ってしまった場合、結果としてクライアントを陥れることになりかねません。

「えっ。そんな大ごとになってしまうの!!」

って、思うのかもしれませんが・・・。
法律の規制が絡むものに関して言えば、クライアントが違法性の疑いをかけられる場合もあるわけです。

今回の場合、公職選挙法違反が裁判により確定すると「連座制」が適用になることも可能性として考えられ、クライアントである斎藤知事側が「当選無効」「公民権停止」というような大きな代償を負わされると言うことにもなりかねないのです。

そういうように見ていくと、内容を詳らかにすることの危険性は全く考えられておらず、危機管理意識がない無自覚状態での記事掲出だったことが容易に伺えます。

まとめ

この方、当該のnoteの記事が話題になってから何度となく部分的な文言の削除・図表の削除、文言の修正、YouTube動画の非公開化などの行為を繰り返しています。

SNS支援の社長さんなら分かっていることと思いますが、「炎上」の原因になるばかりではなく、SNSの中で「消すと増える」という現象を起こしてしまい、最終的には収拾がつかなくなるのです。

これまでの諸行を見てみると、なぜ炎上したかという本当の理由なんてわかっていないと思います。ということで、色々考えていくと、この方「アマチュア」以下なのかなと思わざるを得ないのであります。

でも、なんとなく仕事をしてきて「上手いこといった」事例が増えてきたら、兵庫県の各種委員に選ばれたりなんかした後に勘違いして「爪伸ばし過ぎてしまった」のでしょう。
爪を伸ばしている最中、兵庫県知事選挙で支援した斎藤元彦さんが当選して、嬉しくなって無自覚にやってしまったということなのだと思います。
世の中、爪伸ばしすぎると剥がされることも知らずに・・・。

こんな風に、戦略の裏側を詳らかにされた時のことを思うと・・・。
仕事を頼もうという方はいないでしょうね。オイラなら頼みませんし、おススメはできませんね。

最後に・・・。
本件、詰まるところ下のポストの最後の一言が全てです。

「雉も鳴かずば撃たれますまいに」
無用のことを言わなければ、禍いを 招かないですむことのたとえ

今回も長くなりましたが、この辺で。


後記

勘違いされるといけないので。
私は、斎藤元彦兵庫県知事を支持する立場でも支持しない立場でもありません。
色々と問題になっていることが公の場で明らかになり、今まで色々ともたらされてきた情報の何が正しいのか知りたいという立場です。

今回の記事は、斎藤元彦兵庫県知事に対し負の感情があって書いたものではなく、マーケティング・PR・広報という同じ仕事をするものとして今回の事象に危うさを覚徒然に書き連ねたものです。

長崎県知事選挙において当選した知事を支援をした選挙コンサルが手法をSNSにおいて明かした結果、告発され知事と選挙コンサルが捜査対象となったものの不起訴となった事例がありました。そして、長崎県議会は百条委員会の設置で揺れています。

本件、兵庫県においても本件同じ流れになることが予想されます。
どうなるのか、推移を見ていきたいと思います。

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