ジジイの片づけ 2023/07/30
沢野さんってこんなキャラだったかな?
本の中には、穏やかで、でも凛とした一人のジジイがいたのであった。
note記事でおススメされていたので、ああ、沢野ひとしさんだ。なんて久しぶり!と思って手に取ってみたのだ。
まさか片づけ本をだされているとは!
学生時代、とにかく椎名誠が大好きだった。
椎名さんの作品は、大好きよりも上をいっていて、どうしようもなく落ち込んだ時など、「もういいや、どうだって」を口癖にして、あちこちをケトばすというくらい、私にとってバイブル的存在だった。
そして、必ずというくらい、椎名誠が好きな人は、沢野ひとしの絵という存在を目にすることになる。
椎名作品の中では、沢野画伯はワニ目でぼんやりといった存在ではあるが、その絵は大変魅力的であった。
ある時は抒情的で、あるときは暴力的、ある時は圧倒的に面白く、その線はよたよたしているようで、でも味わいが深かった。
ヘタウマとか言われていたけれど、完成されていないようで、完成度の高い絵だった。
もちろん、彼のエッセイも読んだことがあるけれど、その文章は、椎名誠作品にでてくる人柄とはまた違い、どうしようもなく哀愁に満ちていて、また味わい深かった。
そんな沢野ひとしさんが、片づけ本を!!!!!
まず、巻頭の仕事場やキッチンの写真に感動してしまった。美しく使い込まれている。家具は頼んで作ってもらったものらしい。
片付けていく途中で、色々と物を処分していく様も潔い。
私もこうなりたいものだ・・・。と思っていると、後半ではそのようなジジイに対する家族との不調和などがでてきて、ちょっと寂しかった。
片付けというものの押し付けはよくない。
しかし、哀愁とユーモアの加減が絶妙な文章は健在だった。
そして男性の片付け本は珍しい。ないわけではないけれど、多くは若い人のものが多そうだ。
人生の終盤を迎えて、より気持ち良く生きていくための片付け。家族との折り合い。
なかなかに人生は難しい。
ジジイの台所という本もあるようだ。こちらも興味津々である。