ミステリだけれど怖かった「レッドクローバー」2023/06/20

他に読みたい本が積読となっているが、図書館の順番がまわってきたので、先にこちらを。
結果、面白くて一気に読んでしまった。

次はどうなる?の連続だった。
ページをめくる手が止まらないといった感じ。。。
なんか犯人わかったぞーと思うのだが、見事に裏切られ、二転三転で、後半は特にスピード感満載でした。

登場人物のほとんどが、イヤなヤツなのでイヤミスなんだろう。
人間の嫌なところの描写が、かなり詳しく書かれているし。
子供に対して意地悪をいってしまう大人とか、ほんとすごい嫌な感じであるが、自分も百パーセントそうではないと否定ができない。
ほんまにイヤミスは自分にも突き刺さってくるからヤダなあ。
でも、面白かった。

ヒ素と聞いて、私たち世代は間違いなく「林眞須美」を思い出してしまうのだが、無関係だった。
しかしあの事件も、動機がはっきりとしないままだ。でもこの本を読んで、動機など、曖昧模糊としていて、はっきりと言語化できないものなのかもしれないと思った。(もっと踏み込んでしまうと、和歌山のカレー事件は状況証拠しかないから、本当のことは誰にも分らないのだけれど…。この本の事件もそうだよね。証拠不十分。)
とにかく、動機がないのではなく、動機というものが犯人にもつかみどころがない、ということ。
「怒り」、突き詰めるとそういうことになるのかなあ。。。
読んだ後、そんなことを思った。
貧困や虐待。読み手が犯人に同情してしまっては、異常なエピソードが挿入されて、怖くなる。
読んでいるこちら側の気持ちさえ、危うくなる。

あとひとつ、この本の中で、親から無視されたり、嫌われたりうっとうしがられたりするのが女の子だというのは偶然か?
よくある虐待も、子供を愛せない親も、やっぱり女の子に対して、が多いのか。
余談でした…。
でもやっぱり、美和子のエピソードがひっかかります。
あれは、本筋とは関係ないので、いらないといえばいらないが、でもそうじゃない。
親子?その前に女性?というものの業の深さというか、そういったものを示唆しているのか。あのエピソードがあるから、犯罪の背景を想像して余計悲しさが増すというか。
いったい子供が何をしたというのだろう。
でも、かわいくないといった気持ちも理解できる。それがいいことではないとわかっているけれど。でも、かわいくないだけではなく、反面愛してもいるんだよね。子供を愛していないわけではなく、自分が一番かわいくて、でも私だって愛してほしかった。
結局、自分勝手といってしまえばそれまでだけれど、そこへ至る道のりに、虐待や放置の連鎖はなかったのか?

とにかく、次どうなるの?という面白さから、ほとんどノンストップといっていいほどの速さで読んでしまった。
そして、このどんでん返し、ちょっと癖になりそう。
まさきとしかさんのほかの作品も読んでみたいです。

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