「スキマワラシ」を読んだ 2023/05/31
とうとう梅雨入り。
5月は体調があんまりよくなくて、世間についていくのが精いっぱいだった。
あれもしたい、これもしたい、にだんだん自分がついていけなくなっているのを感じる。
ここは動いて元気を取り戻したいところ。
読んだ本を返却に図書館まで歩いて行ってこよう。
延滞してしまうといけないと思って、返却延長をかけていたのだけれど、最後あっという間に読んでしまった「スキマワラシ」
伏線がすべて回収されたわけではない。
最後なぜこれで問題は解決した、という気持ちになってしまうのかは謎で、これまでの経緯と、謎に関する疑問がすべて解決したわけではない。
また主人公たちが、きっとこうなるのだろうなという展望もはっきりとはしない。
スキマワラシの登場回数も、期待したほど多くはない。
恩田陸なんだから、そういうものなのかもしれないが、でも読後感がすごくよかった。
現実生活においても、謎がすべて解決するほうが少ないのではないか。
私たちは、「きっとこうだったのだろう」という想像力を働かせつつ、前へ進む。
恩田陸作品には、不思議な能力を持った人物がよく登場するのだが、この作品もそうである。
その能力の描かれ方が、個人的にすごくツボにはまって、たまに読みたくなる。
今回も、この主人公に起こる不思議な現象の描写がとても好き。
個人的に美術館がとても好きである。
小さいギャラリーに入るのは勇気がいるけれど、そんな空間も好きだ。
今回、骨董と現代アートがわりと重要な位置を担っていて、それも読んでいて、心地よかった理由なのかも。
表紙に影響されたからか、全体的に夏のイメージ。
自然の中に、現代アートやちょっと古い建築物がある感じ。あくまでイメージだけれど。
なんだろう、雨が続くからなのか、扉を開けて向こうへ行きたい気持ちに私がなっているからなのか、妙に印象に残った一冊になってしまった。
本屋に行ったら、新刊も並んでいて、非常に気になったが、あまりにあれやこれやと悩みすぎて、結局変えずに戻ってきてしまう始末…。