「少女終末旅行」と本のこと
好きな漫画、何度も繰り返し開く漫画がいくつかある。「少女終末旅行」はそのひとつ。
文明が滅びた後の世界で、チトとユーリの二人がある場所(と言っていいのか)を目指して旅をする話。道中にピンチはあるが、敵と言える存在は登場しない。ほぼ誰もいない世界だから。
リアル世界がこれからどうなっていくんだろうという漠然とした不安の中にあって、読みたいけど落ち込んでいる最中に読むには内容的にどうかなと思って置いておいたけど、緊急事態宣言が解除されるとなった時に今でしょと思って拾い読み。以下ちょっとネタバレ。
作品の中で、本は象徴的なアイテムとして序盤から登場する。読み書きができず本の価値を理解しないユーリと、日記をつけ、手持ちの数冊の本を大事にするチト。(ユーリの名誉のために補足すると、ユーリは直感で行動するタイプでピンチの際の反射神経は抜群である。)
道中、膨大な量の本を蓄えた書庫のような場所を通りかかる場面がある。このエピソード、どのタイミングの話だったか覚えてなくて今回の読み直しで探して思わず唸った。最終巻、二人の旅の過程で最後に出会った「文明」と呼べるものがこの書庫だったのだ。
前後の話数の状況からすると、この書庫の本は、地球の滅びを確信した後にも人類の文明の記録を残す目的で集められたと思われる。曰く「本は全部人間の考えたことの記録」。しかも電子データではなく紙の本であるところがポイント。書庫を過ぎたあとの本の行く末はぜひ作品で。
わたし、本棚ってとても好きなんです。本棚には人生が詰まっていると思う。わたしが人生のいつか出会って読んだ本を並べたら、それはきっとわたしの人生みたいなものになると思っていて、わたしが居なくなった後に(子供は居ないけれど)誰かが触れて出会ってくれたらいいな、と思って本棚に本を納めている。ほんのちょっぴりだけど、期待を込めて。
そんな気持ちもあって、ブックストアエイドに僅かですが協力させていただきました。その中の読んでよかった本屋さんの話をひとつリンクします。本屋さんの声がたくさん聞けたのが、リターン以上のリターンでした。