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中華SFアンソロ『時のきざはし』より 王晋康『七重のSHELL』/黄海『宇宙八景瘋者戯(うちゅうばっけいふうじゃのたわむれ)』
■王晋康『七重のSHELL』
ものすごく怖い話です。現実との見分けがつかない仮想の世界を実現する「SHELL」。その世界のほころびを見つけるために主人公はSHELLを身にまといます。6度、彼は世界が作り物であることを見破ります。7度目、再び目を覚ました彼は、果たしてこの世界は現実なのかもうわかりません。彼は、周りの物や人、母親までを疑います。気が触れたと思われても不思議でない状態に陥って物語は終わります。
短編種の7作品目ということで、本を開くこと7回、7つの‘仮想‘の世界に潜ってきた読者としての体験とリンクするような感覚があってか、読者の私の世界にまで恐怖が侵食してくるような怖さ、面白さがあります。
■黄海『宇宙八景瘋者戯(うちゅうばっけいふうじゃのたわむれ)』
宇宙の果てを目指し連絡を絶った宇宙船の救出を目指す本作です。宇宙船は火星の衛星を丸ごと宇宙船にしていたり、マイクロマシン宇宙船をテレパシーで操作して宇宙船を探索するなど、正直初見の感想は難しい話だなと感じました。
原題『躁郁宇宙』である本作、邦題『宇宙八景瘋者戯(うちゅうばっけいふうじゃのたわむれ)』は、落語の『地獄八景亡者戯』(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)をリスペクトした日本語訳でしょうか。本作は思ったよりギャグに近いのかもしれません。そう思い見返すと、唐突にネコ型ロボットが出てきたり、童話のような語り口調に変わったりということがありました。
ちなみに、最近サービス終了してしまったスマートフォンアプリゲーム『ららマジ』でも、『地獄八景亡者戯』リスペクトのストーリーがありました。ゲームが楽しかったのですが、原典まで見れていませんでした。動画でも見られるのですね。聞いてみます。