人は歳を取ったら動けなくなるのか?動かないから動けなくなるのか?
こんにちは。こあらっこです。
今日は「人は歳を取ったら動けなくなるのか?動かないから動けなくなるのか?」と言うテーマで書いていこうと思います。
「あー。定年退職したら、自由気ままに旅行に行きたいなー。」
「老後は、趣味だけしてゆっくりダラダラして過ごしたいなー。」
こんな風に、今が忙しいからこそ、老後はゆっくり過ごしたいと思ったことがある人は多いのではないでしょうか?
歳をとること(加齢)は、様々な箇所で慢性炎症が生じ、それが自覚症状として顕在化してくるということです。
前回の記事では、運動をすることでその慢性炎症が修復されるメカニズムについてご紹介しました。
と言うことは、「歳を取ったら、ゆっくり縁側でお茶をして過ごす」(こあらっこの昭和的老後イメージ🤣)と言うのは、本当に人の進化として正しい過ごし方なのでしょうか?
「老後にゆっくり→筋力低下&慢性炎症の顕在化→より動かなくなる」という負のスパイラルに陥りそう、、、と言うのが普通に考えて想像できますよね。
勿論、スポーツが趣味!とか山登り大好き❤️とか日常的に体を動かす習慣がついている人は別ですが。
では、ここで、「歳をとっても体を動かすこと」がどうして健康で長生きするメカニズムと結びついたのか。人類の進化から考えていきましょう。
人間には老後がある!?
多くの生き物は、普通、繁殖可能年齢(子供を産める年齢)を過ぎてまで生き続けることはありません。人類に1番近いと言われているチンパンジーでも、メスは閉経してすぐ、オスも子孫を残せなくなる50歳を超えて生き延びることは滅多にないそうです。
しかし、人間は子供を産めなくなったOR子孫を残せなくなった後も、(病気や事故などの偶発的な事象がない限り)20〜30年は生き続けますよね?
日本人の平均寿命が男性で81歳、女性で87歳(厚生労働省令和4
年簡易生命表より)という発表もありますので、女性の閉経を50歳と仮定すると日本人女性の半数が、閉経後40年近く生き続けることになります。
これは、人間が非常に珍しい生き物であるということを表しています。
「日本は高度な医療技術があるし、国民皆保険によってみんなが必要な治療を受けられるから、平均寿命が長いんじゃないの?」という方もいらっしゃるでしょう。
勿論、この平均寿命の長さは、医療技術が発達しており、それを皆が使えるというシステムのおかげ、かつ、自力では生きていけない状態になってからの過度の延命治療をすることによって伸びている部分も大きいと思います。
しかし、現在のアフリカの狩猟採集民の寿命も、死亡しやすい子供の時期を超えると、なんと68歳〜78歳まで生きる可能性が高いのだそうです。
つまり、医療技術だけの問題ではなく、我々人間は、子孫を残せなくなっても生き続けるように進化してきたということなのです。
アクティブな祖父母仮説
「運動の神話」の著者である、ダニエル・E・リーバーマンさんはここで「アクティブな祖父母仮説」というもの提唱しています。
先ほど、チンパンジーと人間の違いとして「老後」の有無を挙げましたが、他にも違いがあります。チンパンジーのメスは5〜6年に1度、1匹の子供を産み育てますが、人間(狩猟採集民)は3年ごとに妊娠出産します。
チンパンジーは外部から支援が受けられず、母親が1人で子供を育てるのです。子供を抱えた母親が一日に採取できるカロリーが、ギリギリ自分と1人の子供を養うくらいのカロリーなので、子供が自分で食料を採取できるようになるまでは新たに子供を儲けることができないのです。
一方、人間は生まれた子供を集団で育てます。おじ、おば、祖父母、その他のアクティブな中高年は「自分が必要とするカロリー」+「それ以上のカロリー」を採取し、余剰食料として若い世代に提供しているのです。また、アクティブな祖父母は、孫や甥、姪、子供に従分なカロリー(食料)を提供するほか、子供の世話を手伝うことで母親の仕事量を減らすのにも役立っています。
そして、高齢者は“知識“や“知恵“を授けることでも若い世代を助けています。
このように人間は、繁殖可能年齢を過ぎても、「世代間の協力」をすることで(若い世代を助けることで)、自身の繁殖性行動を高めていたのです。
わかり安く言うと、高齢になっても適度に働き、できるだけ多くの子や孫、若い親族が生きて繁栄できるように手助けしてきた人間の子孫の方が多く生き残ってきたのではないかということです。
その結果、「老化を遅らせ」+「寿命を伸ばす」メカニズムは、歳をとるにつれ、身体活動によりスイッチが入るようになったのではないか。
言い換えると、「人間の健康寿命は、身体活動をする為に延長されるよになった」と考えられます。そう、昔は身体活動をすることが目的であり、そのために寿命が延ばされていたと言う考えです。
それが、いつの間にか、文明が発達し、飽食の時代になり、身体活動をしなくても食糧が手に入る時代になりました。でも、私たちの体のメカニズムはそんなにすぐには変わりません。
かくして、現在の脱工業化社会に住んでいる我々は、「健康寿命を伸ばす為(目的)に身体活動をする」と言う、石器時代にはありえなかった状況が出来上がったわけですね。
人間は助け合って生きていくように進化してきた
こう見てくると、改めて、高齢になっても自分の子どもや孫、若い世代の手伝いや世話をすることは人間として自然なことなんだなーと感じました。
今の日本って違うじゃないですか。まあ、核家族化してるからなかなか孫の世話ができないっていのもあると思うのですが、、、。自分の孫じゃなくても、他人の子どもとか若い世代とかに冷たい高齢者多いじゃないですか。「子どもが泣いている声がうるさい」とか文句言う人もいたり。
どの時代にもそんな心もとないことを言う人いるし、暖かく接してくれる高齢者もいると思うのですが。。。
全体的に自分の子どもは夫婦で世話するのが当然的な空気が漂ってますよね?
税金や社会保険料だって、まだ貯蓄もほとんどなく所得の低い若い世代に重くのしかかるようになってたり。。。
でも、この「アクティブな祖父母仮説」を知ると、その空気事態が異常であって、そもそも人間は集団で助け合ってきたからここまで発展できたんだし、助け合ってきた子孫が私たちなんだと改めて理解できますよね。
そういう、温かい環境(年代関係なく助け合うのはお互い様という環境)が本来の人間の在り方なんだと多くの人が知ると少しは変わってくるのかな?
少なくとも自分は若者や子どもに優しくあれる自分でいたいなと強く思った今日このごろでした。
私ごとですが、我が家は核家族で、子どもがベビーの頃は子育てが大変だったので、「子どもが望むなら孫の世話もしてあげたいなー」とまだまだ早いですが、おばあちゃん視点で先のことを考えることがある、こあらっこです。🤣
まあ、子どもの人生なので、結婚するかどうか含めてどうするかは本人次第でしょうが。
今日は、進化人類学から見た、“人間の寿命“について書いてきました。
色々な本を読んでいても新たな発見ができてめちゃくちゃ面白いものから、なんとなく心に刺さらないものまで色々ありますが、今回ご紹介した「運動の神話」は久しぶりに、「なるほどー!🧐」と知的好奇心を満たしてくれる面白い内容だったので紹介させていただきました。
少々長いですが、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね🎵
「読む時間がない!」という方は、会社の行き帰りとか、家事をしている最中とか、Amazonオーディブルで聴くと意外とサクサク聴けたりしますよ😊
では、皆様、良い一日を〜🎵