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"関節唇"の解剖と機能

どうも

志水です(@echohuku


今日は肩の構造体のなかでも
重要なはずなのにあまりピックアップされない…

【関節唇=labrum】

について書いていきたいと思います!


「なんで関節唇?」

「臨床で必要な知識なの?」


そんなふうに思った人

ちゃんと肩をみれてますか?

肩の安定化機構として重要な関節唇損傷の有病率ってどれだけか知ってますか?

受傷起点があって肩を痛めたことある対象者はいませんか?

「腱板は問題ないし、周囲炎っぽくもない…でも疼痛が改善しない…」
なんて経験ないですか?


上記のような悩みを解決するにも
【まずは関節唇の基本的な解剖と機能】

を知る必要があります。
(本記事では上記について書いていませんが、まずはここを知っておくことが重要です!!)

肩甲上腕関節の安定化については
以前岡先生が書かれているので、復習をしたい方はこちらを御覧ください!

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今回は
関節窩の"解剖"と"機能"についてお話していきたいと思いますっ!

では最初は

"関節唇の解剖"についてです。

関節唇の解剖

肩関節の関節唇は、こちらです↓(赤い部分です)

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関節唇は
肩甲上腕関節の"構造"と"機能"に必要不可欠です。

というのも肩甲上腕関節は

「全身の中で最も可動域が広い代わりに、その代償として"不安定"」
であることで有名です。

不安定な理由としては…

上腕骨頭と関節窩の面積にポイントがあります。

上腕骨頭が接する肩甲骨関節窩の面積は小さく、上腕骨頭の"1/3~2/5"を入れるのみとなっています。

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そのため
関節窩の周縁(周り)を全周性(ぐるっと回るように)に関節唇で補うことで、関節窩全体の"深さ"と"大きさ"を拡大させています。


この"深さを補う"ということろですが、
どれだけ補っているかというと、関節窩の深さ50%であるとされています。1)

このように関節窩のくぼみを深くすることによって、関節唇は上腕骨頭との接触面積を広くし、関節の安定性を高めていると言われています。2)


この構造が

関節唇=バンパー

の役割であると説明される理由だと思います。

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そのため、
患者さんに説明するときには『関節唇はバンパーの役割をしているので、これが壊れてしまうと不安定になってしまうんです』と噛み砕いて説明するようにしています。


関節唇は肩甲骨の関節窩の表面に載(の)るような位置関係をしていますが、その付近にはさまざまな軟部組織があります。
次はそれらの軟部組織との関係性を説明していきたいと思います。

関節窩の下方では
関節唇が関節軟骨および関節包と強固に付着しています。また、関節下結節は上腕三頭筋長頭の起始となり下方の関節包に付着していますが、関節唇とは関係を持たないとされています。

上方では、
関節上結節や上方関節唇となるわけですが、これらには上腕二頭筋長頭腱が付着します。また、関節唇は関節軟骨とは密着せず、関節窩辺縁と関節唇の付着部との間に間隙があります。2)

このように上方の関節唇に多少の遊び(少し弛くなっている様子)があるため、上腕二頭筋長頭腱の動きに柔軟に対応できるとされます。
(反対に、SLAP損傷:Superior labrum anteriro lesitonが発生しやすい理由となっていると思います。)



また、上方の関節唇に対して上腕二頭筋長頭腱は前上方から後方にかけて斜めに付着していていますが、より後方に多くの線維を出して連続しています。

そのため、停止部と間隙が存在すると考えられています。3)


関節唇に対する血行(血管)は、関節包または滑膜から供給されていて、関節唇の薄くなった関節窩の中心側辺縁は血流に乏しくてなっています。

つまり、関節包の関節窩側は血流が乏しいわけですね。また、上方関節唇より下方関節唇のほうが血流が豊富とされています。2)

この血流動態(上方関節唇の血流が乏しいこと)から推察されるものとして
SLAP損傷など上方関節唇の損傷部位は"治りづらい"かもしれません。


関節唇の構成
関節唇の形態は部位により若干ことなるとされています。

Cooper2)らは
上方の関節唇は線維組成組織から構成され、下方の関節唇は線維軟骨組織であるとし、上下で構成組織が異なると報告しています。

また、後藤らも4)
上方の関節唇は関節唇の大きさが小さく繊維組織が中心で関節窩への付着範囲が狭い。しかし下方(前方~下方~後方)にかけては関節唇は関節包への付着が広く、豊富な線維軟骨組織が存在していると報告しています。

このように関節唇の部位による特性や機能を有することが考えられるので
"関節唇"として全てをひとくくりにできないことがわかるかと思います。

つまり
上方関節唇の損傷(SLAP損傷)と前下方の関節唇損傷(Bankert病変)とでは損傷する関節唇の特徴が異なるわけです。

ただ重要なのは

「組織損傷=症状」

と直結するわけではないので、
あくまでも知識として記憶しておいてください。

関節唇の機能

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