他関節から見た腰について考える
腰の障害・腰痛はあらゆるスポーツ競技において多くみられ、慢性的な腰痛はパフォーマンスにも大きく関与する重大な障害です。
私からは1週目に配信する内容に加え、「他関節から見た腰」をテーマとして股関節だけでなく、腰部のストレスをもとに他関節の機能低下と腰部への関係について掘り下げ、腰部障害の動作分析に必要な「腰」の理解を深めていきたいと思います。
1週目配信の腰部局所の見方に加え、
患部外からの影響を十分に把握することで
次回の「動作分析」につなげた内容を配信していきます
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■腰部障害を捉えるメカニカルストレス
まずはじめに、腰部障害・腰痛を捉える上で、腰部と腰部周囲の関節の問題の関連性を十分に把握し、その発生メカニズムを考えていきます。
腰部に炎症や力学的な変化をもたらす要因には強い急激な1回のストレスによる損傷よりも動的な負荷が長期間加わることによる障害の方が多く経験します。
・筋筋膜性腰痛 ・腰椎椎間板ヘルニア
・腰椎分離症 ・椎間関節性腰痛etc
腰部に起こる動的な負荷によるストレスとして、以下が挙げられます。
|圧縮ストレス
椎間板に加わる垂直方向の圧力
|回旋ストレス
椎体部の軸回旋により椎間関節に加わる圧力
|剪断ストレス
上下間の椎間板や椎間関節に平行方向に起こる負荷
これらのストレスの要因は腰部周囲の筋力低下や柔軟性低下のみでなく、他関節の機能低下の代償も原因となることで腰部へのメカニカルストレスが増大しています。
■腰部疾患の病態とストレスについて考える
腰痛には「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」に分けられます。
非特異的腰痛は前回のL-tra.+での記事で詳細がまとめられているため詳細を知りたい方はぜひご覧ください。
非特異的腰痛
|特異的腰痛
診断や画像所見により腰痛の原因が特定できるもの
画像所見を中心に所見がみられているため、患部におけるストレスについて考えていきます。
①腰痛の解釈
腰痛を解釈していく上で以下は必ず考えるのではないでしょうか。
その腰痛がどこに起きているのか?
その腰痛の原因とはなにか?増悪させる因子とは?
腰痛のリハビリテーションでは腰痛の改善が目標となるため、痛みの部位(ストレスのかかる部位)がどこであるのかを把握していきます。
疼痛の部位が特定できた上で、
その組織にどのようなストレスが加わり痛みとなっているのか?を捉えていきます。
そのストレスがどのようにして加わっているのか?
可動性(Hyper mobility/Hypo mobility)や異常運動・運動連鎖・運動制御による問題を考察していきます。
②腰椎にかかるストレス
つぎに腰椎に起こるメカニカルストレスについて考えていきます。
腰椎には基本的な関節運動として
「屈曲・伸展・回旋・側屈運動」があります。
これらの運動が他関節の機能低下などの要因により
過可動性に起こる際にストレスが増大し痛みにつながります。
過可動性が起こる要因として他関節からの運動連鎖による異常運動が第一に捉えておきたいオーバーストレスとなります。
|伸展ストレス
|回旋ストレス
|屈曲ストレス
各ストレスについてその要因を考えていきます。
|伸展ストレス
腰椎伸展運動時、
腰椎では後方回旋と後方への並進運動が起こります。
全体的な体幹伸展動作において、
腰椎は股関節よりも伸展運動が大きくなります。
股関節の伸展が制限されることによって、代償的に腰椎の過伸展した動作で腰痛を招くことは少なくありません。腰椎の過伸展によるメカニカルストレスは椎体や椎間関節・椎間板などの構造体に何らかの異常をきたす可能性があります。
|回旋ストレス
腰椎における回旋の運動は腰椎全体で5°程度
股関節での大腿骨の回旋は約90°、胸椎は約35°と貢献度が大きい。
つまり、腰椎に隣接する胸椎や股関節に回旋可動性の低下が存在することで、容易に腰椎の過回旋につながってしまいます。
腰椎自体の回旋可動性は本来小さいため、代償的な過回旋が求められることで、椎間関節性の腰痛を発症しやすくなると考えられます。
|屈曲ストレス
腰椎の屈曲運動では椎体が前方に動くことにより、椎間板の前方は圧迫されるようにして負荷がかかります。
その影響により、髄核は後方移動するため、過剰な運動が加わることで、椎間板ヘルニアなどの椎間板のトラブルをきたしやすくなります。
③病態と腰椎のストレス
ここまでお伝えした腰椎自体の動きを理解したうえで、特異的腰痛における病態をもとに、患部のストレスをおさらいしていきます。
|腰椎椎間板ヘルニア
|椎間関節性腰痛
|腰椎分離症
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